基礎をしっかり!―情報機関設立の前にやること

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 明日から大学で講義開始。

 あと、いつの間にやら書いていた比較憲法の教科書の校正作業。
私の担当はタイ王国憲法です。
タクシンに関してはなかなか面白いことになっていて、面白い人であるので、近日書きます。
英国憲法、大日本帝国憲法、それからドイツ憲法の知識で観ると、タイ憲法はかなり良くできていますね。なぜクーデターが頻発して、5年と続いた憲法がないのに、政情が安定しているのか、が中心点です。

 校正で一番大変だったのが、各国の基礎データを揃えることでした。
要は、我が国外務省の公開資料を拾えば良いのですが、これが大変で。色々と他で補う羽目に。
なぜ単なる統計なのに、キチンとしたフォーマットを揃えられないのか。
例えば、韓国の部分を見ると、「名目GDP」と「一人当たりGNI」だけが並んでいる、という具合です。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/data.html
 他の国は基本的にGDPで揃えているのに、なぜかスペインは理由を説明することなくGNI、とか。資料が取れなかったら、その理由を注記しておいてくれれば良いのに。

 どこの国でも、情報機関は基本的に公開情報を網羅して、どうしても足りない部分をそれ以外の方法で補います。要するに、基本知識がないと、それが裏情報なのかどうかすらわからない訳です。ウェストファリア条約以降、相互に承認しあったスパイのことを外交官と呼びます。情報に関する駆使の方法は違っても、分析に関してはまったく同じです。表情報と裏情報に頼る比率が違うだけです。

 CIAなど、MI6やモサドに比べると格が落ちるなどと言われながらも、人員の物量での公開情報の更新はすごいのですよね。あと、米国(の国務省)でなめてはいけないのは、世界中の言語に関して、通訳・翻訳ができる人を集めよう、とか。

 以上、日本で情報機関が作れない理由、というか、作ってはいけない理由でした。

「日本版CIAを作れ」という意見をよく聞くのですが、それ、「通信教育で勉強して、国民の皆様の年金をスッてしまいました」というどこぞの社保庁と同じような結果になるのでは?投資以上に諜報の世界が恐いことを証明する必要はないでしょう。

 基礎教育はいくらやっても損になることはないので、優先順位としてはそちらではないでしょうか。まず「情報」に関して、政治家・官僚・関係分野の学者などに合意があるのかどうかすら疑わねばならないところが悲しい。