宣伝の話(4)―日本人の宣伝を検証しよう

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 国家が行う宣伝は戦争に勝つ為にある。宣伝は戦争の重要な補助手段である。

 近代日本人は「支那人みたいに宣伝なんかやるのはイヤだ。正しい姿勢でいれば、嘘なんかつかなくても、いずれわかってくれるんだ」などと言い出す。国が滅んだ後にわかってもらえても仕方がないのだが。それで今の日中歴史問題である。まずは自国の歴史から検証しよう。

 政治宣伝には対象により三種類ある。
 一つは、対内宣伝である。
 国家が意図する方向に国民を統一することが目的である。嘘も手段であるが、嘘を必ずつかなければならないわけではない。むしろ正確に情報を伝えるのが大変な場合もある。これはできていて当たり前なので、宣伝に数えない場合すらある。

 ということは昭和の日本は宣伝がなっていないと言うことである。ついでに「大本営発表などという嘘を言ってばかりいました」などと言われ続けている時点で、毎年減点を重ねているようなものである。こんなんだから、外国人参政権とか色々付け込まれるのである。

 二つは、対敵国宣伝である。
 戦争における勝利とは相手の意思を挫くことである。
 戦前戦中の米国が最も恐れていたのは、日本が合衆国内やアメリカ大陸内の有色人種に蜂起を呼びかけることだった。で、日本は?

 石射猪太郎というお利口さんな外交官がいた。彼の報告。

「やっても無駄でしょう」

 とりあえずやってみるのが、工作と言うものなのだが。。。
 日露戦争の明石工作だって、やる前に確言できる成功率など低かったのだが。確率論でしか動けない奴は、確率論が出来ない奴と同様に使えないという話でした。

 もはや、「頼むから真面目に侵略戦争を企んでくれ」と言いたくなる。この一時をもって戦前の日本が真面目に侵略など企んでいなかったとわかる。

 三つは、対中立国宣伝である。
 対内宣伝は出来て当たり前、裏を返せば対敵宣伝はできなくて元々。ということは、ここが一番、力量の差が出るのである。

 満洲事変で国際連盟から追い出されました。というか、別に居座ればよいものを、律儀と言うか、逆上してというか、勝手に出て行った。そんなんで出て行かなければならないなら、英仏なんて毎年脱退しなければならなかったが。

 さらに自戒。
 日本の教科書では42対1の圧倒的多数でリットン報告書が採択され、泰が棄権した以外は日本は孤立した、などと書いてある。
 その通りなのだが、13カ国が欠席した事実はどうして無視されるんだろう。これがまた反米国家ぞろいで。笑。42対15だとだいぶ話は違うぞ。
 ついでに言うと、英国とカナダは最後まで日本をかばってくれたのだが。。。
 戦後の米ソが横暴を働いた時って、150対6くらいの大差、いくらでもあったのだが。。。
ちなみにフィンランドへの侵略戦争の咎で国際連盟からソ連が除名された時は満場一致。
つまり完全孤立。しかしスターリンがそんなことを気にする訳がない。

 国民の反省その1 

 失敗を隠す能力だけが超人的に秀でているだけの、外交官の資格がない外務官僚に外交を委ねていたこと。

 国民の反省その2

 プロパガンダとか高等技術の前に正しい歴史を見てこなかったこと。学者の場合は伝えてこなかったこと。

 次回以降予告、「そもそもプロパガンダの定義」「悪いことをしたら謝るべきか」「世界最高・英国のプロパガンダ」「英国を出し抜いたイスラエル」