まずは最近政局の感想。
平沼さんにしても舛添さんにしても、質疑の受け答えはしっかりしてて中身は良いですね。実行力が伴わないと書生論ですけど。
ただ、舛添さんの
「自民党のほとんどの人は衆議院選挙が大事だと思っている。この夏の参議院選挙で全てが決まるのだと分かっていない。」
は、その通りだと思います。
まさに本連載の趣旨もその通り!全然、単記集中になっていませんが・・・。汗
まず最初に恒例と化した政界小話。
参議院全国区の選挙制度を変える際、自民党と公明党&民社党が激論になった。
いずれも党利党略がかかっているので必死である。
しかし、なぜか社会党は黙っていた。
なぜか?
自分の案より、自民党案の方が社会党に有利だったからである。
二本斜壊党。もはや、党利党略すら考える頭すらなくなっていた。
今の政界はとやかく言えないか。。。
では本編を。
以下は小難しい話なので、気力体力が充実している時に読みましょう。笑
「亡国前夜」の主要登場人物の一人、田中角栄はロッキード事件で逮捕され、さらには有罪になります。それを撥ね返そうと、政界での派閥拡大に腐心しました。そのおかげで、闇将軍とまで呼ばれるようになりました。当然、衆議院議員も増やそうとするのだが、実は力を入れたのは参議院です。
田中派や竹下派は、他の派閥と比べて衆議院議員の数はもちろん多いのだけど、少し多いだけです。十人多いくらいですね。そんなに変わりません。
一方で参議院の数は圧倒的です。他の派閥の倍くらいです。
ついでに小泉政権以後の清和会(森派という看板を掲げています)も同じことをやっています。
なぜか。
参議院は、党権力を握ってしまえば、自派拡大に適しているからです。
田中角栄という人の考え方は簡単。
参議院議員は二つの選挙方法で選ばれている。
地方選挙区はその地方の代表である。だから地元の有力県議や政治家二世を擁立すれば良い。
全国区は知名度と動員力が大事である。タレントか圧力団体の代表を擁立すれば良い。
で、衆議院議員や地方区選出の参議院議員は、何だかんだと自分で選挙活動をします。
例えば選挙資金でも全額出します!などということはありえないですね。
普通は「自分で頑張れ!イザという時にX千万円くらい助けてあげるから」とかです。
ところが、1983年に導入された、比例代表拘束名簿式だと、とんでもないことが起きます。
まず比例代表とは、政党ごとに有権者に投票してもらい、その票を比例配分して政党の獲得議席を決めます。
単純に言うと、50人の定数で、20%の得票数があれば20人当選、という図式です。
その20人を当選者を確定させるのに、事前に政党は名簿を選挙管理委員会に提出しておきます。「拘束」とは、その名簿に順位がついていることです。
ちなみにこの例で言うと、1〜20位の候補者は当選。21位以下の候補者は落選です。
ここまでは教科書に書いてありますね。
ということは、1位とか上位の人は「寝てても当選」がありうる訳です。
某林東大総長などは、本当にその通りで、しかも当選後も政治活動などしないで、国会図書館に入り浸って勉強だけしていたとか。。。
逆に、絶対当選できないような下位になると何をやっても無駄ですね。
特に現職がそんな下位にされたら政治生命は終わりです。
これで日頃の政治活動で党幹部や派閥の領袖に逆らえるわけがない。
では問題。その政党が提出する名簿の順位を誰が決めるのでしょうか?
自民党の場合、幹事長でした。つまり田中角栄の息のかかった人物です。
で、衆議院でも参議院でも、事実上の総理大臣を決める選挙である自民党総裁選では一票です。絶対逆らわない議員の数が多い!これぞ田中闇将軍の権力の源泉でした。
今までの日本現代政治史の中心はもちろん田中角栄やそれを継承した竹下派なのですが、
実は坂野重信とか梶木又三とか、明らかに重要人物であると思われる人たちの研究がほとんどないですね。
参議院全国区の当選者は、田中角栄の気分次第。とんでもない制度でした。
ちなみに、このような状態、共産党や公明党はもっとですよ。
私は、大選挙区単記制(含・中選挙区制)の次に嫌いなのが、比例代表のしかも拘束名簿式です。ドイツも似たようなものでは?とか持ち出されても、本編での理由からまったく聞く耳を持ちませんでした。