側室論を論破する

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 皇統保守をめぐる議論で、「旧皇族復帰」か「女系容認(正確には男系否定)」の他に、
「側室制度の復活ではまずいのですか」と真面目に聞いてくる人が多いです。
素人の疑問ならそれで良いし、現実にはまったく勢力として存在しないので無視しても良いのですが、まあ念の為に再否定しておこう、くらいの話です。

 とりあえず、9月1日の記事をご参照ください。過去ログをクリックしても見れないシステムなので、「倉山満の砦 側室」で検索してください。一発ヒットします。私の立場、あれで終わっているので、本記事は完全に蛇足ですけど。

まずは定義から。
「側室論」とは、「何らかの形で皇后以外に別腹の女性の存在を再び制度化しよう」という議論のことです。としか言いようがないです。いまだかつて、まじめな提案として側室論を聞いたためしがないので。
「中宮のみか、何人までどのように認めるのか、内侍制度までも復活か、単なる妾や愛人か。そもそも皇統譜ではどのように書くのか。」に関して真面目な提案を聞いたことがないので、単なる抽象論として「何らかの形で」といい加減な形でまとめるしかないのです。

「論破」とは、「対等の議論と認めてその根拠を否定する」の意味ではありません。
「そもそも論として成立していない」と証明することです。
「側室」の中身すら定義されていない、で既に終了しているのですけど、さらに念の為に話を進めましょう。

 女系論者は提案自体は精緻ですが、「先例がない」の一言で終了です。
では側室は「先例」があるから良いのか、旧皇族復帰案に優先するのかというとそれは別の議論ですのでこれから検証します。

 そもそも「先例」とは何か、です。
宮中では「新儀」が悪で「先例」が善です。たとえ何代何百年遡ろうとも、「先例」を探す世界です。
ただし、この「探す」とは、現実に最も合致する方法を議論する作業でもあります。
私も「過去にあるからやれ」との意味で「先例」を用いていません。

 公家社会には「平清盛は先例にあらず」という言葉もございます。
当然、「マッカーサーは先例にあらず」でなければなりませんよね。「先例」にして良い議論を証明できる方はしてもらっても結構ですが。
だから旧皇族復帰は本来ならばもっと早くやっておかねばならないことだったのです。
それに対して、側室制度ですが、「昭和天皇は先例にあらず」ですか。
「マッカーサーの先例が昭和天皇の先例に優先する」が立証できるのでしょうか。、
されても、私には受け容れられない議論ですが。
ついでに一部世の中の風評に「竹田恒泰はマッカーサーと関係なく臣籍にある身だったのだ」などという人格攻撃もあって、それを信じる不勉強な方もいるようですので一言だけ申しましょう。
「親王宣下」って言葉知っていますか?
臣籍降下は何も考えず自動的に行われてきた訳ではございません。

 以下、助け舟を出しましょう。以下の論点を立証できたら、側室制度も旧皇族復帰案と対等に議論の俎上に載せることができます。

一、「側室制度」の中身を厳密に定義する。
⇒要するに何をしたいのかの立場をはっきりさせないと議論にならない。
二、その「側室制度」を実現化する際の実行可能性を証明する。
⇒この時点で国民の理解は得られたことになります。
三、「側室制度」を導入した際に当然予想される不利益を克服する方法を提言する。
⇒この方法は、「不利益が発生しない」でも「不利益よりも利益が大きい」でもどちらでも構 いません。
四、「側室制度」導入後の宮家のあり方を提示する。
⇒そもそも秋篠若宮がこのままの継承順位で即位あそばされた時には、皇族が一人もいなくなるというのが、この問題の出発点ですから。
五、昭和天皇の先例とマッカーサーの暴挙を克服する方法を否定するのかの論拠を明確にする。
⇒先例の解釈です。旧皇族復帰よりも側室の方が回数が多かったは理由になりません。
昭和天皇が現実に合致しない先例として、別の先例を採用された理由を否定できなければなりません。
六、「側室制度を導入するのも結構だけど、同時に旧皇族復帰もやればよいのでは?」という説に回答する。
⇒二者択一論でない場合はこれは立証不要です。旧皇族復帰を否定し、「側室制度」のみを導入したい場合のみ必要な論証です。

 皆様の議論をお待ちしています。
ただし、私の意見に反論の場合は、五条件の全てを立証してからにしてくださいね。
それでやっと竹田先生が主張し、私も支持している「旧皇族復帰」案と対等です。
竹田先生や私の議論に対する優越を主張されたい場合は、「六」も必要です。