第一案
第五条 天皇は議会の協賛を以て立法権を行う。
第二案
第五条 天皇統治権ヲ行フハ万民ノ翼賛ヲ以テス
万民ノ翼賛ハ此ノ憲法ノ定ムル所ノ方法ニ依ル
第六条 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
第一案は「帝国議会」を「議会」に変えただけです。
「国会」ではなく「議会」なので、立法権は天皇の統治権です。
日本国憲法五十九条はこの精神を思いっきり否定してること、ほとんどの人は気付きもしないでしょう。
第二案は佐々木惣一先生の改憲案。
http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/02/042/042tx.html
実は、同じ内容です。
私は簡文主義の観点から第一案を推します。
さすがに今の日本人に「翼賛」は印象が悪すぎるでしょう。
とは言うものの、敗戦直後の改憲案で、しかも戦前は「左翼」呼ばわりされていた佐々木先生がこの言葉を使ってらっしゃるのが興味深い。その内、暇になったら調べてみよう。
何はともあれ、条文も解釈も国恥の極みのような日本国憲法四十一条のようなおぞましい条文は記憶の底から抹消したい。
ちなみに、英国流の「議会」から、米国流の「国会」にさりげなく書き換えられていたのは、
こちらもさりげなく戻す。
憲法無効論者が「国会の決議により日本国憲法の無効を宣言する」と主張していますが、「国会」がそれをやったらフランス革命と同じで国体の破壊です。
それに、20世紀末にもユーゴスラビアで同じことが起きましたね。
そういうことを言うから、「現行憲法は帝国憲法の改正憲法です」とする論者から、
「お前らは八月革命の裏返しだ!」と罵倒されるのです。
憲法無効論者に手を差し伸べると、まだしも「議会の決議により日本国憲法の無効を宣言する」と主張しましょう。
たぶん、私の言っている意味、ネットでは出てこないので、『大世界史』全26巻と講談社『新書西洋史』全8巻から、日英仏米に関係するところを必死で読みましょう。(最近の概説書で良いの、例えば堀米庸三先生を超えるのって、あるのかしらん?あれば教えてください)
ちなみに定訳となっていますが、ドイツの国会のことを「(帝国)議会」と訳しているのは誤訳、もしくは「国会」と区別をつけていない用法と看做しています。
もう一つ、論点を提示すると、日本の帝国議会の実態が英国流の「議会」であったかどうかも、時代によって細かい議論が必要です。
特に貴族院などは、まったく英国貴族院とは違いますし。
この点に関しては、まじめな議論は大歓迎です。
以上、脳休めも兼ねて気軽に書いたつもりなのですが、難しかったですか?
わからない点はご質問ください。
ちなみに、ここまで読んでくれた人のための考えるヒント。
米国流国会=上院+下院
つまり、単なる立法府です。
英国流議会=国王+衆議院(含・行政府)+貴族院(最近までは含・司法府)
つまり、国の統治機構の総体です。
まあ、日本の天皇を議会に含めるかどうかは議論の余地がありますけどね。
いずれにせよ天皇を含まないタダの国会が、「憲法無効宣言」などできないし、本当にやったら大変なことだとおわかりでしょうか。
せめて「議会」でやってください。