明治外交史におけるドイツ要因

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 まず速報。

 白川総裁、不況への日銀の責任を認めず 衆院予算委で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100802-00000530-san-pol

 今朝の予算委員会で、松原仁衆議院議員が質問。「日銀に現在の不況の責任の一端を感じないのか?」

 白川法王の答え。

わかりません!

 松原先輩、別に私のように「白川おまえ一人が悪いんだ」と聞いているわけではないのですよ。それでも「はい」と言えない体質。「私は人でなしです」と告白したようなものです。それにしても、法王の疫病神顔、何とかならんのかなあ。

 

 さて、仙台竜三さんがブログでとりあげてくれました。ありがとうございます。

http://www.pacs.co.jp/~chijin/

 「ビスマルク、ウィルヘルム二世を見ないと日露戦争開戦の経緯が浮かび上がらない」という点をとりあげていただいております。

 今の日本史の本だと、ドイツ要因というのを無かった事にしています。それどころか、「ウィッテの回顧録に書いてることは全部事実だ」とか、「日露戦争は避けられた戦争だ!日本人は愚かで野蛮だぁ」というのが、学界の通説になっているので。通説というか、一人の声の大きい教授に対して、白川法王なみに気が弱いくせに自己防衛本能だけは十人前みたいな連中が、唯々諾々と右へ倣えしているというのが実情ですが。あ、その「声の大きい教授」の名前は、この砦に時々書き込んでくれている久野潤先生にお聞きしてください。笑

 で、本書のコンセプトは、日本史に限らず隣接分野も含めた学界の最新研究は取り入れつつ、退化しているところは無視してかつてのまともな説を採用する、という方針でした。

 戦後の中山治一先生(西洋史)とか、戦前の田村幸策先生(国際法)の本から入った私にしては、ドイツ抜きに明治日本しかも外交史が語れるはずがないという考えですので。日本外交史でも鹿島守之助先生なんかは当たり前のようにドイツ要因で語っていましたから。というか、鹿島先生はビスマルクに詳しすぎると言う説も・・・。

 断言しますが、明治外交史などは研究を重ねれば重ねるほど退化している分野です。もちろん一部の優れた研究の成果は採用していますが。

 本書でも、

「陸奥宗光は干渉されるのをわかっていたからあえて遼東半島を要求した」

「三国干渉の黒幕がドイツなどと明治政府はすぐに気付いた。しかし黙っていた」

などの、一次史料を読めば一発でわかるが、日本史の教科書を読めば読むほどわからなくなるという点にも触れています。

 答えを知りたい方は、どうぞ。

『総図解 よくわかる日本の近現代史』

(新人物往来社、税込1470円)

好評発売中です。

 長くなりましたので、夏目漱石の話はまた別に。