ご質問ありがとうございます。お答えする前に大前提。皇室、さらに公家社会をも含めた場合に宮中と呼びますが(宮内庁を宮中と呼べるかはとりあえず捨象)、宮中においては先例があることが大事で、ないことは良くないことです。「改革」という言葉が良い意味になっている平成日本人にはわかりにくいかもしれませんが、「新儀」は悪い意味であり、絶対の必要がない限りしてはいけないことなのです。可能な限り、伝統の中から先例を探す必要があるのです。そういう世界であり、伝統なのであって、本来はそこに説明はいらないのですが。
大化の「改新」、建武の「中興」、明治「維新(御一新)」であることに注意されたし。まちがっても、革命=王朝交代・転覆であってはならない訳です。なぜ「新儀」が悪いことかと言うと、日本の伝統を守る存在である皇統の危機になるからです。
一、なぜ、このままでは皇族がいなくなるか。
現在の皇室典範では、内親王(女性の皇族)はご結婚されると、臣籍降下されます。宮家にお輿入れにならない限りそうです。秋篠若宮の姉宮様方も、現在の制度ではそうなります。宮家の当主になれるのは男性だけです。すべての宮家に男性の後継者がいませんし、若宮は天皇になられると、秋篠宮家を継げませんから、このままでは断絶します。
一、歯切れ
歯切れが悪いとお感じになられたとすれば、原因は私の時局認識です。「旧皇族復帰だけが唯一絶対の正解であって、これ以外はまかりならん」などと言えば、背水の陣を引くことになる訳です。世論は移り気で、皇室を覬覦する極悪人が跳梁跋扈するご時勢に、「では旧皇族復帰論や宮家復活あるいは創設さえつぶせば」などと思わせても困るわけです。政策の妥当性に優先順位をつける必要性があるのであって、一つに絞ることは不適当でしょう。と言っても、最善策はほほぼ明らかにしてますが。
世の中には「女系天皇が実現したらお前らは切腹でもするのか」などと極論を言う人がいますが、こういう人の議論にのってしまうことにもなります。
一、女系の宮家から天皇
先例が見当たりません。また現在はの皇室典範では、昔の「女院」のような御存在は想定していないので、わざわざ改定して創設する理由がわかりません。
一、旧皇族復帰と血縁(何親等か)
親戚ならば血縁はあります。「血縁がない」とは、直系子孫ではないということであろうと推察して。
結論から言うと、まったく問題がありません。古代にも武烈天皇と継体天皇は十親等離れていましたし、江戸時代の後桃園天皇と光格天皇も七親等離れていました。「何親等以内でなければならぬ」などという決まりはないですし、そもそも皇室は「何親等」などという概念を問題にしていないのです。あえて言うならば、「五世(五代め)の子孫は臣籍降下」とありますが、宮家が皇統の危機に備える存在である以上、何親等などという概念を持ち出すこと自体が、矛盾極まりない訳です。
一、国民の理解
最初は「女帝」と「女系」の区別もつかずに皇室典範改正に賛成していた国民も、事の真相をわかり急速に反対が増加しました。日本人は正しく伝えられてわからないほどは無理解ではないでしょう。