権力と先例 第56話 戦国の天皇はどうやって生き残ったか(倉山塾メルマガより)

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噓だらけの日本古代史 (扶桑社新書)

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前回のおさらいです。

なぜ皇室は尊いのか。

三種の神器“だけ”
天皇個人の人格識見“だけ”
祈り“だけ”

この三つ、
よく言われる議論ですが、私は与しません。
確かに三種の神器は大事だけど、
欠いた天皇もいらっしゃる。
後鳥羽天皇は神器を欠いた即位だったので
相当なコンプレックスを抱いた。
前回お話しした後花園天皇に至っては
神器を盗まれている。
しかし誰も、後花園天皇の正統性を疑わなかった。
神器は大事だけど、絶対ではない。

後花園天皇は
人格識見が極めてすぐれた方だった。
じゃあ、後花園天皇の前後は?
後醍醐天皇から称光天皇まで
皇室はまったく安定しなかったし、
むしろ軽侮されるような有様だった。
後花園上皇(後土御門天皇)の時代に応仁の乱が始まり、
やがて戦国時代に突入する。
その間は「皇室衰微」と呼ばれる。
人格識見が天皇の要件なら、
明らかに不適切な天皇もいる。
しかし、放伐や易姓革命にならないところが、
我が皇室の奥義。
天皇陛下には立派な人であってほしいけど、
絶対ではない。

皇室衰微の時代は、祈りたくても祈れない時代。
また、幼帝なんか絶対に祈っていない。
ざっと30人は「祈っていない帝」はいる。
六条天皇は0歳で践祚して3歳で退位だし、
祈れるわけがない。物理的に。
祈りは大事だけど、絶対ではない。

じゃあ、なぜ皇室は尊いのか。
その謎を解く鍵が戦国時代にあります。
戦国動乱を生き残った理由、
マッカーサーが皇室を潰せなかったのと同じですから。

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