年中行事ですが、日本の総理大臣が決まる選挙があるらしいですね。
普通にやれば、野田さんも前原さんも圧勝の形勢だったのに。なぜ、しくじる?
今日の時点で、なぜか本命と対抗がチャイニーズとコリアン。
という言い方が悪ければ、万里の長城が名前の語源の筋金入りの親中派の方と、
母親代わりの方が北の国籍を持っていたという理由で大臣を辞めた方。
マスコミは、「菅内閣の閣僚ばかりで、云々かんぬん」と言うけど、馬淵さんがいるじゃない?
しかし、小沢さんには腰が砕けた。。。
海部さんは出馬の時点でゼロだったけど、海江田さんはマイナスだからなあ。
ということで、過去記事の再構成も含めて、昭和四十九年の話。
時の首相・田中角栄は血迷った。
七月の参議院選挙に向けて、自分を総理にするのを支援してくれた三木武夫副総理の地盤の徳島選挙区に、殴り込みをかけた。定数一で三木派の現職・久次米健太郎がいるのに公認せず、自派の後藤田正晴を擁立。
三木派は「目んたまに指を突っ込んでかき混ぜてきた!」と怒り狂い、派をあげて支援。
党規違反?何のこと?「喧嘩を売ってきたのはそっちだろうが!!」と、何だかヤクザ小説のようなセリフのオンパレード。
親分の三木も「久次米を勝たせる!その事実でもって田中に抗議する!」と宣言。
実際に勝利した。
で、開票翌日早朝、目白御殿こと田中首相私邸に乗り込み、辞表を叩きつける。こういう時の三木の動きは常に電光石火。
「党改革に専念したい。それには今の副総理の地位では限界がある」
もちろん田中は慰留。
「別に副総理のままでもできるのでは」
おだやかだけど、ここで引いては戦いにならない。
「いや、辞表は出させていただく」
てな静かなやり取りがあって、辞表は受領。
田中は「森山君は?」と、三木派から入閣している森山欽司科学技術庁長官の処遇について水を向けられる。
これに対しては
「派閥次元でとらえられても困る。自分は党改革をしたいんだ」と。
さらに田中、
「後任の人選で希望は?」
三木
「それを僕が言っちゃあ、また派閥の話になる」
で、押し問答はここで終了。
帰り際に三木。
「徳島みたいな無茶は困るよ」
角さん
「面目ない」
と、腹に一物どころか三十五物くらい抱えつつ、和やかに終了。
立花隆『田中角栄研究』によると、これは田中の勝利らしい。どういう理屈かは読んであげてください。
三木、目白御殿を退去するや、田中に反感抱きまくりの福田赳夫蔵相に電話。
三木「たった今、辞表を届けてきた」
福田「わかった」
ところが、福田派は辞表提出徹底抗戦派と閣内留任融和派に別れ五日も大論争。
結局、「いつまでも田中の下にいるのは嫌だ!三木に合わせる顔がない!」という福田の意思で、辞表提出。
直前まで「言いたいことを思い切り言ってやめてやる!」と吼えていたが、融和派長老の保利茂の涙の諫言で「お願いだから、何も言わずに黙ってやめてくれ。後生だ」に、一応従うが、福田が何を言っているかは既に全部田中に筒抜け。
立花隆『田中角栄研究』によると、これは田中の勝利らしい。どういう理屈かは読んであげてください。
三木の選定で、憲政記念館で福田と会見。尾崎行雄先生の精神に則るのだとか。
「二人で政治改革やります」宣言。
福田は日本全国で「田中金権政治批判」を演説してまわる。
三木は日本全国で「政治の浄化こそ保守政党の使命」を演説してまわる。
そうした中で、『文藝春秋』誌が、田中角栄の政治資金調達と愛人の醜聞を報道。
田中陣営は、黒幕は福田だと決め付ける。
福田はさらに、「田中金権政治批判」を演説してまわる。
三木はさらに、「政治の浄化こそ保守政党の使命」を演説してまわる。
田中は内閣改造まで断行し、誰もが政権延命の工作だと思う中、三木はポツリ。
「角さんは辞めるよ」
三木は、側近の「なぜですか」の問いにも、不得要領な答えばかり。
実はこのころの角さん、顔面神経痛で、マスクなしでは人前に出られないほど。唇が目じりの位置までひん曲がるほど。よほど福田と三木の攻撃がこたえたらしい。
そして、三木の予言どおり退陣表明。
その時三木は、自ら「三木派親衛隊長」を名乗る産経新聞記者の久保鉱之さんに密命。
「岡沢に伝えとけ。僕は角さんの個人攻撃を一切してないからな」
(久保さんの『田中角栄とその弟子たち』をどうぞ)
岡沢とは、産経新聞の政治部長で、田中番。
そして後継総理をめぐる争いで、田中の盟友の大平正芳と福田が激突。
で、あんな陰謀やこんな陰謀とか、ありとあらゆる書き出したらきりがないことがあって、
後継総裁は超大穴の三木に。
一つだけ記しておくと、
「僕の派閥は三十人いる。僕が脱党したらその内十五人はついてくる。それで自民党は終わりだ!」と福田に恫喝。というか俺を総裁にしないと党をぶっ潰すぞと自民党全体を恫喝しているようなもの。
ということで、晴れて田中後継は三木に。
以上、辞表を叩きつける前から読んでの行動でしたとさ。
三木武夫を褒める世の中、世も末だ。政治の劣化、はなはだしい。