※問責決議=衆議院の不信任案にあたる参議院での決議。法的拘束力はないので、可決しても辞任しなくて もよい。ただし、辞任しなくてその後の法案審議で参議院が協力しなくても内閣の責任になる。内閣の一員に対して不信任と同じ意思を突きつけているのに、その大臣を辞めさせないで「法案を通してください」などと言われて通るはずがない。だから辞任するもの。現在は与党民主党が少数のはずなので、多数派の野党が結束すれば可決するはず。え?では、なぜ提出しないか?それは野党のはずの公明党と共産党に聞いてみないと。。。
我が国固有の領土である尖閣沖での、中国漁船の挑発と攻撃を撮影したビデオの流出者として、海保職員が名乗り出たとのこと。
本当はこの職員を英雄視して煽ったほうが、喜んでくれる人は多いのでしょうが、今回に限っては、なかなか単純な結論にまとまらないので、しばしご辛抱を。
まず大前提。
「厳罰に処すべきだ」と、官房長官(名前は仙谷自治労サンでしたか?)が薄ら笑いを浮かべながら記者会見。
いまいましい。漢字で書くと、
忌々しい!
さて、議論百出ですね。
こういうことも言いたいのかなというのも含めて整理しますと、
厳罰派の主張
一、法律違反には刑罰を科すべき。
二、公務員の告発手続は、政府の内部資料をネットで流出させるような手法を容認していない。
三、よって、国家公務員法の守秘義務違反。
四、政府の内部情報が漏洩したのは安全保障上の由々しき問題。
五、APECも控え、中国との関係はすべてに優先する。
六、事件ごとに判断をするのが法律。文句があるなら総選挙や国民審査で反対の民意を示せ。
擁護派の主張
一、海保職員の行為は公益通報だから、処罰すべきではない。
二、むしろ公務員の告発義務を果たしたことになる。
三、国家公務員法の守秘義務の対象は「一般公開されず、秘密に値するもの」なので対象外。
四、本来は公開しなければならない情報。秘密にしたことの方が問題。
五、首脳会談など吹き飛ばしてしまえ!なぜ中国と仲良くしなければならないのか!
六、そもそもなぜ漁船の船長が無罪放免で、海保職員が厳罰なのか。
というところでしょうか。
で、絶対に誤解されるので、結論は後回しにして、今回はそれぞれの論点ごとに論評します。
一と二は、単純な形式論だと厳罰派が正しいでしょうね。
忌々しいことに。
で、単純ではない法律論として三になると思うので。
「一般公開されず、秘密に値するもの」とは最高裁判例によります。
まあ何と曖昧な定義!という感想でしょうが、最高裁もそうとしか言えないのでしょうね。
公文書管理に関して超後進国(発展途上ですらない)の日本が、情報管理などできるはずがないので。ここの曖昧性を追及すれば無罪とか不起訴にできるかもしれませんけど。それも日本の恥さらしにもなってしまうので、あまりよろしくないのです。
ついでに「議員には公開しているのだから非公開ではない」は、さすがに情報管理の面からも秘密会の意義(今のところあんまりないですが)の面からも、この論はまずいです。
で、仕方が無いので、「秘密に値するもの」の定義論争が四になるでしょう。
擁護派の「本来は公開しなければならない」はその通りなのですが、だからといって上司の断り無く内部情報を漏洩させて良いのかということの弁明は苦しいでしょう。この行為自体が、政府の統治力が欠如していることには違いないので。
むしろ、仙谷自治労長官の率いる政府の有害無能振りが彼らの主張に正当性を与えてしまうというこの矛盾。。。
たとえ日本の国益を損ねる政府であっても、日本政府には違いないので。
しかも、選挙で選ばれた政府でもある。忌々しいことに。
五に関しては、完全に擁護派に賛成です。仙谷自治労長官的な厳罰派には絶対に与しません。
というか、これを擁護派はもっと言うべきでしょう。
法律論とは別の、そもそもの政治論として。
六に関しても、漁船の船長は絶対に日本国の裁判にかけねばならないのは当然です。
百歩譲って、人質交換で帰すにしても、ビデオ公開などもっと早くやっておくべきでしたし、
積極的に向こうが困ることをやるべきでした。
だから海保職員はこういう、これが違法として確定するかどうかは別にして、明らかな横紙破りをしたのでしょうから。
だったら、売国政府どもに、当該海保職員を厳罰に処させれば良いのです。
そして、その不正義を日本人全員が記憶し、鉄槌を下すべきでしょう。
誤解のないように確認しておきますと、心情的にはくだんの海保職員に同情していますので。
私が菅総理ならば、超法規的措置をとりますけどね。指揮権発動、はまずいかなあ。
担当の検察官でも不起訴にするかな。それで検察審査会でも何でも受けて立つ。
ただ中華様のご機嫌を損ねたくない人は、絶対にやらないでしょうけど。
結論としてどうしてもまとめろといわれますと、厳罰でも不処分でもなく、可能な限り寛大な処分を求めます。
やりきれん。
野党は、海保長官の辞任とか、馬渕国交大臣の問責決議とか言っている場合ではないでしょう。戦う相手を間違えている。
とにもかくにも、
官房長官問責決議の提出!
が最優先でしょう。