戦前政治政治への誤解

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 今回原稿を書いてて驚かれたのが、憲法から日本近代史を観るという試み。私としては普通のことなのだが、今までの政治史とか行政史の人たちは、政治家や個人の逸話や人間関係には詳しいけど、制度とかそれが実態としてどういう意味を持つのか、とかいう視点がほぼ皆無に近いからなあ。法制度って、建前ではあるのだが、その建前を踏まえないと、実態はわからないのだが。もちろん、建前だけでもダメだが。

 ところで、普通の人の戦前政党政治への印象はこんなもんでしょう。

「民衆の権利を求める自由民権運動のような立派な大衆運動があって、そのおかげで全然民主的ではないけれども一応明治憲法ができたけれども、官僚機構の前に男子普通選挙ひとつ中々できず、やっとできた政党政治は二大政党の腐敗であっという間に滅んで、常に軍部という巨大な勢力の介入の前に不安定な政権が、侵略戦争という愚かな破滅に向かって突き進んでいった。ついでに、天皇と言う何だかよくわからないがものすごい権威が存在していて、天皇の立法権に協賛するに過ぎない議会の権限は弱く、しかも衆議院は特権階級の貴族院が対等の機関として存在していて何もできないに等しかった。民意が反映されることはまったくなかった。」

 あ〜、助詞以外全部間違いという文章を書いてしまいました。ハイ、この「」の文章、全部間違いです。教科書にそう書いてあるから仕方ないのだが。

 私から見るとこの文章、あまりにもひどすぎてそれこそ大学院生なんかが書いてきたら、十時間くらい説教なのだが。ここまで間違った歴史を、大学院で勉強する前の自分も信じていたのだから、普通の人が鵜呑みにしてしまうのも責められまい。というか、これが何となく訳わからなかったから自分で研究し始めたのが進学(大学院の場合は「入院」という)のきっかけです。

 さて、鍵をひとつだけ。先の「」の文書の最後に、「日本国憲法ができてはじめて民主主義がもたらされた」と続けると、誰が歴史を歪曲してきたか、これまで日本人が信じ込まされた歴史が特定の誰かにとってものすごく都合が良いことが見えてくると思います。

 さあ、謎解きのはじまりだぁ!