この本は何が何でも紹介せねばならないので、紹介。
和田 洋巳先生が長年の治療と研究の成果をまとめられたのが、こちら。『がん劇的寛解 アルカリ化食でがんを抑える』
角川新書から発売されて2週間強、評判がいいよう。
献本されたはずが、角川が相変わらず使えない会社なので届かず、自分で買って今日読み終えた。(もっと早く書きたかったけど、アマゾンから届いた日に角川から届いた)
和田先生には、父の小細胞肺癌を治していただいた。今も倉山塾生の佐伯さんがお世話になっていて、寛解3年1か月とか。
お医者さんなら、この時点で和田先生が超名医と即座に理解できるはず。普通の人に分かるように言うと、小細胞肺癌はがんが治ると言われる現代でも「治らない病気」とされている。正確に言うと1回目は治るけど、再発率が高く、再発した後は2年以内に死ぬ病気とされている。2年という数字は今はどうなっているか知らないけど、概ねこんなもの。その小細胞肺癌を、私が何年も前に聞いた時は、5人治されていた。
私は癌で苦しんだり絶望している人には、和田先生を薦めることにしている。ただし、和田先生の医学界での評判はすこぶる悪い。和田先生の肩書は京大医学部名誉教授なので、本来は医学界のメインストリームを歩んでいる人のはずなのに、「和田教」「あの人だけはやめておけ」とさんざん言われる。なぜかの前に、本の紹介。
第1章は、日本でのがん治療の実態。
そもそも論だけど、医者は「結果責任」を求められていない。当たり前の話で、人は必ず死ぬのだから、「すべての人間を死なすな」なんて無茶な結果を求めてはならない。その代わり、最善を尽くすよう求められる。そして何が最善なのかは、「科学的な治療」を行っているか。何が科学的なのかは、学界の総意のような何となくの多数決で決まる。外科学会とかなんとか学会とかで決を採る訳じゃないけど、みんなが「これが正しい!科学的だ!」という結論が科学的であり、その総意に反する医者は「トンデモ」と言われる。事実、トンデモも多く、和田先生も一緒くたにされている。
ただ、ここに落とし穴がある。医者からすると、「最善を尽くしました。患者は死にました」は日常茶飯事だけど、患者からしたら「それ、本当に最善なのか」ということも多い。事実、ウチの父も小細胞肺癌が再発した時に通常医療を拒否し「アンタ、医者だろ?なんで私らの医療を受けないんだ」とさんざん罵られたが、「医者だからアンタらの治療は受けんのじゃ!」と、迷わず和田先生の治療を選んだ。そして、治った。
和田先生をトンデモ呼ばわりする人は「あの人の治療は学会(界)で認められていない。エビデンスが無い」と言い張るが、うちの父や佐伯さんを治してくれたわけで、私にとってはエビデンスがある。そんなにトンデモ呼ばわりしたいなら、和田先生より多くの小細胞肺癌の患者を治し、小細胞肺癌を治る病気にする治療法を確立してエビデンスを出せばよいが、それはしない。
という背景を知って読んでいただければ、この章、そして全体の意味が分かると思う。
2~5章は「癌とは何か」、6~9章は「じゃあ、どうするか」
奇をてらったところは一つもなく、科学の王道に基づいて証拠を収集しつつ検証し、方法論を組み立てていっているだけ。
私が信頼するお医者さんは、「それ何?」「何の為に?」を必ず問い続けている。
「癌って何?」「その治療、何の為に?」を考えないで、「教科書に書いている通りの治療をします」で殺されたらたまったもんじゃない。
和田先生自身が京大で癌治療を行いつつ、「これでいいんだろうか」と悩んでいて、今のやり方にたどりついたそう。
ウチの父の例で言えば、2回目の治療を通常医療で受けていれば、治る見込みがないのにただ苦しい思いをするだけ。「何の為に?」という話になる。
和田先生のクリニックには、絶望した患者さんばかりが訪れるのだけど、診療室からは笑い声が絶えず、帰る時には希望に満ち溢れている。
和田先生は常々、「どんな治療法を受けるかは患者さんが自分で決める」とおっしゃっている。
ご一読をお勧めします。