菅内閣の有識者会議で、旧皇族男系男子孫の皇籍取得に賛成が12、反対が9と割れた。ついでに言うと、女系論は賛成が7、反対が14。
菅内閣、「女系天皇」論を永久に葬り去る一歩手前まで来ている。
そこで「女系天皇」論者は、旧皇族の皇籍復帰を阻止しようと必死だ。言うに事欠いて、「憲法違反だ」と言い出した。
なるほど、憲法第14条には国民を差別してはならない、と書いてある。
第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
さて、天皇・皇族は国民でしょうか?
憲法学の教科書には、「人権の例外」として天皇・皇族について書かれている。「芦部の憲法」にも「四人組の憲法」にも書かれている。有識者会議で呼ばれた憲法学者の宍戸・大石両教授も承知している事実である。
その上で議論する。
現行法と実務において、皇族と国民は区別される。国民には戸籍があるのに対し、皇族にはない。あるのは皇統譜だけだ。
そして、現行憲法体系下において女性の国民が皇族になった例は三度ある。
これも憲法違反の差別なのか?
現在、国民として暮らしておられる旧皇族の男性が皇族となられるのが、何が問題なのか。少なくとも、憲法上の問題はない。
もし問題があるとしたら、太后陛下も皇后陛下も東宮妃陛下も、憲法違反の存在なのか。
もちろん、小室某氏のような皇室となんのゆかりもない一般国民が皇族となるのは問題がある。しかし、今はその話はしていない。
女性の国民が皇族になるのに問題が無く、旧皇族の男性が皇族となるのに、何の問題があるのか。
少なくとも、有識者会議の議事録で宍戸・大石の両教授のどの発言が、この疑問に答えているのか。
なお、東大憲法学の宍戸氏と京大憲法学の大石氏がそろって言っているのだから憲法学の多数派であり、「憲法違反ではない」との意見は百地教授が孤立した見解を述べたに過ぎないという論者もいる。ならば女系論は14対7で反対論が多かった事実を認めるのであろうか。
「旧皇族男系男子孫の皇籍取得は憲法違反」との意見は、何ら立証された議論ではない。