自民党に政権担当能力はあるか?

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 今次安保国会によって誰の目にも明々白々となった事実がある。

安倍内閣は安泰である。

岡田克也ある限り。

 よって、いくら政権批判をしても安倍内閣が倒れる心配をしなくて良いのだから、

日本国のために言うべきことは言わせてもらう。

 えてして安倍支持の保守派は「政権の足を引っ張るべきではない」などと建設的批判すら封じる傾向があった。今国会の体たらくでは本当に危なっかしくて批判ができなかったが。
しかし、本法案反対派の愚かな議論に引きずられるうちに、致命的な陥穽に落ちてしまうのでは本末転倒だ。
また、賛成派が愚かな反対派の愚かな言動に付き合ううちに、本当のことを聞きたい圧倒的多数の日本国民にソッポを向かれたのでは、日本を敗戦国のままにさせたい勢力の思うつぼだ。

だから今日から言うべきは言う。 

 まず法案の中身について一言だけ触れておく。
衆議院での論評に値しない審議は何だったのか。
安保法制で、戦争になる?徴兵制が導入される?

妄想も休み休み言え。

 そもそも、今回の安保法制など、しょせんは公明党が賛成する程度の内容しかないのだ。

 たとえば、ある国と一緒に行動していた時に攻撃された場合、自分が攻撃されなければそのある国を助けられなかった。
それが今回の安保法制で「助けられる、場合もある」くらいの内容だ。
そんなの今までだって脱法的に―といって悪ければ、屁理屈をひねり出して―やっていたのだから、大した内容ではない。
繰り返すが、しょせんは公明党が賛成できる程度の中身なのだ。
むしろ今回の体たらくでアメリカの親日派などは、「日本は、ますます何もしない気か?」と怒っているのだから。

 

 さて、政権与党の諸君と安倍応援団言論人に問いたい。
(昨日のニコ生の内容の繰り返しではあるが)

質問一
集団的自衛権は日本国憲法の施行以来、一貫して行使を禁止されてきたのか。

関連質問一
この点に関し、安倍首相自身の説明と、政府自民党の説明が食い違っているので問いたい。
『WILL』での首相の説明では「法理は否定しない」となっているが、
自民党のQ&Aでは「今回はじめて行使する」かのごとき表現になっている。
また、安保法制懇の報告書では「憲法解釈の変遷」から始まっているのに、
「解釈改憲はしていない」などとしている。
解釈変更と解釈改憲の違いは「合理的であるかどうか」だそうだ。合理とは何で、誰がどのように判断するのか。まさか内閣法制局で、その合理性は日本国憲法施行以来一度も揺らいだことがないなどと強弁するつもりか。

質問二
安倍内閣は、日本国憲法の施行以来一貫して行使を禁止されてきた集団的自衛権の行使を、一内閣の解釈だけで行使できるようにしようとしているのか。

関連質問二
産経新聞の説明ではこのように読み取れる。
安倍首相自身の説明とは違っているが、もし産経新聞の言う通りなら、反対である。
反対派の主張する立憲主義の否定どころか法の支配(法治主義)の否定だからである。
違うはずだが、如何か。

質問三
集団的自衛権は今まで一度も行使されてこなかったのか。

関連質問三
米軍への基地提供、紛争当事国への資金提供(例・湾岸戦争)などは国際法では集団的自衛権の行使だが、何を根拠に言い張るのか。
それとも日本は国際法とは関係のない国であり、文明国ではないと主張する気か。

質問四
安倍内閣は、いつまで内閣法制局に頼り切るつもりか。

関連質問四
内閣法制局は、確立された国際法が何であるかは自分たちが決める、日本国憲法に抵触すれば確立された国際法とは看做さない、国際法が何を言おうが、自分たちが解釈する日本国憲法が優先する、などと宣言している。
これは「李氏朝鮮式夜郎自大」「小中華主義」「天動説的思考」とでも称するしかないが、安倍内閣はこのような勢力と結託し続けるつもりか。
それとも、日本国民に対して堂々と条理を説いて理解を求める気か。

 以下、所感。
安保法制反対派のせいで、まともな議論が全くできなかった。
しかし、愚にもつかない反対派よりましだから、と自民党はおごっていなかったか。
野党の時、「国民は民主党を選ぶような馬鹿だ」という声を何度も聞いた。

 ↓こういう声は超少数派と聞く。

小泉進次郎氏、「国民の理解得られない一因は自民党に」 番組出演規制も批判

※ここは、ネットの住民に関してのみへの意見。リアルな自民党関係者は読み飛ばしてください。※
 小泉、と名前を聞いただけで、
「新自由主義ガ〜」「格差社会を作った〜」「ジャパンハンドラ〜」などとネットのどこかで拾った用語を脊髄反射で羅列するアホが後を絶たない。
別に進次郎氏を支持せよと言っているのではなく、中身に耳を傾けたら、と言っているにすぎないのだが。

※読み飛ばし終わり※

 当たり前の話だが、自己反省のない組織に未来はない。
むしろ古き良き自民党の強さは、常に自己批判を繰り返し国民の声に耳を傾けてきたことのはずだ。
それが、五十年前と見まごうような左翼とのじゃれあいに終始し、国民に呆れられると「国民は理解が足りない」と逆切れする始末。
申し訳ないが、今の安倍自民党内閣の説明では、賛成したくても反対せざるを得ないような、致命的にまずい説明を繰り返している。
少なくとも、与党の自民党や最も理解があるメディアである産経新聞の説明とすら食い違っている。
最大限弁護しても、安倍首相は言うべきことを言っていても、強調すべきを強調していない。

 上記、最も重要な点に関してだけ四つの質問を並べたが、
一つでも答えられないようなら、政権担当能力が無いと断言するしかない。
なんなら、一生、法制局の靴の裏をなめて生きていけばよい。それはそれで一つの生き方として否定しないが、それでいいのか?この点こそが、安倍内閣が陥った致命的陥穽なのだ。戦後レジームの本丸は、日本国憲法の解釈権をでたらめに独占してきた内閣法制局ではないのか?

 そこに頼り切って、出鱈目を言わされていることに気づいていないこと、これを私は批判する。

 最後に。
去年の閣議決定に向けての段階以来、
この程度の建設的批判をできずにきた安倍応援団の保守系言論人こそが、

現在の事態を招いた戦犯であると述べておく。

 目的語の固有名詞は適当に入れ替えてもらっていいが、
「安倍さんは辻本清美らを相手によく頑張っている」と褒めそやす言論は腐るほど聞いた。

 しかし、内閣法制局が佐藤内閣高辻正巳長官以来続けてきた出鱈目な解釈に関し、安倍応援団の誰かが命懸けで戦ったという話は聞いたことがない。
聞いたとしても安全地帯の外野で吠えていた程度で、安倍首相に本気で「内閣法制局と戦いましょう」と迫った人がいるのか。
日ごろ、安倍首相との近しさを誇る応援団の連中は、何をしていたのか。

 反論求む。