注意
今回の記事、
前半は悪意に満ちています。マナーの悪い方の為の記述です。
後半は善意に満ちています。マナーの良い方の為の記述です。
斜め読み・飛ばし読み・誤読をすると頭が悪くなります。
注意して読んでください。
日頃この砦をご愛顧してくださる方には目障りな部分もありますが、この話題をすると必ずあちこちで変な言動をして私を困らせる人が多発する故の措置であると、御寛恕のほどを宜しくお願い致します。
最近大人しくなったのかなと思ったら、保守論壇では相変わらず「旧皇族復帰か女系容認(男系破壊)か」の論争が続いているらしいですね。ということを人から聞かされて且つ質問されたので久しぶりに。
私は読んでなかったのですが、今回の『SAPIO』で小林よしのり氏が女系論に関して新しい論点を出しましたね。数日前に確認しました。
曰く、
「旧皇族復帰論者は、旧皇族復帰には先例があるが、女系には先例がないというデマを流す。しかし、最大十親等までが先例で、現在の旧皇族復帰案はとんでもなく離れているので先例にならない。女系天皇の先例は天智天皇と元正天皇がある。お二方とも先帝かつ母上が天皇であり女系継承である。」と。
「デマ」ってこの砦のこと?(笑)他に誰が言っているのか知りたいです。
正直あまりに頭が悪い議論があちらこちらで続いていたので辟易して、白川のストーカーばっかりやっていたので。爆
人格攻撃ではなく真っ向からの論理を打ち出しており、批評に値すると思うので、
敬意を評して一言で。
それが通用するなら、
一条経嗣はいらんわなあ?
あー、終わってしまった。と、天皇家の歴史に関して私より知識がある人に笑われそうな発言ですね。「倉山君、言いたい趣旨はわかるけど、おちょくりがすぎるよ」などという声が聞こえてきそうで。実はこの話、十数年前にしてた議論でして、私より天皇家に詳しい学界の権威の方からすると、そういう反応になります。
つまり今回の小林氏の論理、プロの世界では一撃秒殺レベルです。
たぶん、上の私の一文が何を言っているのか普通の人はわからないでしょうし、そもそも一条経嗣なんて普通の人はわからないでしょうけど、専門家では常識ですから。
というか、歴史学だと直接の専門でなくても知らないなら、大学院生やめて他の道に行きなさいレベルです。少なくとも私の修行時代はそうでした。今は知らないですけど。
もし私が何を言っているのか即座にわからないなら、皇室をめぐる議論に参加する資格はない、ましてやプロの仕事に対していちゃもんをつけてはならない、ということです。
「プロの仕事は尊重せよ」は小林氏が作品中で一貫して強調していた点だと思いますので。
わからない知らないなら、少なくとも竹田恒泰先生をとやかく言うのはやめるべきです。これは誰に関しても。特に小林氏の議論を妄信している人に申しあげたいことですが。
さらに補足すると、あえてわかりやすい例ではなく「一条経嗣」などという、プロなら誰でも知っていて、プロならむしろ「厳密な議論では不適切なので持ち出さない」ような人物を出したか?
自分で勉強する気もないのにプロにいちゃもんをつける輩、
誰かの受け売りを妄信して一つでも気に入らない発言があれば感情的に噛み付く輩、
ネットで漁った情報だけで文句をつけて「説明してみろ」などと人の知識をタダ取りしようとする輩、
の素人議論を相手にしたくないからです。それでも勝てるとなめているというのもありますが。はっきり言いますけど、今のリアルな論壇でも、ネット論壇でも、竹田先生の話の枠を超えた議論などないですから。だから、上記のような「横綱稽古相撲」みたいな挑発的な議論をして平気な訳です。
要するに、所謂「コヴァ」に時間をとられてくないということです。
大体上記のような人をおちょくった反駁をすると、
「何を言っているのか説明しろよ」と絡んでくる人が多いのですが、
学問を仕事としている人の世界でそういうものの言い方をした時点で、
議論参加資格なし!
で終了です。
別の言い方をすれば、
勉強しなおせ!
自分で調べろ!
などとなります。
ネットでのアマチュアの論争ならいざ知らず、プロが絡む話の時は資格が問われますから。
と言って、この砦では「反対意見は一切受け付けない」という姿勢はとりませんが、やはり何にも努力をしない人の反論を聞かされるのもこちらの気分が悪いだけなので。で、「一条経嗣が何者か」「上の私の発言が何を言っているか」を知りたい方への手ほどきを。
第一課題として
竹田恒泰『旧皇族が語る天皇の日本史』(PHP新書)と、関係があると判断した同書の参考文献すべてをお読みください。
あと、一条経嗣の経歴は、ウィキペディアも『鎌倉室町人名事典』もたいして変わらないので、調べといてください。
それで私が何を言っているかわからなければ、御質問をどうぞ。
ただし、最低二週間は答えませんけど。それくらいもしないわ、知識もないわで反論されても困る、という私の気持ちわかりますよね。
ちなみに「一条経嗣云々の議論」ですが、小ざかしい院生が思いつきそうなことへの反論は用意していると言うか、「詰みまで定跡化している議論」ですので、反論ならば御覚悟の上で。生半可な知識での上から目線の議論ではなく、立証された反論を待ちたいものです。
その昔の修行時代に一条経嗣の直接の専門でもない私が、直接の専門にしているはずの大学院生(先輩だったかな?現在は某有名大学の教授のはず)の論文を木っ端微塵に粉砕したのを思い出してしまいますねえ。という裏づけがあるので「詰みまで定跡化している議論」とか言い切っている訳です。
もちろん、まじめな質問は大歓迎です。
しかし、悪意はこもっているは、知識もないのに真面目に自分で調べる気はないわで、まったく立証されていない反論にもならない主張をぶつけられるのに嫌気がさしているので。
この砦以外でも。
ということで、ネタがネタだけに、こういう風にさせていただきます。
ただでさえ忙しいので。
さて、ここからは後半。
しかし、前半の書き方、異様に攻撃的な表現ですね。(と他人事のように)
読解力がある方ならわかるでしょうけど、小林よしのり氏には怒っていないです。悲しんでいるだけで。とかいうから、「あいつは冷たい。なんであんなに言われているのに。。。」と竹田先生の熱心なファンの方からは言われてしまうのですが、まあそれは仕方ないとして、私にだって考えがある訳です。
そもそも小林氏は私の相手ではないですし。向こうもそう思っていないでしょう。
私が許せないのは、小林氏の議論を妄信して絡んでくる輩です。
「それ自分の意見じゃないでしょ?あんたオウム真理教の信者か」とか言いたくなるわけです。
礼儀をわきまえない人間に貴重な時間を奪われる、これは小林氏が何度も作品で慨嘆していたことです。それだけに、小林氏の主張を「お前も信じろ」とばかりに絡んでくる人間の浅ましさ。。。ということで、竹田先生の熱心なファンで悔しい思いをしている方は、何か言われた時は穏やかに本日書かれていることを伝えるか、面倒くさければこの砦の存在を紹介してくれれば良いです。
それはそうと、本題。
小林氏の論点をもう少し丁寧に読み解きましょうか。
本当に天智天皇や元正天皇を女系の先例にして良いのか。
確かに、母たる先帝から直接継承しています。
しかし確認しましょう。
天智天皇のお父上はどなたでしょう。舒明天皇です。
天智天皇の先帝(母上)である斉明天皇のお父上はどなたでしょう。茅渟王です。
茅渟王のお父上はどなたでしょう。押坂彦大兄皇子です。
押坂彦大兄皇子のお父上はどなたでしょう。敏達天皇です。
はい、完全に男系ですね。
元正天皇のお父上はどなたでしょう。草壁皇子です。
草壁皇子のお父上はどなたでしょう。天武天皇です。
元正天皇の先帝(母上)である元明天皇のお父上はどなたでしょう。天智天皇です。
はい、完全に男系ですね。
少なくとも、小林氏の主張する「女系天皇の先例」にはできません。「女系天皇でもある男系天皇」の先例にすぎず、むしろ「女系天皇であっても男系天皇でなければならない」先例です。
女系天皇を否定する根拠となります。これは竹田先生が既に強調されています。
天智天皇や元正天皇を女系天皇の先例にしたいなら厳密に議論をしないとだめです。
ただし厳密にすると、宮内庁の望む皇室典範改正案とはまったく違うものになりますが。
男系天皇は天皇家を途切れさせない原理でした。
何親等離れてはいけないなどという先例はありません。
天智天皇も元正天皇も男系です。むしろ、男系を正統化する先例です。
宮内庁が主張するような女系天皇、「すなわち父親が民間人でも良い」などが許されるなら、
藤原氏は摂関政治などと面倒なことをする必要はなかったわけです。
藤原氏の娘が皇子を産まなかったから後三条天皇が即位して摂関政治は終わったのです。
もし男系が絶対でなければ藤原氏は権力を手放さなくても良かったのです。
以上の前後半の議論は既に竹田先生が主張されている話ですが、別の表現で述べてみました。
特に前半はあえて知識のない方がついてこれないような表現で。
実は、「それが通用するなら、一条経嗣はいらんわなあ?」を女系論者や小林よしのり氏の支持者にこそ、分かった上で反論的解説をしてもらいたいなどと悠長に議論をしている暇はないと思っています。
参議院選後の国会、大変なことになりそうなので。
ちなみに日曜日が今週三本目の締め切りなので、たぶん潜ります。
とにもかくにも、羽毛田信吾と白川方明は討伐されるべきである。