日本主導の中東和平で拉致問題の解決を

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 日付は変わって昨日になりますが、いつも国士舘の講師控室でお昼をごいっしょさせていただいている、立石節子先生(気品ある、漢籍と書道の先生です)、宮脇淳子先生(各保守系媒体でおなじみですね。モンゴルをはじめ東洋史の権威です)、安重千代子先生(就職支援の達人で色々やっておられます。生島さんへの支援も私以上に熱心で・・・汗)とはじめて飲みに。

 主賓は、JICAで長年中東問題に携わってこられた成瀬猛先生です。東京外語大などでも教鞭をとられておられます。

・・・などとこの砦では掟破りの身辺雑記をしたい訳ではなく、長年考えていた「日本の中東政策」に関して、専門家の成瀬先生話した内容を忘れないようにしよう、ということです。というか、以下の箇条書は成瀬先生に向けて私が一方的にまくし立てたようなものですので、内容に関する責任はすべて私にあります。しかも電車の中でさらに日米外交当局者の無能ぶりを思い、表現が過激になっているところがあるので、読む際にはご注意を。成瀬先生は穏健な方なので、しかも実務で責任がある方なので、こんな極端な話をしていたわけではありません。

 大事な結論は「日本主導で中東和平をしましょう。それは朝鮮半島問題を抱える日本の国益になります」という大筋での一致ですので、誤解がないようにお願いします。

 

一、朝鮮半島情勢こそが我が国の(主権線に近い)生命線である。拉致問題の解決無しに、我が国は地球上で文明国として生存できない。しかし、まともな国策が存在しない。

一、中東は石油を依存する我が国にとっては(生命線に近い)利益線である。しかし、政府当局者は意味がよくわかっていない。中国と比べると米国と組むしかないのは明らかだが、だからといって何でもかんでも米国に追随すると国益にならないばかりか、その米国が困る。日本はもっと主体性が必要だし、充分可能。

一、朝鮮半島と中東の情勢は大いに関係がある。現にイラク戦争で米国が足を取られ、朝鮮半島情勢に関して何もできなくなってしまっている。金正日や北朝鮮の政権中枢がこの地域の情勢を見ずに外交戦略を立てる訳がない。翻って日本は、イラク戦争後に北朝鮮にいいようにやられっぱなし。ちなみにユーゴ紛争が始まるやいなや不審船をよこした前科があるのがこの国。

一、米国は「悪の枢軸」などと、北鮮・イラク・イランついでにシリアを悪魔化して、イラクを無法地帯にした挙句にイランとシリアを敵陣営に追いやった。アメリカはとにかく敵を作るのが上手い。ここまでいくと呆れるしかない。

一、イラク戦争に関しては、地上軍を動員したのにサダムが「いつもの空爆と同じ?」などと火遊びを続けたのが悪い。あれはどんなに挑発を受けても耐え忍ぶしかなかった。というのは、当時の米国共和党政権では、ネオコンなどという民主党を追い出された転向左派以外に明確な(しかも間違っているからタチが悪い)世界戦略を抱いている集団がいなかったので、暴走する危険が大いにあったので。結果、米国もイラクも、そして日本までも不幸になっている。

一、本来の日本は「金正日より先になぜサダムなのだ?」とイラク戦争を止める立場に回るべきだった。こうなってしまっては仕方がないが、せめて米国がイランとシリアを罵るのならば、なおさら日本はイランとシリアと仲良くすべきである。これは今でも。そして、日本がイランやシリアと話をできるということが米国の国益になるのだということを説得できなければならない。現実にたどったように、核開発で両国を北朝鮮との接近に追いやるなど愚の骨頂。

注・イラクはシリアとイランに挟まれた国です。

一、シリアのバシャール・アサド大統領は話ができる人(成瀬先生は先代のアサド様よりも切れ者とおっしゃっていました。)。先代のアサドさん(シリアのライオンと呼ばれた英雄。半年に一度クーデターが起きていたシリアを安定させた。現大統領の父上)は、海部が中東を歴訪をした時に呼びもしないのに自分から表敬訪問をしにやってきたほど。基本的に親日。この国の諒解なくしてレバノンが安定するなどありえない。よって、イスラエルも安心して眠れない。

注・シリアとイスラエルはレバノンですさまじい抗争を繰り広げています。

一、イランのアフマディネジャド大統領にしても日本に対しては友好的。というか、両国とも米国がここまで両国を敵に追いやるようなことをしなければ、北朝鮮如きと仲良くする理由がない。この国はコーカサスや印パ情勢とも関連するので、非常に重要な位置にある。

注・地図で確認してください。イランは三方が紛争地域への通り道です。西=中東、北ーコーカサス(カスピ海)、東=パキスタン&アフガン。

一、米国はイスラエルや、せいぜいエジプト・サウジ・ヨルダンなどのアラブ穏健派くらいとしか話ができない。欧州諸国にしても誰かの恨みをかっている。

一、日本はアラブ・トルコ・ペルシャ(イラン)・ユダヤ(イスラエル)のすべての人たちから恨みをかっていない珍しい国。実は公正な仲介者の資格があるし、なりうるとしたら日本くらいしかいない。幸い、今の日本を米国と戦争した当時の日本と同じように考える中東の政治家は多い(それだけ米国が嫌われている)。

一、パレスチナ問題などサウジのアブドラ国王陛下が仰るとおりに、イスラエルもパレスチナ(アラブ)も、「あいつの存在は認めない」などと言わずに「お互いに存在を承認して生きていきましょう」とウェストファリア体制にもっていくしかない。すべての国家の利益になるが、アラブとユダヤの双方の過激派には不都合なので、なおさら国家どうしの相互承認が重要になる。全員の矜持を傷つけずに仲介するなどという細やかな芸当ができるのは日本人くらい。

一、中東和平が一時的にでも実現すると現地の国家はもちろん、日米にとっても利益になる。というか、いつまでもイラクに足を取られているから米国の軍事力頼みの日本は半島情勢で何もできない。日本が積極的にこの地域に関して発言すべきでは。米国がイランやシリアを敵視しているからいっしょになって絶交しよう、などという姿勢を日本がとって喜ぶのは北朝鮮とあとはどこだ?

一、日本の外交官や外交史家や国際政治学者が米国や中国や半島に関して何かしらの識見を有しているのは当たり前。そんなことは新聞を読んでいれば素人でもできる。専門家たるもの、それ以外の国や地域のこともわかっていないとならない。そもそも地球儀を見ながら世界政策を考えられないと坂本竜馬より頭が悪い。竜馬より情報量が多い現代人が視野狭窄になってどうする?朝鮮半島しかみないと朝鮮半島のことはわからない。

一、小村寿太郎などはバルカン情勢を見据えながら対露戦争の経略を練っていた。今の日本人にできないはずがない。ちなみに日露戦争は世界大戦になる危険はいくらでもあった。ついでに、中国も台湾も国家承認競争を抱えているので、世界中のすべての国に関して、緻密な政策(というか具体的工作)を実行している。なぜ今の日本はやらないのだか。

一、世界の現状打破勢力、特に超大国アメリカの覇権を打破したいならば、同時多発紛争の勃発が都合が良い。日本が本気で半島問題をどうにかしたいならば、中東・バルカン・コーカサスに関して米国が不関与ですむように努力しなければならない。半島と台湾もノーセカンドチャンスなので、「どうせやるならいっぺんにやろう」などと考える勢力が存在しないなどとなぜ言えるのか。

 結論。

 イランとシリアを悪の枢軸から引き抜こう!

 日本主導で中東和平を!

 ちなみに、ご紹介。

宮脇先生のH.P.はhttp://www10.ocn.ne.jp/~okamiya/

安重先生のブログはhttp://ameblo.jp/c-anju/