SAPIOの「外交英雄」記事

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 今週の『SAPIO』で「外交英雄」に関する記事が特集されていた。外交官・政治家に限らず、日本の外交的地位を押し上げた人物を識者のアンケートでランキングするという内容らしい。

 こういう特集をやると、日清戦争の陸奥宗光、日露戦争の小村寿太郎は必ず上位に位置されるのだが(陸奥は12位、小村は3位)、なぜかとりあげられない人物がいる。
 第一次大戦の石井菊次郎である。

 ざっと大きなものだけ、その功績をあげていくと。。。

一、辛亥革命に対し不介入政策、大陸動乱に巻き込まれず。
一、第一次大戦中、イギリスの外相に説教。予言を的中させる。
一、ロンドン宣言加入、日本を大国にする。
一、石井ランシング協定、聞き訳がなくなってきた米国を黙らせる。
一、国際連盟を仕切り、あらゆる欧州の揉め事を一手に処理。

 どの一行でも金字塔です。以上、一般に余り知られていないが、もっと正当に評価されて良いと思う。少なくとも、日本は外交音痴だと思っている人にこそ、こういうすごい人がいたことは知っておいて欲しい。

 本当はすごいのに、しかも真ん中にいるのに、評価されていない人にはもっと光を当てていきたいと思っている。

「SAPIOの「外交英雄」記事」への0件のフィードバック

  1. 第一次世界大戦において、アメリカは参戦し陸軍を派遣したのに日本は派遣しなかった。

    その英断を下せなかったから日英同盟が崩壊したなんて見方はどうでしょうか?

    だから失策だというんだそうです。

    そういう主張も何度か読んだことがありますが。(自衛隊のイラク派遣と絡めて論ずる方がいます)

    あと倉山先生は、なぜ今日は原爆投下の日なのにそれを絡めた文章を載せないのでしょうか??

    僕は、その件ではアメリカを許せないんです。

  2. すいません。追加です。

    ソビエトの歴史教科書やソビエト共産党大会議事録を高校時代に読んだことがあるんです。

    それによりますと、

    「米英の持つ核は帝国主義のためだが、ソビエトの持つ核は平和利用のためであり兄弟国々の社会主義の利益の防衛のためだ。」

    「アメリカは、広島・長崎に原爆を投下し何十万もの人を殺し不具にした。この原爆投下は軍国主義日本の降伏には全く意味がなかった。なにより、ソビエトに対する威嚇だった。
     結局わがソビエトの参戦なしに日本は降伏しなかった。本土決戦で死ぬであろう米英の兵士たち数十万を助けたのである。」

    「チェコスロヴァキアや中国、ポーランド…。諸国の人民を救ったのである。もしわれわれが立ちあがなければ、保守反動の夜が世を覆い諸国の人民は隷属もとに喘ぎ苦しみ自由のもとでの太陽を見ることはなかっただろう。」

    「ソ連や朝鮮、中国をはじめとする平和愛好国家…。我がソビエトは常に平和のみを希求している。」

    まあこんな感じの本ばかりを、
    「最近の本は西側びいきな気がする。東側から見た冷戦を知りたい。」
    と思って読んだんです。

    だからなんとなく、今でも感情面では(理性ではなく)ソ連への親近感とアメリカ帝国主義への反感があるんですよねえ。

  3. 倉山先生へのご質問ですが、私の意見を書きますね。

    *第一次世界大戦時に陸軍は派遣しませんでしたが、海軍を地中海に派遣して
    ドイツのUボートに対して果敢に立ち向かい、
    その危険な中で、撃沈された艦船から多くの同盟国の兵士たちや民間人を救出しました。
    このことは当時とても感謝されましたし、今でもイギリス海軍は、日本海軍に敬意を持っているといわれています。
    派遣された「松」や「榊」も攻撃され、日本海軍にも犠牲者が出ていますが
    彼らの慰霊碑が地中海のマルタ島のイギリス海軍の墓地の最もいいこころにあります。
    それだけイギリスを含めた同盟国の期待には大きく応えていますので、第一次世界大戦そのものが日英同盟解消の原因には考えづらいです。
    (陸軍派遣も打診されましたが、ヨーロッパより遠すぎることを考慮され、同盟国から理解されています。)

    *日英同盟解消については、アメリカが日英を遠ざけるように仕向けたというのが
    一般的な見方だと思いますが、その契機になったひとつに
    第一次大戦終了後のパリ講和会議で、「人種的差別撤廃法案」を日本が提出したことがあるとも言われております。
    イギリス・オーストラリアが反対でしたが、多数決では一旦可決したかに見えたのですが
    議長を務めていたアメリカのウィルソンが、全会一致でないと認めないと議長権限で廃案にしました。
    イギリスにも、対ロシア共同対応という一定の役割を日本が既に終えたという判断もあったでしょうね。
    もしよろしければ、このあたりの経緯を色々調べてみるといいと思います。
    アメリカに対する違和感を持っているならば、いくつかの疑問が氷解すると思います。

    横レスですみませんでした。

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