私を口先ばかりの安倍応援団と一緒にされては困る。
三年前、日本中が包囲網を敷いて消費増税を安倍首相に迫った時、私と私の仲間たちだけは、一歩も引かずに最後まで戦った。それによって、どれほどの傷を負ったか。
裏切り者を半殺しにしたくらいで、こちらが恨みを忘れると思ってもらっては困る。
時の最高権力者である木下康司に一生消えない傷をつけたのは、我が倉山塾だけだ。
嘘だと思うなら、「木下康司」を画像検索してみよ。
誰が日本人の敵であるか、一目瞭然になっているはずだ。
その私がこの記事に関連し、あえて苦言を呈しておく。
安倍首相が年内解散示唆? 「今年は大切な年」 日商会合で思わせぶりな発言
永田町霞が関では、今年の選挙政局の争点は消費増税の是非と憲法改正となっている。
岡田克也民進党党首と田中一穂財務事務次官があまりにも“優秀”なおかげで、増税阻止も憲法改正もできるのではないかとの期待も高まっている。
憲法に関しては別に脱稿したので、今日は述べない。
安倍首相が増税阻止に向けて解散に訴えるのではないかとの観測も出ているが、もちろん増税阻止は歓迎する。
理解力が無い人間の為に強調しておくが、私はデフレ下の消費増税には反対である。
しかし、増税をやめるのに一々、衆議院を解散するというのは如何なものか。
なぜ、法律を変えれば済むことを、しかも一行書き加えれば済むことを、わざわざ衆議院議員全員をクビにして総選挙をする大騒ぎをしなければならないのか。
そもそも、「選挙とは内戦の代替である」との憲法論を知っていれば、そんな愚かなことはできまい。
もし
「増税をやめるのには解散総選挙で民意を問うことが必要」
「増税をするならば、黙って何もしなくて構わない」
であれば、これこそ官僚支配ではないか。
帝国憲法に採用された米国憲法の数少ない内容の一つが、
「代表なければ課税なし」だ。
すなわち、政府が増税をしたければ国民の承認を得よ、総選挙で選ばれた議会の賛成が無ければならないとの意味だ。
この原則は、今でも文明国の通義である。
もし安倍首相が再び「増税阻止の為に民意を問う解散」を行うならば、文明国の通義と逆の事をやろうとしていることになる。だから反対だ。安倍首相に非立憲(パヨクが使う間違った意味ではなく、本当の意味での非立憲)的行為をしてもらいたくない。
増税をやめたければ、衆参両院で多数を持っているのだから、一々解散などせずに今国会中に法律を通せばよい。それに反対の意見が強ければ、そこではじめて解散すればよい。
今国会中ならば参議院選挙の直前なので、それこそ同日選挙でよい。
参議院が反対したとしても民意を問える。
この理屈は、『嘘だらけの日英近現代史』の第六章で詳述しておいた。
もう一つ、念押ししておく。
私はもともと、「衆参同日選挙を憲法慣例にせよ」との論者だ。二院制で両方とも選挙で選ぶ国で、投票日がここまで離れている国って、日本くらいなので。
(もっとおかしなアメリカという国は論外)
だから、増税阻止の解散による解散総選挙には以上の理由で反対だが、同日選挙そのものは望ましいと思っている。
日本のこころの党益からすると不利だが、それと天下国家は別だ。
そして、もし同日選挙をやるならば、改憲の方をこそ大義にすべきだ。
堂々と、「この条文をこのように変えます」と宣言して。
私は今次参議院選挙で7条と53条の改正に絞るべきだと思っているが、理由は今日は省略する。
安倍首相はどうしても戦後レジーム脱却に道筋をつけたいならば、5%に消費税を減税したうえで、改憲を訴えればいい。
三年前の8%増税をする前の安倍内閣ならば、改憲そして戦後レジームの脱却に現実味があった。
ところが命綱を、安倍首相自らが絶った。そして今に至る。
一昨年の10%阻止など、完敗を大敗に留めたにすぎない。
その証拠に、やらなくていい解散をしてしまったために、去年の安保国会が地獄絵図のような惨状になった。
相手が岡田克也でなければ何回即死していただろうか。
8%増税で失ったものは、5%に戻して取り戻すしかない。
同日選挙をするかどうかへの賛否は、解散の理由による。
いずれにしても、増税延期で解散など非立憲行為だ。
黙って、減税すればよい。
その程度の事すらできなくて、何が戦後レジームの脱却か。
よって、増税阻止、ましてやただの延期のための解散には反対だ。
減税こそが望ましいが、それとて解散は不要だ。
私は本来は衆参同日選挙を慣例化すべきとの論者なので、
今年に解散するならば、改憲を大義にすべきだ。
あえて、安倍首相に苦言を呈する。
これを足を引っ張っていると言うなら結構。
そのように政権へ盲従すべきとする論者こそ、過保護であり、安倍首相を小馬鹿にしているのではないか。
野党第一党党首が岡田克也で、財務事務次官が田中一穂。
敵がこのような状況で、私が苦言を呈したくらいで負けるなら、安倍首相はそれまでの人と言うことになる。
これ、安倍政権に盲従を迫る“信者”こそが安倍首相の敵であると断じる所以である。
安倍首相を応援し、デフレ下の増税を阻止、日本を守りたいと思うからこそ、こういうことを書いた。
最後に。
私は安倍首相の私兵となって戦う気は、一切ない。
お国のために戦う気、すらもない。
ただ、
努力しても報われない、しかも言いたいことを言うこともできずに苦しんできた、かつての自分と同じような人たちのために戦うのみだ。
日本を滅ぼしたい勢力に告ぐ。
倉山兵団の強さ、
思い出させてやろうか?