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論拠とは証拠を証拠たらしめるもの

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地上波まで風説の流布を始めた。

あるテレビ局曰く、「ハーバード大学教授は、コロナウィルスに全人類の70%が罹る可能性があると言っています」

別のテレビ局曰く、「来月から中国は経済活動を再開する見込みです。コロナウィルス対策が重要となります」

後者は、事実に誰でも言える論評を加えているだけ。「あとは自分で考えて」という投げっぱなしの姿勢。親切ではないが、大人の態度とも言える。

一方、前者はもはや風説の流布。本当に、ただこう伝えただけだった。

さすがに、そのハーバードの某教授が、そう言ったんだろうね。それさえ嘘なら知らんが。しかし、それだけ聞かされても、どうしろというのか? 可能性だけなら、何とでも言える。何%くらいの可能性なのかもわからないし、逆の可能性は何%なのか? また、罹ったときの深刻さはどれくらいなのか? 猛毒なのと、単なる風邪なのとでは、意味が違う。

多くの人が不安がっているので、信用ならない言論の見抜き方として、簡単な方法を教える。

証拠(一次情報、生データ)だけを提示して、結論に導いている主張は信じるな! そういう主張は本当なのかもしれないが、嘘なのかもしれない。そういうものを「本当だったらどうしよう」と考えてはならない。なぜなら、人前で「本当だ」と主張しているにもかかわらず、立証できていない言論なので。

大学生レベルのディベートでは「論理の三角形」を最初に習う。

主張、証拠、論拠の三者がつながっていて初めて、立証されたと見做す考え方。極めて簡略した例をあげる。

主張 明日は雨だろう。

証拠 天気予報でそう言っている。

論拠 天気予報は8割当たるので信用できる。

この場合、反証可能性があります。8割しか当たらないのなら、絶対ではありません。

では別の例。

主張 金融緩和なんかデフレ脱却に効かない。
何が何でも財政出動で土木にバラまけ!

証拠 京都大学の〇〇教授が言っている!
出典は~。

論拠 京都大学教授の言うことだから正しいだろう。

これ、大学一年生の反駁問題です。一問多答。さすがに、「出典となる資料でそんなことを言っていなかった」という初歩的なミス以外の論理の反駁の例を示すと、

①なぜ京都大学の〇〇教授の言っていることだけで説得されねばならないのか。権威であることを証明せよ。

②その教授殿は、何を根拠に「デフレ脱却ではなく」「財政出動で」「ばらまく対象が土木でなければならない」と証明しているのか。

③そもそも、その人。工学部の教授やん。専門家じゃないのに、なんで正しいと言えるの?

気づいたら三つで終わっていないのはご愛嬌。(笑)

大事なことは、「論拠が証拠を証拠たらしめるもの」ということ。訓練ができていない人や権威主義者は証拠を出しても論拠がいい加減なので、こちらに専門知識がなくても訓練すれば慣れてきます。

では、実践問題。

主張 コロナウィルスは生物兵器だ

証拠 ~という出典では、「〇〇」と言っている。

さて、その出典の証拠能力となる論拠を示している人、いるのでしょうか。別にいないとは言っていないし、コロナウィルスが生物兵器ではないと断定しているのでもない。立証責任を果たしている論者はいるのか?と言っているだけ。

立証責任はすべて肯定側にあり、否定側には反証責任しかない。これを無視している言論人が多く、しかも意図的な無視により商売をしている悪質な輩がいるので警鐘を鳴らしておく。