宣伝の話(2)ー「中国」という言葉が政治宣伝

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「夏・殷・周・春秋・戦国・秦〜宋・元・明・清・民・共」と現在に至るまで、「中国」という一つの歴史を有する国家(民族)が存在すると思っている人はいますか。
 日本の教科書をよほど猜疑的に検証したりしなければ、そう信じてしまうのだから仕方がない。結論から言います。

 嘘です!

 

「支那」も「中国」もChinaだから誤解を招くが、違う存在である。
「支那」は万里の長城の中の漢民族固有の領土に限定されるが、「中国」の範囲は無限大である。

 統一国家としての中国が成立するのは、秦である。それ以前の戦国時代に至っては異民族同士の抗争である。その後も民族浄化を繰り返す歴史である。
 三国時代など人口の九割が消滅したので、魏は北方騎馬民族から、呉は台湾から、蜀はベトナムから大量に人間を拉致したり移住させたりして兵力と生産力を補ってほどで、純粋な漢民族などどこにもいなくなるのである。
 太古から王朝交代のたびにこれを繰り返すのである。

 宋以後は比較的明確である。
 漢民族は周辺を、満洲・蒙古・回族(ウィグルなどイスラム教徒)・西蔵の主要四民族に包囲されている。

 宋は満洲人やモンゴル人にカツアゲされ(毎年貢納して戦争を勘弁してもらう)、領土を奪われ、最後は滅ぼされる。宋の範囲は他の四民族には及ぶはずがない。

 元はモンゴル人が漢民族を征服して出来た国である。中国ではない。

 明は漢民族が久しぶりに建国した国である。ただし、他の四民族に包囲されている。
 ちなみに元は明に滅ぼされていない。モンゴル高原に顕在である。(北元と呼ばれる)

 清は満洲人が他三民族と緩やかに連合し、支那人を支配した国である。

 中華民国は他の四民族どころか、万里の長城の中すら統治できていない。たんなる無法地帯である。

 中華人民共和国は漢民族が他の四民族を支配した最初である。領域は「清マイナスロシアにとられた土地」である。

 夏から中華人民共和国まで一貫して「中国」などと言う国が存在したなどとなれば、満洲もモンゴルもウィグルもチベットも漢民族(支那人)固有の領土とされてしまう。

 漢民族が支那の範囲を中心に存在し続けたのは確かにしても、独立国家の「中国」として存在したのではない。滅ぼされたり、他の民族の支配を受容したりしているのである。

 一貫して「中国」などと言う国が存在し続けたなどと大嘘を言う。現在の中華人民共和国に与える地域を支配した、元のフビライ・ハンや清のヌルハチを中国人と称したりする。

 だったらマッカーサーは日本人か?

 彼らの勝手な政治宣伝にお付き合いする必要はない。

 次回は「建前の儒教と本音の韓非子」です。

「宣伝の話(2)ー「中国」という言葉が政治宣伝」への0件のフィードバック

  1. GHQはみんな日本人でござる!なんて(笑)
    中国(正式名称:中華人民共和国)なんぞ所詮ここ50年の国家という事実は何処へ行ったんだ?
    そのうち、やつらが皇室はもともと渡来人だから日本は中国のものなんて言いかねませんね。
    そんなめちゃくちゃな連中に乗っ取られてはいけません。
    さて、闘いましょう。

  2. 中華人民共和国の略称としての中国とそれ以外の国を中国と分けるという視点は必要ですね。

    漢民族の国家とチベット人の国家と満州族の国家に遊牧民の国家と本当は鼎立し続けているはずなのにあたかも一つの中国が存在しているかのように教育されていますからね。

    中国という論法で行ったら明代は南北朝(北元と明)やら分裂時代と定義するはずなのに何故か明代は一つの中国の王朝としてとらえるという矛盾が生じますね。

    それになぜか元王朝が中国の一つの王朝として換算されているという奇妙な事態が起きてますしね。

    不思議さ奇妙さがきりがないですね。

    高句麗論争もあり朝鮮が中国の領土だなんて話になりつつありますし沖縄も琉球のことを根拠に中国領になっちゃいますし。

    自民族ってか共産党政権の都合のいいように主張しているようにしか聞こえないです。

    でもそれがプロパガンダとして定着しやがては事実になるあたりが国際政治の真の怖いところです。

  3. 最近、「僕はアメリカが嫌いなので、親中だな」と言った方がいた。

    ロジックがおかしいのはスルーして、過去に「大躍進政策」、「文化大革命」というとんでもない負の歴史を直視できないのに、日本に「歴史を直視せよ」といっている国が好き!?

    この「砦」を教えなければいけないと感じた今日この頃です。

    さぁ、「十倍」闘わねば。

  4. 宣伝戦にあける対抗方法(アプローチ)として、とりあえず思いつくのはこんな所でしょうか?
    1.人は人、自分は自分で自分たちの論理を同様に宣伝する。
    2.過去の相手の過失を殊更に大きくしてアピールする。
    3.相手の宣伝内容が嘘である事をばらしにかかる。

    勿論、行う以上は同時進行でやるべきでしょうけど、やはり3.の技を有効に使って行きたい所でしょう。上手く決まれば、相手を「オオカミ少年」の地位に貶めることが出来るわけで、後がやりやすいと言いますか、効率が良いのではと思います。

    この状況下で避けたいのは、やはり日本的な「言わせておけ」というような無視と沈黙だと思います。日本人同士なら分かるこの呼吸も、国際社会では暗黙の同意または拒否との回答になってしまうのでしょう。
    まったく・・・、何て品の無い奴らだというのが率直な感想ですが、まあ彼らなりに歴史の中で身についた、生きていく知恵みたいなものなのでしょうね。「法の支配」が成立する国、日本に生まれた事を幸せに思います。

    続きを楽しみにしております。それではまた。

  5. 似非知識人のふりをして実は知識人らしい、かしわもちさんあたりが詳しいと思いますが、夏王朝、殷王朝の実在証明は厳密にはまだ成立していないんじゃないかと思います。つまりいかに歴史があるかという政治的道具になっている可能性もある。

    それに支那史で正潤論争をやってしまうと、中華民国と中共はどちらに正統性があるかという問題も出てきます。第一重大な「儀式」である前王朝(国家)の正史がまだ発刊されていませんし。

    >藤沢秀行さん
    我々がまずできる方法として、大カトーの手法があるように思えます。

  6. 歴史教育もそうですが、「日本の教育事情ってなんでこんなに遅れてるんだ?意図的に嘘を流布したいのか?」と思うことは、よくあります。

    世界四大文明、というのを世界史の授業の冒頭で習った人も多いと思いますが、最新の考古学では、「古代文明の中でも特に代表的な四つ」ぐらいの意味しかありません。この話は、『マスター・キートン』1巻でも説明されています。市民革命なんて、未だに階級闘争史観だけで説明する始末ですし。

    理科教育でも、未だに「水の沸点は100℃」とか「菌類は植物の仲間」という古い知識が流布されていますが、最新の科学では水の沸点は99.7℃前後(気温や気圧で左右されるので、正確には確定できない)ですし、菌類は植物でも動物でもない第三の生物群に分類されています(『ウルトラマンダイナ』でナカジマ隊員もそう説明しています)。

    英文法なんて、16世紀の英文法ですよ。16世紀といえばエリザベス1世やシェークスピアの時代。日本では秀吉の時代から江戸初期です。古典英語を未だに有難がって勉強させられてるんです。

    保健体育で習う心理学なんて、いまや学界ではほぼ完全否定されているフロイト心理学を未だに有難がって教えてます。『フロイト先生のウソ』という本もあるらしいですが、学校教育より市井の学者のほうがよっぽど最新研究に熱心です。

    いったい文部科学省は何をやってるんだ!?何か利権でも絡んでるのか?と聞きたいです。

  7. 仙台さん
    いつもお世話になっております。
    面白すぎwwwwwwwww。今日はまた一段と冴えわたってますね。
    みんなでやってみましょうか、これ。
    ・・・この位にしておきます。失礼しますた。それではまた。

  8. つねお様
    はじめまして。

    >この「砦」を教えなければいけないと感じた今日この頃です。
    >さぁ、「十倍」闘わねば。

    このお言葉、さらに戦わねば、と勇気が出ます。こういう応援の書き込みが嬉しいです。
    今後ともよろしくお願いします。

  9. >叔父さんの息子さん
    文明論を言うと、世界最古の文明は日本の縄文時代ということにもなりますね。文明の定義にもよるんですけど。そういう意味では先週までやっていた東博の土偶展はなかなか見応えがありました。

    で、東京でのハプスブルクですが、新美術館という、結局はイベント会場でしたので、ある意味京都の方が風情があるかもしれません。エリザベートは切手になっていま入手可能です。

    あー奈良で遣唐使展があるのですがどうしようかなあ。

  10. 中国が継続していたかどうかについては、岡田英弘東京外語大名誉教授の本を読まれるのが一番かと思います。
    私の先生の研究仲間でしたので、講義を受けたことがあります。
    正史と言えば私は中華民国の「清史稿」で勉強しました。
    メインランド・チャイナの方の「清史」もあったけれど、先生が使わなかったですね。
    「役に立たない。」って言ってました。
    私が習った先生たちが中国史よりも「遊牧民族」の専門家だったので、正史に書かれていることは「嘘」と分かりました。
    清朝の正式公文書の「大清歴朝実録」でも、乾隆帝に両江総督と湖広総督が嘘を報告していますからね。
    公文書で堂々と嘘を報告するんだと言ったら、先生に「お前ら今頃分かったのか。あいつらが紙に書いてあることは全部ウソだ。だからお前らは・・・。」と叱られました。

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