その道の専門家の常識を知ろう

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検察人事に関し質問が飛んできたので、答えておく。

なぜ検察人事を読み解くのが難しいか。年齢が絡むからです。

詳しくはこちらを。

黒川検事長定年延長とIR5議員の立件見送り

さて、少し最近の検察を追っていると、「黒川さんは稲田さんと同い年では」と言われると違和感があります。その理由がこちら。生データを見ろ!バン!(笑)

稲田伸夫 検事総長     昭和31年8月生まれ

黒川弘務 東京高検検事長  昭和32年2月生まれ

林 真琴 名古屋高検検事長 昭和32年7月生まれ

これだけ見ると、「稲田さんと黒川さんは学年は同じなんだから、同い年と言って間違いないのでは?」と言えますが、そんな検察ウォッチャーは一人もいない。なぜならば、法務検察は司法修習所の期数が絶対の基軸だから。

この辺りは、弁論部が学年、松下政経塾が入塾の期数を優先するのと似ている。

たとえば、代議士の国場幸之助君は3浪なので、年は私より上だけど、学年は1個下。同じく武井俊輔君は年は私の1個下なので国場君の同期。年齢関係なく、私は彼らの先輩だし、武井君と国場君は同期。ここに年齢を持ち出す弁論部関係者は一人もいない。持ち出しても相手にされない。そういう世界。

法曹の世界がどこまでかは、そこまで知らないけど、常識として年齢よりも司法修習所の期数の方が圧倒的に大事。3人の期数をあげると、

稲田さんが33期、黒川・林は35期。

さらに言うと、慣例で検事総長は2年が普通。そこで33期の次は35期、という流れで人事が動いてきた。ますます、「稲田さんと黒川さんが同い年」と言われると違和感がある。

こういう、「その道の専門家の常識」を無視すると、言論として即座にトンデモ扱いされるので、気を付けた方がいい。だから、「生データを見ろ!」とか言われても、その生データ(証拠)を読み解く方法論(論拠)が無いと、プロの言論ではない。

「論拠の無い証拠に証明能力が無い」の原則は、学者、作家、評論家、ジャーナリスト、関係ない。プロならば絶対に身に着けていなければならない。

とはいうものの、検察人事は難しく、自分だって本を書いている時にちゃんとわかっていたかというと、正直、自信無くやっていた。今でもそう。

ちなみに白川司さんが「稲田、黒川は同い年と言ってもおかしくないのでは」と言っているのは知っているけど、たぶん「その道の専門家の常識」を知らずに論評したのだろうと思う。そういう意味で、知っているはずの癖に大嘘を垂れ流している須田慎一郎の罪は重い。悪質。白川さんも言論の世界で生きていくなら、ああいう悪質な言論を見抜ける目を養わないと、いつか痛い目に遭う。昔は雑誌に書けるということは編集者に鍛えられたものだが、今はそういう時代ではないのだから。

以下は白川さんと分離しての一般論。

最近、誰から聞いた話や、ネットの生データを眺めているだけでプロの言論人をやっている輩が多すぎる。典型例が、江戸時代の専門家の意見を持ってきて古代史の通説を批判するアホ。←この人物は実在する。

目の肥えた読者が増えないと、いつまでたっても正論は通らないと心得るべし。