宣伝の話(5)―相手と対等にやりあうな!

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 関係がない話から。
 日本人の美点は、他人をおもんばかることだと感じる。この「おもんばかる」という意味での「空気を読む」ができない老人が増えたようだ。もちろん、学級崩壊をさせてしまう子供(これが20代で大学生をやっていたりする!)などもいるにはいるのだが、多数の若者は逆に「何となく」感じる能力には長けているようである。これは教員としての感触である。

 日本という共同体、国家であれ郷土であれ、「おもんばかる」という意味での「空気を読む」風土がないと、再生させたり守ったりする価値があるのか、という話にはなりかねない。

 ただ、この相手の立場を「おもんばかる」態度は、個人同士の付き合いならいざ知らず、国際社会では欠点にしかならない。そして、普段国内の政官界で威張り散らしている人間に限って、外国ではまったく不要な媚び諂い方をしてくる場合が多い。

 外務省の売国を叩く議論がこの十年ほどで流行したが、そこで叩かれているようなことは大正昭和からずっとやっているのである。明治の外務大臣で無能な人を探すのは難しいが、大正以降で優秀な人を探すのははるかに難しい。

 昭和期の外交官など、戦前戦後関係なく、国内では空気の読めない老人ぶりを発揮し、外国では不要なまでに相手の言いなりになってくる、しかも国益を損ねてもまったく罰せられないような制度設計だけは巧妙にできている。

 さて本題。
 戦前日本外交の最大の失敗。(といっても他に色々あるが。)

中華民国をまともに主権国家として扱ったこと!

 当時の中華民国(1912〜1949)には、まともに全土を統治する政府が存在しない。北京にも南京にも、どころか各省ごとに軍閥が勝手なことをやっていて、とか。国際会議に北方と南方のどちらの政府を呼ぶか、とか一々もめて。。。

 満洲事変直前(1930〜31年)など、南京の蒋介石に抗議をしたら「直接、現地軍閥の張学良と話してください」となって、張学良に抗議をすると「歯が痛い」と断られ。
 何より日本人の外交官に訴えた時点で「抗議なんかすると、親日的中国人が困りますよ」
などと中曽根康弘みたいなことを言われる。
 誰が抗議していたか?仕方がないので陸軍が外交官に懇願して嫌々してもらっていた。
 よく「陸軍の軍人は簡単に軍刀を振り回して脅してきた」と当時の外交官の回顧録に書いてあるのだが、例えば『陰謀・暗殺・軍刀』の著者の森島守人など・・・以下自粛。

 当時の中華民国など国家の資格などない。
 単なる団体である。交戦団体、の意味での団体である。
 いざ戦うとなったら、捕虜虐待とか、お互いに不必要に残虐なことはしないようにしよう、
その為に存在だけは認め合いましょう。それくらいの扱いで良いはずである。

 なぜか国連の非常任理事国とかやっていたが。国際連盟を常任理事国の日本が脱退するのではなくて、追い出せたはずなのであろう。まともな外交能力があったら。

 さて、現在。
「朝鮮半島の北緯三十八度線以北は暴力団不法占拠地域」である。これを否定することは、一九六五年日韓基本条約に違反する。暴力団といって悪ければ、「交戦団体」で十分である。暴力団も交戦団体も、団体であって日本と対等の意味での国家ではないのは違いないので。

 今の日本は、朝鮮民主主義人民共和国を名乗る団体を国家承認をしていない、「拉致問題の解決なくして国交正常化なし、国交正常化なくして経済支援なし」の高村原則を何とか守ってはいる。彼の団体の国連入りを阻止するのは日本の能力を超えているので仕方ない。
 それらの意味で戦前の反省をしていると言えるのか。

 否である。
 二〇〇二年小泉訪朝直後、斎木昭隆という珍しく気骨のある外交官が普通に交渉をしたら、向こう側が「お前達は我々を犯罪者扱いするのか」と言い出した。
 こちらとしては金正日が自身で拉致を認め謝っているので、犯罪者扱いしなければならない。
 それは向こうの外交官もわかって言っている。ここまでは外交交渉の定跡である。
 ところが斎木さんを一番攻撃したのは誰か。
 日本外務省である。
 曰く「向こうの機嫌を損ねるな」「日朝国交正常化ができなくなる」
 この一時をもってしても時の川口外相、まったく評価できない。

 会議をぶち壊して空気がまずくなって、それで国益が守られたらむしろ交渉の成功である、ということがわからないで外交官をやっているから困る。

 ついでに金正男と思われる人物を拘束した時に「人質外交をやってはいけない」とテレビで絶叫していた大学教授がいた。
 イニシャルで書くがO此木と名乗っていた。
 なぜしてはいけないのかさっぱりわからなかった。
 人質外交をしてはいけないなら身代わり外交として自分が行って被害者全員を取り返してくれば私は文句はなかったが、そんな話は存在しない。実に無責任な言説である。

 北がミサイル実験をやって、無許可で人の国の空の上を通過させると決まって擁護するのが
日本の軍事評論家と国際法学者である。曰く「空気の関係で物理的に・・・」「領空よりも上なので日本領ではないので・・・」等など。
 こういうことを言う人の屋根の上をロケット花火を飛ばしても文句を言わないのだろうか。私はやられそうになった時点で危ないから辞めろと言うが。。。
 ちなみに北の無警告ミサイル実験に関しては、ロシアのプーチンすら「文明国の所業ではない」と言っている。もちろん、日本に助力などしてくれないが。

 北朝鮮は、人の国に来て拉致をして返さないで白を切りとおしている。しかもミサイルを飛ばし、あまつさえ核武装さえしている。外国に訴える前に、日本人に言わざるを得ない。

 最近話題の朝鮮総連系の学校を無償化の対象とするかだが、そもそもなぜ外国に忠誠を誓う学校に日本の税金を投入しなければならないのか?
 これは敵国だからとか以前に一律否定してよいと思う。

 で、まさか変な算数教育はしていないだろう?

「日本人が5人います。3人殺しました。何人残りますか?」

とか。

 これ、蒋介石や張学良がやっていたことである。

 このままだと、どの学校を対象外とするかは、文科省令なので、大臣権限である。本当は法案審議の段階で対象外とするよう盛り込んでいなければならないのだが。

 現代日本の宣伝下手を書こうと思ったが、正直どこから手をつければ良いのかわからない。

 ちなみにこういう話の時に必ず槍玉に挙がるのが福田康夫官房長官なのだが、中山恭子さんを内閣官房参与に据えたことが忘れられているのはなぜだろう。内幕は良く知らないのだが。
 ちなみに、小泉首相と福田官房長官の北朝鮮へのコメント、毎回のように小馬鹿にしていて
楽しみでしたけど。