「男女逆転大奥」を事実だと勘違いするレベルの誤認

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世の中には、甚だしい事実誤認がある。この場合の事実誤認とは、「自分の主張と違うことを言っている」ではない。文字通り「事実を誤って認識すること」。事実とは「実際の出来事」であり、原則として評価が加わらない。法廷なんかでは「単なる事実」と「評価付きの事実」は分けるけど、仮に評価が加わる場合、論理に厳密さが求められる。

さて、甚だしい事実誤認の例。

元明天皇から元正天皇に女系継承がされた。元正天皇は女系天皇だ!

これって、手塚治虫の『火の鳥』やよしながふみ『大奥』を事実だと認識するようなもの。橘諸兄と吉備真備は火の鳥の生き血をめぐって争った訳ではないし、徳川家光の時代に流行した伝染病で男女逆転大奥が成立した訳ではない。

日本語の意味の女系とは、母方の系統の事。

特に女系継承と言う場合は、継承の根拠を母方の血統に求めること。女系天皇と言うならば、母親が天皇・皇族であることが条件で、父親が誰であっても構わない。この意味で「女系天皇」が使われる。

さて、事実として、元正天皇の母親は元明天皇です。では、父親は? 草壁皇子です。草壁皇子の父親は天武天皇。元明天皇は、母方だと元正天皇で、父方は草壁皇子。だから、男系かつ女系で天皇だけど、女系天皇ではない。草壁皇子はパンピーではない。

なんか、日本古代史の常識を知っていれば、言い出せないような恥ずかしい話をまき散らしている人がいるって? 持統天皇から聖武天皇(首皇子)に至る時代がどんな時代か知っていれば、常識として身に着く事実がある。

大学入試風に

次の言葉を使って奈良時代の皇位継承を説明せよ。

持統天皇、草壁皇子、文武天皇(軽皇子)、元明天皇、元正天皇、聖武天皇(首皇子)、天武系、天智系、直系、先例

と説明できれば、奈良時代が男系継承しかしていないって、分かるんだけどね。

奈良時代が女系継承なら、天智系どころか蘇我氏だって滅んでない。(笑)

元明天皇の夫で元正天皇の父である人物が、草壁皇子である。この事実は否定できない。ならば、それでもなお、元正⇒元明の皇位継承が女系継承である証拠を事実として出さねばならない。これは「事実誤認」と言った以上、屁理屈をこねまわしても不可。もちろん類推も不可。事実でなければ不可。
まさか、「事実」の意味から説明か?

ところで、私はよく「先例原理主義者」と言われるが、先例がどうでもいいなら、「元明天皇から元正天皇への継承が女系継承の先例だ」とか言う必要ないじゃん。(失笑)