ならば「玉木内閣」が憲政の常道である

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安倍自民党最大の擁護者である枝野幸男氏が、国民民主党に対して居丈高な交渉を続けているらしい。

・党名は立憲民主党。
・党首はオレ(枝野)。
・政策は後で決める。

これでは、単に国民民主党の金と票が欲しくて併合を要求しているだけではないか。これに対して国民民主党の玉木雄一郎代表が「アンタがそこまで強く言える立場か」と返している。当然だ。

枝野氏は立憲民主党の党名に拘りがあるようだ。ならば、党首と政策は譲ったらいかがか。「立憲の名前には深い思い入れがある。どうしても譲ってほしい。だから党首はあなたに譲り、一兵卒として働く」と持ち掛けたら、玉木氏も無下にはすまい。逆に、自民党に代わる選択肢としての野党統一を身を捨てて成し遂げた偉人として、それこそ将来の総理の道が開けるのではないか。

「野党第一党立憲民主党党首玉木雄一郎」ならば、今の枝野立憲に難色を示すどころか嫌悪感を示している維新やれいわとの選挙区調整も進むのではないか。

枝野氏は口では「自民党を倒して自分が首相になる」と勇ましいことを言うが、実際には野党連合を破壊し、自民党への利敵行為を繰り返している。ならば、ここは行動で示し、「立憲」の看板を残す代わりに他のすべてを委ねては如何か。

玉木氏が野党第一党党首にふさわしい理由は他にもある。政策の正当性である。

玉木氏は与党の増税に対し、野党は減税でまとまるべきだと訴えてきた。逆に、昨年の参議院選挙で枝野氏とその側近たちは最後まで減税に反対した。結果、増税を掲げた与党に勝利を献上した。政権打倒を目指すべき選挙で勝ちを許したのだから、いかなる弁明をしようが枝野氏は敗北であり、その時点で党首を退くのが筋だった。ならば、この機に退いて、勝利を目指す道を開くべきだ。

なお、与党(首相官邸)には「減税」を検討する声が出ていると聞く。真偽は不明だが、仮にその通りだとする。

下野して政権を明け渡し、「玉木雄一郎選挙管理内閣」で信を問うべきだ。

安倍自民党内閣は増税を公約に掲げて選挙を勝った。もし減税を掲げるなら、増税の誤りを認めたこととなる。ならば、下野して政権を明け渡して出直すべきだ。

イギリスでは若手議員だったベンジャミン・ディズレーリが時のロバート・ピール首相の公約変更を「反対党の政策を泥棒した」と批判し、遂に下野に追いやったところから憲政の発達があった。

我が国の「憲政の常道」においても、与党が政策に失敗した時は反対党に政権を明け渡すとの憲法習律が存在した。この習律においては、少数与党が政権を担うこととなるので、議会運営は思うに任せない。だから1年以内に総選挙を行い、信を問うのが慣例化した。与党に有利だが、必ずしも勝つとは限らなかった。

政策に失敗した与党が、政権に居座ったまま公約を変更して総選挙に出て許されるなら、永遠に政権交代はあるまい。そして政権交代による反省が無ければ、永遠に失政を繰り返すだろう。

よって、もし自民党が減税を掲げるなら、憲政の常道に従い安倍内閣は総辞職、自民党こぞって玉木雄一郎氏に首班指名で投票した上で一人も入閣せず、野党の立場で出直すべきだ。

以上、政局論と全く関係の無い筋論だけで述べた。私も現実の日本政界でこんなことが行われるとは考えていない。ただし、筋論だけは述べておく。

日本国憲法下においても、吉田茂は総選挙後に第二党に転落した際は与党入りを拒んだ上で首班指名で第一党の片山哲社会党委員長に投票した。その後、連立内閣が崩壊した時に国民協同党の三木武夫はその気になれば首相の座に座れたにもかかわらず、野党第一党の吉田茂に政権を返すべきだと主張し実行した。

自民党が減税を言い出したとする仮定の話だが、その場合は「玉木選挙管理内閣」が憲政の常道だ。