ホリエモン「検察庁法改正案に抗議しますとか言ってる奴ら全員見ろ」に対する所見

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気持ちはわかるけど、気持ちが先走りすぎているのが、この動画。ホリエモンチャンネル。

検察庁法改正案に抗議しますとか言ってる奴ら全員見ろ

ある方に「見て、どうなのか教えて」と言われたので見た。

結論から言うと、Wikiレベルの知識に私怨を混ぜただけ。言いたいことはわかるけど。

「最初に社会の勉強しましょうね」とドヤ顔で言う割には、いきなり事実誤認で始まる。

「戦前の検察は大審院検事局だったので、司法権」と言うのだけど、では「その大審院が司法省に属していたから、裁判所こそ行政権そのものだとういう評価が近代史家の多数説なのだが」と言われたら、どう返すのだろう。

戦前でも、「検察こそ司法権」は原敬の信念でもあったが、そういう根拠ではない。詳しくは、三谷太一郎『近代日本の司法権と政党――陪審制成立の政治史』(塙書房〈塙選書〉、1980年)をどうぞ。政治外交史では必読文献。学生時代に読んで何を言っているのかわからなくて、いまだに納得していないけど、この本を読んでなくて戦前の司法権を語って変なこと言ってたら何言われても文句を言えないレベルの基本書。

その後の事実関係の解説は真面目に聞かなかったけど、間違えようがない話なので、それは割愛。

で、自分の逮捕体験は、改めて聞くと迫力がある。みんなで考えて欲しい重大な問題的。ただ、「検察に対する民主的統制」が必要だとしても、ではその方法が今回のやり方で、しかも今やらねばならないかの証明はしていない。

私も検察批判の本を書いた人間ではあるが、今回は明らかに安倍内閣のやっていることは弁護のしようがない。安倍批判をしている人の批判をしても、安倍内閣が正しいことにはならないのは自明の理のはず。

堀江さんみたいな影響力がある人にこそ、読んで欲しい本がこちら。

検証 検察庁の近現代史

私も、田母神さんの事件があったから書いたし、友人の藤井元美濃加茂市長の事件もあり、検察には大改革が必要とは思っている。しかし、それとこれとは別問題。今の安倍内閣のやりかたを認めたら、堀江さんが指摘する問題は、さらに悪化しかねない。