北方領土など一島も返ってこなくていい(釣)
と書いておけば、「ワードにたかる人」も冷静に読むかなあ。
私がどんな言動をしてきた人間かわかれば、「二島どころか一島でも返してもらうのが現実主義」とうそぶく現“状”主義者とも、「四島どころか千島全部返せ!」とできもしない空論を叫ぶ空想主義者とも違う人間だとわかろうが、ただ「北方領土など一島も返ってこなくていい」とだけ書いておくと、間違いなく勘違いする人間が多発するので、あえて(釣)と書いておいた。私が「どういう意味で言っているか、考えろよ」という意味。
まず、私がどういう人間か? 十九世紀的帝国主義者。基本的に国境不可侵の原則など外交の道具としか思っていないし、現状主義者も空想主義者も毛嫌いしている。予想外に好転する状況を見据えつつ、現実だけを見る。空想は顧みない。
その上で、プーチンが「すべてを棚上げして日本と平和条約を結ぼう」と言い出した。これをどうとらえるか。
そもそも、ウラジミール・プーチンとは何者か。国内を秘密警察により掌握し、事実上の独裁体制をしいている。暗殺した人間は数知れず。「人を殺してはならない」という価値観が通じない相手。対外政策では、欧州では強気だが、中華様にはいっさい逆らったことがない。この前の「ハチミツ」騒動程度のシャレで済む意趣返しレベルはしても、基本的にはシナの従属国(奴隷と言ってもよい)。その表現で悪ければ、ビスマルク時代のハプスブルク帝国のようなもの。せいぜい、中国共産党の権力闘争のバランスで立ち位置を変えるが、江沢民や習近平個人にはともかく、ロシアがシナに逆らうことは無い。プーチンがロシアの独裁者である以上。
そんなプーチンのセリフを翻訳する。
「クリル(北方領土)なんか一島も返す気は無い。さっさと平和条約結んで業績らしきものにしてやるから、少しは金寄越せ」
これで二島どころか一島でも返ってくると考えたらよほどの愚か者かプーチンの回し者だわな。そもそも1956年の日ソ共同宣言以来、二島返還は無条件で平和条約を結び、もう二島はその後の交渉だったのが、プーチンにひっくり返されているので。
ここまで読めば、「北方領土など一島も返ってこなくていい」の意味がわかろう。
今は
の意味。今とは、中華従属プーチン政権の間は、ということ。むしろプーチンと交渉すること自体が、禍根を残す。現に、交渉するたびにプーチンは過去の日露合意を反故にしている。
で、北方領土を取り返したいなら、中露対決が再び高まった時まで待つこと。
今でもシベリアにはチャイニーズが大量入植している。プーチンは欧州方面でNATOと張り合わなければならないから、極東では強気に出れない。だからやられたい放題になっている。いわば、ロシアの売国奴。
結局、戦争で取られた領土は軍事力で取り返すしかない以上、今は防衛力増強に努めるしかない。そしてロシアが本当に弱った時には四島どころか千島に樺太まで取り返しに行って良い。それ位の時間軸で考えるべし。
北方領土、何島返還論が正しい? としばしば聞かれるが、「一島もいらん」で構わない。今は。
いかなる正論も、時宜にかなっていなければ、愚論よりもたちが悪い。
なお、倉山塾掲示板では、得意とされる安倍外交がどれほど上手か、について書いておく。