世界史(7)―世界恐慌

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 第一段落はシュペングラーですね。総力戦に関する常識でもあります。第二次大戦の米国に関しても、「実は戦勝国とは呼べない」との歴史観も根強いのです。そういうことを正面から指摘した「ウェデマイヤーレポート」など、日本人の研究者はまともにとりあげたがらないのが不満です。『第二次大戦に勝者なし』の邦題で講談社学術文庫から出ていますが、必読書です。アジア関係は反感が多いのですが、欧州に関しては「まさにその通り!」ばかり。「ピットきどりのチャーチル」など、言いえて妙ですね。

 第二段落はそのままです。「倫理的に崩壊した」など、ワイマール共和国への嫌味以外の何者でもない。

 第三段落は、戦間期の英米は相互仮想敵国だということです。両国とも触れようとはしませんが。
 このあたり我らが石井菊次郎は、「日本はしっかりしてさえいれば英米ともにすりよってくる」と見抜いています。問題はそれを誰も実行しなかったことです。
 被害妄想は合理的思考ではない、という典型例ですね。
 

 日英同盟廃棄以降の「英米一体論」って、有害なことこの上ない。本来相容れないはずの親ドイツ主義とアジア主義が「英米は日本の敵だ」の一言で野合できてしまった。悪夢である。

 第四段落は図と対照です。有名な図ですが、ちょっと凝ってもらいました。

 第五段落の世界恐慌に関しては、この間ブログで紹介していただいた田中秀臣先生や若田部正澄先生の研究を参考にしました。金本位制のくだりなどが「一味(ひとあじ)」です。ちなみに、よく読めば日本を「持たざる国」にしていないの、わかりました?「日満支ブロック」の評価も難しいのですが。

 若田部先生、人づてに聞きましたが、田中先生と同席の際に、同様にお褒めいただいたとのこと、ありがとうございます。