TBSも城山三郎も、実は風越信吾を悪役として描いているのではないか?と疑問に思う描写がある。
原作の114頁にすごい描写が。。。
地球は通産省を中心に回転している男、といってもよい。
自分の仕事が大事なのは誰でもそうであろう。大事だと思っているからその仕事をしているのである。これは、フジテレビの『踊る!大捜査線』でも何度も強調されているテーマである。『踊る〜』では、現場のノンキャリアが、キャリアの(えてして勝手な)判断で自分の抱えている仕事が蹂躙される、あまつさえ弱き市民を助けられない苦渋、が描かれていた。
しかし、“特権官僚(=キャリア)”の風越の場合は違う。←注意。( )は城山のルビ。
先の描写に続き、貿易自由化の中で
漫然と権限を手放していけば、省の前途はいったいどういうことになるか。
・・・結局、自分の権限だけか?
そして126頁でその本音が明らかとなる。自由化路線が決まっても
官僚指導経済という新しい夢を持てる
国民生活や国内産業や中小企業の保護は、結局のところ自分の権限を守りたかっただけだと自白しているのである。国民の選んだ政府の決めたことなど問題では無いらしい。
城山の描写する風越信吾、その正体は
統制経済による国民の支配をもくろむ特権官僚の権化である。