頭を下げるのは嫌いだが、結局主計局に弱い(前編)

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 TBS版ではとにもかくにも悪役として描かれる大蔵省(現・財務省)である。
 城山三郎版原作では、
天下の風越様が政策を考えてやるから予算をつけろ!
と言わんばかりの描写である。
 例えば戦争映画で、「陸軍省軍務局が必要とする国策には、要求するだけ予算をつけろ!」と軍人が怒鳴る場面があったとしよう。大半の日本人ならば眉をしかめるであろう。しかし、風越はこれと同じことをしているのである。初読では読み飛ばしてしまった。。。
恐るべし城山マジック!

117〜118頁に以下。
官僚たちの鬼門のひとつに、大蔵省主計局がある。
予算編成期には足しげく通い、平身低頭せんばかりにして説明せんばかりに説明し陳情しなくてはならぬ相手だが、風越は自分からは決して主計局に出向かなかったし、もちろん頭をさげることもしない。
・・・
人事に明るいだけに、大蔵省の人脈もよくわかる。人脈のツボを心得ていて、押すべきところは押す、ということもした。それに予算でだめなら、予算査定の別枠から、金をひねり出す工夫もした。

 別に頭を下げるのが正しいとは言わないが、なぜ出向かなくても大蔵省の人脈がよくわかったのだろうか。風越は安楽椅子探偵か?

 小泉純一郎元総理の名秘書として知られる飯島勲氏は主計局の人脈を熟知していたと言われる。飯島氏は「国会議員(と秘書)の評価は、主計局の人間を何人知っているか、まず名前を言えるかによって実力の程がわかる」と強調されている。永田町一の実力秘書と言われた飯島氏が、主計局との人間関係作りにすさまじい努力をされたことは有名であるし、著書を読めば端々からわかろう。

 結論だけ言うと、風越閣下は自分では頭を下げないだけなのだが。 

 ところでそんな風越先生、特許庁長官として「左遷」されてからの張り切りが名長官として評価され、一度は絶望的だった事務次官への道が開けるのである。
 どうやって?(つづく)