国会議員に必要な資質

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 表題、最近よく聞かれる質問なので、毎回している返答を記録に。昔はあまり洗練されていない答え方をしていたとも思うので。

一、勇気。決断力と言い換えても良い。
 ただし、100%の確率とか、51%以上あれば・・・とかを気にしているようでは駄目。そんなのを待っていたら寿命が尽きてしまう。こういうのを「百年河清を待つ」という。50%未満の確率をどこまで上げられるか、運命を切り開く力と言ってもよい。客観状況が整備されるのを待ちたければ官僚の方がお勧め。多かれ少なかれ、成功している政治家はどこかで大勝負をしている。

二、魅力。人の心をつかむ力。
 勇気がない人間のこれは、単なるハッタリ。有害ですらあるので注意が必要。俗に「仕事を放り出してただ働きしてくれる人が十五人いれば、それほどの人ならば絶対に国会に行ける」と言われる。まあ、タレントでもなく、宗教団体の支持なしで、という条件付でならば、それは正しい。普通の人がそこまでしてくれるなどありえないでしょう。
 「自分が何かをできる」よりも「自分よりできる人を使える」が大事なのは、どんな組織の指導者でも大事。政治家の場合は、「何かをしてくれる人が自然と集まる」が必要。

三、判断力。人の話を聞いて、何が正しいのかを判断する力のこと。
 これは本人に魅力があれば、判断する材料を提供してくれる人材が集まる。その人の言っていることが正しいのかどうかさえわかればよい。極端な話、誰が信用できるかだけわかれば良い。学者とかブレーンとか参謀とか言われる人種は、勇気とか魅力とかの能力が欠けることが多いものである。この二つは天性である。

 森羅万象すべてに通じるというのは無理なので、やたらと細かいことに口出ししないほうが良い。「政治家が学者と張り合ってどうする?」的な態度は、誰も幸せになれない。ただし、逆に大事なことについてわかっていないと、誰からも馬鹿にされる。

四、安全保障。マキャベリ先生の言葉によれば、外交と軍事つまり国家の経営。
 要するに、地方議員ではなく、国会議員にとっての大事なこと。
 この二つ以外は、地方議員でも程度の差はあれ関係があるし、決定もできる。

「国会議員に必要な資質」への0件のフィードバック

  1. こうしてみるとマニフェストというのは実に便利な小道具ですね。
    マニフェストに書いてあるから、いちいち決断しなくて良い。
    マニフェストをぶら下げておけば、そちらに人が集まってくる。
    マニフェストに書いてあるから、判断力もいらない。

    今の政治家に、危急存亡の秋に堂々とマニフェストを破る胆力のある人が何人いるか、不思議ではあります。

  2. >誰が信用できるかだけわかれば良い。
    これが、なかなかわからない。誰とでも付き合うんでなく、胡散臭い人は遠ざける選択が必要かな?魅力はあっても、間違ったことを言っている人達が(悪徳通販とか)一番困る。

  3. 政治家に「嘘を付かない」というのも求めたいが、「外部から検証できない」、「本人は本当だと信じ込んでいる」、「ウソの情報を掴まされた」などの理由で明確には定義しにくいなあ、、、自分に困ることは「何もしゃべらん」というのも、もっと悪いが!?

  4. 僕は本当に政治家に必要な資質は直感と包容力だと思います。

    状況に関するデータや成功確率を出すのは、優秀なブレーンの学者ですとか官僚がやればいいと思うんです。政治家のもとに仕える参謀としての能力だと思います。

    実はそうした参謀を出来ると称する人は、けっこうあふれています。だから自称エコノミストや経済学者っていくらでもいるんです。

    けれども、参謀が必ず正しいことを言うとはかぎりません。

    また、自分の政治信条と合う参謀が国家経営において正しいことを言うともかぎりません。

    何が本質を射ているかだとか本質つける人間はだれかということを変な意味で理屈なしで見抜けて、かつそれに基づいて驀進出来る政治家が優秀だと思います。

    しかし、現政権や今の日本の政治家でどれだけいるのでしょうね?

    仮に自分の政権のマニフェストが現状とは合わない(もしくは合わなくなった)という時に、どれだけ対立側の陣営でかつ耳が痛いが的確なことを言う参謀を取り込める人はいるのでしょうか?

    けっきょく、マニフェスト作成に携わった参謀の言うことだけ信じて終わりなきがします。

    それにそもそも参謀が的確なことを言っているかという疑問があります。(だから倉山先生や砦の方々は国を憂いているのである。)

    耳触りのいいことだけ聞いて判断する力も包容する力(いい意味で)も弱い政治家が多いのではないのでしょうか。

  5. マニフェストについては色々な見方ができますね。マニフェストの母国はイギリスらしいですが、「イギリスがやってるのだから、日本でもやろう」という議論が本当に正しいのでしょうか。
    そもそも、イギリスでマニフェストってどういう風に機能しているものなのか。そこにはどのような公約が書かれているのか、そこに書かれている公約は必ず守らなければならないものなのか、公約を破れるとすれば、それはどのような場合か…
    少なくとも、ここまで明らかにして初めて、マニフェストを作成する意味があると思うのですが…

    「子供手当てに所得制限を付けよう」という意見が公約違反か否かという話が最近になって出てきたようですが、公約違反か否か以前に、当たり前でしょうそんなもん。高級外車乗り回して豪華客船でナイトクルージング楽しんでる家族や、大して家計が苦しいわけでもないのに給食費も払わない家族に(給食費という制度自体が妥当と言えるかどうかは疑問だが)、なんで国民の税金から小遣いやらんといかんのですか!?そんなことするぐらいなら、最先端科学技術の育成に税金使う方がよっぽど「有意義な税金の使い方」です。橋下大阪府知事が「いくら子沢山だからって、知事ともあろうものが子供手当てなど欲しいとは思わない」と言ったそうですが、全くの正論です。

    公約は破るためにある、とは思いませんが、守って欲しくない、あるいは守ってはいけない公約もあるということも(まして国会は「憲法の範囲内でしか権限を行使し得ない」のですから)、政治家は自覚するべきではないでしょうか。

  6. >おじさんの息子さん
    そういやあイギリスでもマニフェストを破ることはあるらしいです。ブレア政権が大学の学費を据え置くとマニフェストで言っておきながら上げた時は、党内でも猛反発を食らい大量の造反者を出しながら通したそうです。

    でもマニフェストを破ったブレア首相が名宰相であったか否かという時に少なくても内政ではかなり評価できると思います。(富の公正な配分など)

    マニフェストは命令か否かという議論がありそうではないというのが大勢なようですね。

    マニフェストはどうやら詳細な話をするというよりは政権の理念を語るものと解されているようです。

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