官僚を叩くなら

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 官僚機構に詳しい人は「官僚たちの夏」の風越はとんでもない官僚であると思うしかないようですが、普通の人はドラマを見ると「昔の官僚はみんな国のことを思っていたんですね」と感じてしまうらしいですね。

 私の言っている事は、「現実には真面目な官僚もいるが、あんな官僚は理想像でも何でもない!」です。別の言い方をすれば、「変な官僚の美化は真面目な官僚に迷惑であり、国益に反する」ということです。

 さて、元官僚による「変な官僚叩きは国民の為にならない」との立場で、御著書を書かれているのが山本直治氏。あえて「歯切れのいいことを言わない」というのも異色の立場です。

 近著が『お役所バッシングはやめられない』(PHP新書、二〇〇九年)です。

 感情的な役所いじめ、細かい事を考えない制度いじりの議論はかえって有害である、などは参考になる視点かと思います。

 官僚叩きには正論も含まれるとは思うのですが、しかし相手の立場を認めない議論、相手が何を考えているのかをわかろうとしない議論は、それはもはや議論ではないと思います。

 自分に正論だと思う意見があるように、相手にも言い分・論理がある訳です。本当に、ただ壊すだけでなく、何かモノを作ろうと思うならば、相手の論理を知る、というのは不可欠かと思います。

 ということで、官僚叩きの猛威の中で、あえて時流と逆の主張をされていると言うことで、ご紹介いたします。

「官僚を叩くなら」への0件のフィードバック

  1. 官僚制度という制度が悪いのか、
    官僚という人間が悪いのか、
    官僚の中に、悪い人がまじっているのか、

    全てが「官僚制度が悪い」という単純化・一般化で終ってしまうのが問題のように感じる。

    現在の官僚制批判は、
    今日において、
    少なからずも環境を破壊する企業(つまりは経済活動を行うほぼすべての企業)と、
    そこで働いていた人たちの、それまでの努力や社会への貢献、
    全てが否定され、
    個人の尊厳を傷つけているような状態があるのではないか。

    改革をしていくためには、批判よりも理解。
    相手の立場にたって考えることが、まず出発点なのではないだろうか。

  2. 最近の官僚にたぶん「プロ意識」がないのが問題ではないかと思います。

    キャリア官僚をしている後輩が
    官僚は大変だとか、給料が低いとか、愚痴って
    「先輩は民間でたくさん給料もらっていいですね」と言っていたので
    「そんなに嫌なら、官僚辞めて、うちの業界に転職したらいいじゃない。
    君は自分の不遇を嘆くくらい優秀なんでしょう?
    うち給料高いけれども、二晩徹夜とかあるけど耐えられる?
    まあ、でもプロ意識もなくて、待遇をぐちぐちいうような奴には
    うちの会社来て欲しくないけどね」と申し上げたら
    彼は黙ってしまいました。

    なぜ彼らは官僚をしているのですか?
    給与が欲しいなら、別に民間でも、自営業者でもいいと思います。
    そういうプロ意識に欠けていて、彼らの給与分も働いていないから
    批判を浴びるのではないでしょうかねえ。

    私は甘やかす気持ちはありません。
    税金で食わせている以上、その分は働くべきですし
    あえて「辞めたいなら、辞めろ」と言います。
    「お前の代わりなんていくらでもいる」とも言います。
    「私がこの国をこの社会をちゃんと支えるんだ」、
    そういう気構えがある官僚の皆さんは、待遇も含めて心から応援します。
    立場を勘違いして風越氏みたいになってしまうと
    それはそれで困るのですけれども。
    職業意識・いい意味でのプライド、そういうものを持ったキャリア官僚が
    いると分かれば、安心できるのですけれどもね。

  3. 官僚・国家公務員批判は誤った方向性に流れていると痛感します。極端な例ですが、毎日5時で上がれて大した仕事をしなくても、年収数千万円が貰えると思っている人たちが本当にいるようです。報道でも紹介されているとおり、事実そういったところも一部にはあるかと思います。

    しかしながらそれが全てだと考えるのは浅はかです。実態は深夜になっても煌々と電気がついている省庁の姿で、新人官僚の中でもその過酷さについて行けず止めてしまう人も多いと聞きます。そういった中での無理な人員削減や給与カット等、政治家の国民に対してのアプローチとしては判りやすいかもしれませんが、対象となった国家公務員から見ればたまったもんではありません。もちろん質の低下も避けられないでしょう。

    官僚を題材にしたドラマをするのなら、もっと実態に則した物語にすべきかと思います。

    ちなみに最近の傾向ですと仕事を頑張って利益を上げると独立可能と判断されて、独法化されたり、組織ごと切り離されたりするそうです。もちろんそうなれば職員の給料は落ちます。みんさん自分の会社だったらどう思います?

  4. oratoryさま

    それは当たり前だと思います。
    深夜まで働いているのは霞ヶ関だけではありません。
    丸の内も大手町も六本木でも深夜になっても煌々とオフィスに電灯はついています。
    仕事なんだから働くのは当たり前でしょう。
    霞ヶ関だけが特別なんですか?

    うちの会社でも、仕事がつらくて新人が辞めます。仕事に真剣だからこれも当たり前です。
    霞ヶ関だけが特別なんですか?

    子会社が本体から切り離され、待遇が悪くなることも、民間ではよくあることです。
    霞ヶ関だけが特別なんですか?

    結果がでなければ、普通はリストラで人員削減です。給与もボーナスも大幅削減です。
    霞ヶ関が人員削減されずに特別でいていい理由をどうか教えてください。

    oratory氏は、官僚ではないと想像いたしますが、
    もし官僚が「自分たちだけつらいんだ」などと考えているなら、
    こういう民間企業の人間からすれば、当たり前のことを
    さも大変だと言い募ることが、タックスペイヤーから見れば大甘です。

    まあ、でも国会待機とか言って、席でソリティアやっているだけでも、残業代が付くから、
    自分だけが特別だと勘違いしても仕方がないですねえ。
    (そのゲームしている電気代も税金が元なんですけどね)

  5. こんばんわ。

    かしわもちさんに質問なのですが。
    私、貴方の職業はてっきり学者なのかと思っておりました。
    というのも、貴方はこのブログの9月2日か3日に、
    私の師匠(学者)にどこかで会っているのかもしれないと二度位
    おっしゃっておりましたよね。
    私の師匠は学者で、企業とは全く関わりがないのですが、すると
    どこで会う可能性があるのでしょう?
    学会にしても、ビジネスとは無縁ですので、会うこともないはずです。
    更に何故、私が貴方を学者では?と思った理由は、
    9月初旬中に、ゼミか大学で私のような学生はいない、等発言された
    記憶があり、そこからなのです。(勘違いならごめんなさい)
    かしわもちさんの事を勘違いしたままでいたくはないので、失礼ながら
    質問させて頂きました。

    倉山先生へ。
    その通りだと思います。
    官僚の中でも善良な方はいらっしゃいます。
    私の知り合いの元官僚は、とても良い方で官僚臭さがなく
    日本のためにキャリア制度の廃止を考えているようです。

    それでは失礼します。

  6. 私は、学者ではありません。
    でも、社会人も大学院に行けば、勉強会に行きますけれども、
    社会人だから、学界にアクセスしないということでもないと思いますが。

    どこかで会っているかもしれないのではなく、会っているのですよ。
    私はあなたの師匠にあたる方に、10年以上前に知り合っております。
    こう、はっきり書かないと分からないのでしょうか?
    会う気になれば、ちゃんとルートを通じて会いに行けますよ。

    そもそも、大前提として、
    あなたの師匠にあたる人を仮に私が知っているとしたら
    その情報を私はどこから知ったのでしょうか?
    それがわかれば、自ずと答えは明らかでしょう?

    ここは倉山先生のサイトであり、誰かの日記帳ではありません。
    誰がたばこを買いに行こうが、紅茶を飲もうが知ったことではない。
    個人的な質問も不要です。
    倉山先生の価値を貶めかねない行為は、今後は慎んでいただければと思います。

  7. 議論と言うより、相手の正体を詮索した上での人格攻撃と化していたレスは削除しました。すべてのそういった部分を削除する方法も考えたのですが、完全に事実を抹消するよりも、やりとりの最後に至る部分は残した方が良いであろうと考え、削除は最小限にしました。
    いずれにしても独断での行為ですので、当事者の方、わたくしのこの砦への管理の不手際に不快な思いをされた方にはお詫び申し上げます。明らかにわたくしの判断が遅くなったが故の事態ですので重ねてお詫び申し上げます。

    レスのやりとりが荒れているのを放置してきたに等しい私の誤りであり、それ自体は記録しなければならないという自戒の意味も込めてのことです。

    この砦は自由な議論をしていただいて構わないのですが、学問的態度を含めた礼儀という一線は守っていただかねばならないと考えています。ただ、どこまでが礼儀なのか、「学問的態度とは」となると難しいので、その判断が曖昧になった時に私の責任ということになるのですが。

    例えば今回で言うと、相手の聞いたことに答える、というのが礼儀であり学問的態度ということになるのだと考えます。逆に私の場合は、一時、何にでもレスをつけるのはおかしいということでお叱りを受けましたので、そちらも気をつけねばならないので、できる限り配慮はしたいと思いますが。

    流れをきるような質問に答えるとまずい、という判断をしているということもお含み置きください。

    私の場合は、出典を答えられないと学者として致命的になるということ、個人的な身辺雑記に属するようなことは書かない公の場にする、ということを気をつけています。

    皆様方には自由に書き込みをしていただきたいと思うのですが、この砦は誰が見ているかわからない公の場であるということで、私もできるだけの配慮はしているということをご理解いただきたく存じます。

    このたびは皆様方にご不快な思いをさせてしまし申し訳ありませんでした。

  8. なんか、白熱して、真剣に討論している感がありますね。
    火に油を注ぐかも知れませんが(笑)

    個人的に違和感を感じたのでコメントさせていただきます。

    学者であるか、企業人であるか、官僚であるか、
    それは、ここで知らなければならない、絶対必要条件なのでしょうか。

    学者の方が、企業について無知だとは思いませんし、
    企業人が、学術的に必ずしも劣っているとは限らないのではないでしょうか。

    当事者でないからわかることがあるのも、
    当事者しかわからないことことがあるのも、事実だと思います。

    また、
    自身の持論に責任を持つことも大切ですし、
    まったく違う立場の人の意見を真摯に受け止めることも大切です。

    そもそもが、倉山先生が意図していることがそれであり、
    学界、財界、政界、官僚、そういう、縦割りがあって、
    横断的、あるいは包括的統合的な議論がなされていないことが問題だ!
    という問題意識があるように、個人的に推察していました。

    私の個人的な推察が違っていたら指摘していたけたらと思いますが、
    そのような推察が的外れではなかったとしたら、
    学者であるか、企業人であるか、官僚であるか、
    どの立場の意見も、同じウェイトで尊重されてしかるべきなのではないでしょうか?

    それと、批判のための批判なら、しないほうがいいと思います。

    相手を打ち負かすことを意図したコメントなら、
    それはこのサイトには相応しくないでしょう。

    ましてや、個人の人格、尊厳に触れるようなコメントは論外です。

    ここは、一旦過去のことは水に流して、
    冷静になって、お互いの宣言を守りながら、
    交流できたら素晴らしいのに…と感じています。

  9. 私のお世話になっている大学の教授(元・通産官僚)は、官僚批判の見落とされがちな点のとしていわゆる「官僚」はどこの国でも、専門分野における知見を有する専門家(いわゆる「テクノクラート」)であり、政治家は、政策の基本方針を決めるが、それを実際に肉付けして、具体化するのは官僚だということを言っていました。

  10. hnさま、こんばんは。

    hnさんのおっしゃるところはその通りで、技官などの専門職たる官僚は
    ノンキャリアとして、キャリアの下に置かれておりますよね。
    ただ現在、この掲示板での「官僚」は上級職・キャリア官僚であり
    そのキャリア官僚への偏った批判が、思わぬ反作用を及ぼすのではという
    共通認識の上で、議論が進んでおります。
    彼らは、専門分野の知見を有する立場より、政策立案にかかわる立場で、
    そのあり方が問われているわけです。
    ですので、よろしければ、hnさんのキャリア官僚についての所見を書いてみてください。
    書き込みは勇気がいることですが、やはり意見を出すことはいいことです。
    論破されるのが怖くても、やはり前に進みましょう。

    oratory氏にも厳しく反論しましたが、私の書き込みの視点は
    平たく書けば、官僚も民間企業も同じでいいじゃないか?ということです。
    でも、本来は官僚には官僚なりの、
    民間とは一線を画さなければならない理由があるはずです。
    その点について、もっと深く議論すれば、
    あるべきキャリア官僚そしてその処遇のあり方まで議論は発展すると思います。
    無理にとはいいませんが、その点を踏まえた考えが思いついたら書いてみてください。

    上記の点について書くのが難しくても
    倉山先生の今後の内容について、この掲示板を通じて
    お互いに議論を深めていければと思いますし
    機会があれば、憲法講義後の先生を囲んで、
    色々議論をする機会もあればと個人的には願っております。

  11. かしわもちさま、こんばんは。
    引き合いに出した教授自身が元・通産省のキャリア官僚だったので、本人が言っているのならそうなのだろうと思い書きました。
    個人的な官僚に対する考えですが、天下国家のためにあまりよろしくない労働条件で働いているにも関わらず、常に批判の対象になっているのが不憫ではないかと。
    まあ、だからと言って悪いことは、してはしてはならないのですが。

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