昨日のチャンネルAJERは難しすぎたかなあ。
政界再編に突き進み混沌とする政局を救えるのは、中山恭子先生だ!
というのは判りやすいと思いますけど。
ということで解説。
部分的にはこれ。
消費税増税 総理の決意固く年内にもまとまると財務官僚語る
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111130-00000014-pseven-pol
財務A(中堅、増税原理主義者)、経産B、総務C(ベテラン)、農水Dが匿名で座談会をやってます。
基本的に財務省の情報が漏れてこないのですが、こういう形で本音が伝わることがあります。
(たいてい意図的に)
まず、財務A氏が増税原理主義的発言を全開にすると、
総務C氏が「オタクの省の奥の院では違うぞ!」と冷や水。
TPPなんてどうでも良い問題が終わった後(野田内閣の政治力不足を語る枕詞?)、以下の本題に。
総務C
税制改革で何度も苦労した財務省の有力OBは、野田政権が「財務省の傀儡(かいらい)」とか、(野田政権を陰で操っているのは財務省の勝栄二郎事務次官との噂から)「勝首相」とかマスコミで呼ばれ、国民に野田政権を動かしているのは財務省だと思われていることを憂慮しているんです。
財務省は歴代OBが力を持っています。
特に、日銀総裁か東証理事長を務めたOBは「次官の中の次官」として尊敬されます。
今だと、長岡実元東証理事長が大御所、松下康雄元日銀総裁、山口光秀元東証理事長は実力OBです。総裁になれなかったですが武藤敏郎元日銀副総裁は、一番睨みを効かせられる方ですね。
この中のどなたが憂慮しているのかまではさすがに特定できないですが。
ただ、この人たちが「勝!やめろ!財務省を潰されてよいのか?」と言えば、増税はなくなります。
さらに、総務C氏は現役の動向に。
総務C
いや、消費税に突き進んでいるのは勝さんというより、次の次、その先の次官をめざして成果をあげたい財務省中枢を担う官僚たちだ。彼らは消費税法案と他の重要法案を抱き合わせにして、それこそ成立しないと国民生活に支障が出るところまで野田総理や与党を追い込み、最後は自民党との話し合い解散を条件に法案を成立させることまで考えている。
この次の次、その次、は霞ヶ関の常識がわかれば特定できます。
今の現役幹部は以下。
勝栄二郎事務次官(昭和50年入省、←主計局長)
真砂靖 主計局長(昭和53年入省、←官房長)
古谷一之主税局長(昭和53年入省)
香川俊介官房長 (昭和54年入省、←官房総務審議官)
木下康司国際局長(昭和54年入省、←官房総務審議官)
佐藤慎一官房総務審議官(昭和55年入省)
今の人事、色々と異常です。
まず、今の次官と、次の次官の年次が3年離れていること。
つまり、昭和51年入省組と52年組は次官を出せないということが確定したわけです。
普通は一年に一人ですが、実力次官は二年やりますから、どうしても負け年度はでます。しかし二年連続は異常で、これが「勝さんは三年やる気か?」という噂の根拠になっています。
さて、次の次官(名前は次官でもトップ)は真砂さんで決まりです。
主計局長から次官になれないのはこれまた異常事態です。戦後4人しかいません(というか4人もいることが大蔵省的に異常事態)。
この年次のあき方からして、勝さんが2年で大人しくやめてくれれば、真砂さんも2年任期の
「実力次官」になれる可能性があります。
ただし、異常なのが主税局長に同期が据えられていること。
霞ヶ関は「年次絶対」、財務省は「主計絶対」なので、普通は「主計>主税」の年次にします。その方が仕事がやりやすいので。
過去には国税庁長官に先を越されたり、あるいは角栄人事で高木文雄主税局長に負けて、次官になれなかった橋口収主計局長の例もあります。
真砂さん、生きた心地がしないでしょう。人事的に真砂さんは勝さんに逆らえないような状態ですね。
「次の次」は香川官房長。
官房長というのは、次官の秘書役です。
局長(つまり先輩)間の調整や、国会対策をします。
勝・民主党(鳩菅)シフトに対して、香川・小沢シフト、みたいな対立構造を報道されたこともありましたが、今の報道の「勝の腹心」という言い方のほうが正確でしょう。
さて、「その次」が二択。
普通は、佐藤官房総務審議官です。
官房総務審議官というのは、次の官房長になる人です。
ただ、つい最近の9月まで香川官房長の同期の木下現国際局長が官房総務審議官だったのです。同期で上司部下というのも異常人事ですが。(思わず『政官要覧』で確認してしまった。)
あまり報道されませんが、財務省の人事、相当停滞しています。
で、「増税反対派」の「派」ですが、自民党の派閥のようなものを想像してはいけません。
財務省は建前上、一枚岩です。派閥は存在が許されません。
ただし、どこぞの日銀のように本物の全体主義ではないので、内部での議論は許されます。
だから、
次官「増税だ!」
OB「やめろ!財務省が潰される!」
部下「次官の意に従って増税に邁進します!(次官が飛んだら人事が回るんだもん)」
次官「増税ちょっと待て!」
みたいな話になっている訳です。
「派」が瞬間的に入れ替わるわけですね。
ただ、OBの「民主党政権に深入りしたらヤバイ」という危機感は本物です。
さて、覆面座談会を続けると。
総務C
そこまで力ずくでやって、もし野田政権が行き詰まって倒れたら国民はどう見るだろうか。
経産B
確実に財務省、霞が関に怒りが向けられる。
さらに。
経産B
政治が混乱し、怒りが官僚に向けられた時、どんな事態が起きるか、霞が関では知られた「伝説」がありますからね。細川連立政権が国民福祉税に失敗して短命に終わった後、政権に復帰した自民党は、憎き“小沢政権”に協力した霞が関に報復した。大蔵省の官官接待汚職、ノーパンしゃぶしゃぶ醜聞が吹き荒れ、結果的に小沢さんの右腕だった斎藤次郎・次官の腹心たちが次々と退官させられた。さらに大蔵省は金融庁を分離され、「律令制以来、1000年以上の歴史を持つ」と誇っていた大蔵省の名前まで奪われて財務省に格下げされた。
総務C
Aさんたちはそれをまた繰り返すの? 勝次官ら首脳部にはOBのお歴々から、「野田政権に深入りせずに撤退を考えておけ」とサインが出ているはずですよ。
私が、
「財務省と日銀は一枚岩ではない。財務省を現政権から離脱させれば増税も亡国も阻止できる」
というたびに物笑いにされました。今もされてる?
その中で一番印象に残っている揶揄。
「それができたら本当に維新回天だ」