民主党の人事と組閣が終了しました。
大臣の数を単純計算しましょう。
菅 派:1 前原派:2 野田派:2
川端派:2 羽田派:2 横路派:2
鳩山派:2 小沢派:0 無派閥:2
国民新党:1 民間:1
小沢派を露骨に排除した上での、見事な派閥均衡人事。は誰でも言えますね。
以上は建前の世界です。ここからは実態の話。
ここで三つの指標で見ましょう。
一つは、「派閥の看板」を本物に書き換えて見ることです。
菅・前原・野田の主流三派は今回の代表選挙でも鉄の結束。これは一つの派閥と数えても良いです。仙谷派として。
川端派とか民社協会とよく言われますが、実質的な領袖は田中慶秋では?これも田中派。(何か強そうだ)
羽田派は、石井一派とか渡部恒三派の方が正確では?ま、面倒なので渡部派に。
横路派は横路派でしょうね。本物の領袖は日本の国会議員でないような気がしますが。
鳩山派や小沢派は名称通りでしょう。派閥として結束できず、散々切り崩されましたが。
二つは、「総理の裁量」が組閣では働くと言うことです
本当はすべての大臣が「総理の裁量」でなければ困るのですが。現実には無派閥や民間人登用などは総理の意向なので、自民党政権時代は「総理枠」「総裁枠」と言われました。
この理屈に従えば、無派閥&民間は菅派に数えてよいです。現に、三人とも菅総理と親しいから入閣しているわけでして。
ということで、仙谷派内菅派は独立して扱います。
三つは、「閣僚の序列」です。
自民党時代は党三役を閣僚と同等に数えていたのですが、民主党では政調会長が入閣しているので数え直します。
で、参議院会長は昔の自民党どころか、大昔の日本自由党の総務会長(総裁のことです)くらい権力があるので三役計算。
色は、三役・主要閣僚は赤、重要閣僚(別名経済閣僚とか利権閣僚)は青、その他伴食大臣は緑です。
菅 派:岡田克也 幹事長、片山善博総務大臣、細川律夫厚労大臣
玄葉光一郎政調会長、馬淵澄夫国交大臣
仙谷派:仙谷由人 官房長官、
野田佳彦 財務大臣、 蓮舫行政刷新担当大臣(昔の総務庁長官)
前原誠司 外務大臣
横路派:輿石 東参議院会長、 松本龍環境大臣、岡崎トミ子公安委員長
田中派: 高木義明文科大臣、柳田稔法務大臣
渡部派: 鹿野道彦農水大臣、北澤俊美防衛大臣
鳩山派:大畠章宏 経産大臣、 海江田万里経済財政担当大臣
小沢派:なし
国民新党: 自見庄三郎金融大臣
三役を閣僚に数えると、
菅 派5(2+2+1)&仙谷派4(3+0+1)
横路派3(1+0+2)
田中派2(0+0+2)
渡部派2(0+1+1)
鳩山派2(1+0+1)
で、菅・前原・野田の三派連合が政権を独占しているような状態です。
国民新党に割り振る1議席を除く18の椅子を、三派こと仙谷派が9、しかもおいしい10のうち7をはじめ枢要ポストはほぼ独占。
「普段は官房長官が仕切って、何かあれば参議院会長に泣きつこう」内閣、です。
さらに詳しい解説をすると、大畠さんとか思いっきり菅続投支持をしていた代貸しですねとかあるのですけど。
ここまでのやりすぎた独占をすると後が大変というのは細川内閣が典型。
田中角栄派や竹下登派は、独占と言われながらも実は他の派閥にも割り振って一応の顔を立てています。
小沢派が人材難なのは確かですが、一人も大臣が務まる政治家がいない訳ではないでしょう。
ほとんど、「イヤなら党を出て行け」といわんばかりの態度。
その時は自民党でも分裂させて補う気か、はたまた公明党が今も閣外協力してくれるからイイヤと思っているのか。
たぶん、民主党の主流派の皆さんは、例えば経済や外交で支持率が上がるような政策を打ち出し、反主流派に有無を言わせない求心力を持とうとしているのでしょう。
ここまでの政権独占をやってうまくいったの、小泉さんが最初で最後じゃないかなぁ。
その前は戦後政治黎明期の吉田茂か。
皆さんもお暇なら、好きな内閣で色分けでもしてみてください。