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検証 財務省の近現代史(3)―パンドラの箱

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 人生で一番苦労した本。

3月16日発売!

 

検証 財務省の近現代史

 

政治との闘い150年を読む

 

光文社新書 税込861円

 

 単著1冊、編著1冊(7割私が書いた)、共著1冊、その他学術論文多数と世に送り出してきたのですが、今までは「ネタが大量にある中で厳選して選び抜こう!」みたいな書き方でした。
100わかっていることがあって1のネタを選び抜く、みたいな。まあ正統派です。
 ところが、今回はわからないことだらけ、知らないことだらけ、でした。
 大蔵省・財務省という分野は、部分的にムチャクチャ詳しい人がいるけど、150年を通して歴史を描いた人がいないのですね。本家財務省からして「編纂途中」とか言ってるわけで。
 
 さて、わからないことだらけの中で、今回の最大の発見が本章。
 最初の構想では、「井上vs.高橋」の話を強調しすぎては全体像が見えなくなる。その後の
近衛文麿の動きのほうがはるかに大きい、というストーリーでいこうと思っていたのですが。
 裏取りの作業をしているうちに、トンデモない事実と人物を発見。
 昭和11年の2.26事件から、翌年七夕の盧溝橋事件までに、トンデモない人物がトンデモないことをしていたのですね。
 それは何かというと、恒久増税というものをやらかした元祖増税大魔王が、陸軍ら軍部の連中を操り、近衛文麿たちを引き入れてやりたい放題やっているのです。
 本来ならこの話だけで倍ぐらいの頁の1冊にしてもたりないくらいなのですが。
 少なくとも言えることは、大蔵省史観では、この「増税大魔王」を筆誅を加える如く指弾しているということです。
 もちろん「パンドラの箱」とは恒久的増税を指します。

 本書最大の発見。
 日本近代史に興味を持ったことがある人なら誰もが、
「どうして日本はアメリカなんかと負けるに決まっている戦争をしたのだろう?」
という疑問を抱いたと思います。
 ところが、この設問そのものが誤りなのです。
 大日本帝国は、かなり後の時期まで滅びるはずの無い国でした。
 しかし、「負けるまで戦わされる仕掛け」をしくまれたのです。
 最近は近衛文麿やその側近がソ連の国益に奉仕していたということがわかってきましたが、
実はその露払い役とも言うべき「元祖増税大魔王」がいたのです。

 この時代、これで序の口ですから。
 つくづく思い知らされました。
 私、日本の近現代史に関して、何も知らなかったんだ。と。
 それでも書き続けた理由は「あとがき」にも書いたのですが。

 同じ仕掛けで再び日本が滅ぼされようとしているからです。


 我々は皆、仁和寺の法師なのです。
 その意味は16日に。