米国初代大統領ジョージ・ワシントンは架空の人物だった―アメリカ合衆国はこんな国(2)

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 最近、「聖徳太子不在説」なるものがあるらしい。
 曰く、厩戸皇子という人物は存在したが、聖徳太子はいなかったとか。
 まあ詭弁の極地です。
 ならば、米国初代大統領ジョージ・ワシントンは架空の人物です。
 アメリカ独立革命こと、「謀反」を年表に従って追いながら説明しましょう。

1775年 
 13植民地が謀反を開始。
 その首魁がジョージ・ワシントンという人物。
 後ろ盾には、大英帝国の宿敵、フランス。
 欧州のすべての国は、フランスに味方か好意的中立。
 七年戦争で勝ちすぎた英国に反感を抱いていたため。
 対して英国国王ジョージ三世はドイツ人傭兵で対抗。
 プロ集団の英国兵に、ワシントンたちはゲリラ戦で対抗。つまりひたすら逃げ回る。
1776年
 アメリカ独立宣言。
 福沢諭吉はこれを「檄文」と訳した。極めて正しい。
 だって、「俺達、ジョージ三世キライなんだもん」としか言っていない。
 13植民地の軍事同盟締結と今のEU憲法(にしましょうよ)条約の合いの子のような内容。
1778年以降
 フランス参戦。
 実は、英国苦戦の理由は、フランス以下欧州各国の謀反人たちへの支援。
 珍しく(というか史上唯一?)、フランス海軍が英国海軍に勝利。
 英国は通商破壊に苦しめられる。=軍や物資を本国からアメリカ大陸に届けられない。
 で、謀反人たちにはほとんどの戦闘に勝利しながら、和平に応じる。
1783年
 パリ条約。米国の独立を認める。
 アメリカ合州国という国家連合の成立。=今のEUのようなもの。
 国家連合であって、とりあえず国民国家である今のアメリカ合衆国とはまるで違う存在。
1788年
 アメリカ合衆国憲法と今では訳される、「アメリカ国家連合条約」が発効。
 要するに、これは州どうしの条約。
1789年
 ジョージ・ワシントン、アメリカ国家連合議長に就任。

 以上、ジョージ・ワシントンという人物は実在ですが、アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンなどという人物は存在しません。

 つまり、アメリカ合衆国などという単一の国はまだまだ存在しないのです。
 今のEUを指して一つの国だ、というようなものです。
 先取りして言うと、みんなが想像するアメリカ合衆国は、リンカーンが作った国です。

 江戸時代の日本人は、「ワシントンやジェファーソンは尭・舜だ」などと中国伝説の皇帝に比していました。ということは、リンカーンは始皇帝になります。

 御参考にどうぞ。実はアメリカ史も詳しい。

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「米国初代大統領ジョージ・ワシントンは架空の人物だった―アメリカ合衆国はこんな国(2)」への0件のフィードバック

  1. 倉山さん
    こんばんは。藤沢です。
    著書の方、読み返しておりました。

    自治とか人権とか国家の考え方については、米中はお互いある意味分かりあう部分もあるのかもしれませんね。嫌な分かり合い方ですけど・・・。
    日本国内について言えば、地域主権の言葉は、やはり引っ掛かりますよね。

    完結目指して頑張って下さい。それではまた。

  2. 誠に遅ればせながら誰殺、注文いたしました。
    読みこみたいです。

    改めてアメリカンスピリットって自己中極まり無いもんですね。
    (喫煙者だった昔、吸っていた煙草の銘柄も同名でした。)

  3. こんばんは。
    一日も早い旧一万円札の復活と二千円札の抹殺を期待します。
    藤沢さんも当レスで仰ってますが、統治という概念やその戦略に関しては、日本人の思想は他国のそれと全く異なるため、確かに相互理解することは出来ないのかもしれませんね。
    だとすれば、日本文明を他文明とは全く異質の一個の大文明と云ったS・ハンチントン教授の文明の衝突論も今更のようにまんざらでもないという証明かも…悪い意味で。
    現実的に、米国の一部のエリートには日本人に比べ、シナ人の方が理論構成や協議、交渉等の構成力(交渉を成功に導く工作を含め)において優れているという評価がなされますし。
    僕が見ても日本人には戦略や交渉力が決定的に欠乏しているのは事実ですし、現在に至ってはどう控えめに見てもやっぱり唯のアホなのかも知れません…
    とすると、米国から独立できないのも至極当然と云うことでしょうか。
    すみません、脱線し過ぎました…
    >リンカーンは始皇帝
    とすれば、インディアン強制移住法を定めたA・ジャクソン大統領は、毛沢東でしょうか…
    ネイティブ・アメリカンの精神性に親近感と尊敬、そして日本人が取り戻すべき精神を思うのは僕だけでしょうか。

  4. 藤沢様
    >著書の方、読み返しておりました
    南北戦争の本らしいですから。笑
    >米中
    しょせん、非ウェストファリア国家ですから。

    水菜様
    ありがとうございます。
    まあ気軽な本ですので、一回目はさーっと読んで、その後読み込んでいただくのが良いかと。
    「第一章の一頁目で考え込みました」という感想には大汗、ということがありまして。

    それはそうと、13日のあと4人でとまってしまい残念です。
    >檀林皇后
    ニアピンでした。

    佐伯様
    >日本人には戦略や交渉力が決定的に欠乏
    明治欧米留学帰り生半可教授出現以降の奇観であって、日本国史全体では例外だと思うのですが、如何でしょう。

    >A・ジャクソン大統領
    マオ・ゼットンとやっていること同じですけど、時代的に桀王か紂王でどうでしょう(笑)。もしかしたら武王かも。

  5. 佐伯様
    白村江以降の対唐外交なんかはかなりの外交を展開していると思います。

    二千円札は直ちに廃札、市場から引き上げるべきでしょうね。
    あれもまた不況の一因です。

  6. この間頂戴したメールにあった「お友達になりたくない天皇」ぢゃがの、
    ワガハイも同じ考えだったぞよ。
    後鳥羽、後白河とくれば、たとえ召し出されても参上する気にはなれぬのう。

    ところでお友だちになりたい帝ぢゃが、やはり仁徳天皇ぢゃろうかのう。
    この帝のためだったら、こちらから参上してお役に立ちたいものぢゃて。
    ほれ、あったぢゃろう。あの話ぢゃよ。
    櫓に登ったら、家々から炊事の煙が上がっておらぬ。
    「民の家々に炊事の煙が上らぬのは何としたことぞ」。
    「下々の民は貧しくて、飯を炊くこともできぬのでございます」。
    「よろしい、向う三年、税は取り立てぬようにせねばならぬ」。
    炊事の煙が上がるようになったのを見た臣下が
    「もうそろそろ税を取り立てても宜しいのではござりませぬか」
    と申しても、
    「約束の期間は三年である」
    とのたまって、税をお取りにはならなかったと聞いておるぞ。

    仁徳の帝が東北の被災地を御覧あそばしたら、何とおおせになるぢゃろう。
    「みちのおくの海辺には人の住む家が一軒もないではないか」。
    「人々の家は一軒残らず津波に流されてしまったのでございます、陛下」。
    「うむ、それは何とも哀れなことである。
    直ちに復興の事業を起さねばならぬ」。
    さて、問題はそこから先ぢゃよ。
    「復興のためには金が必用である。
    民にかける税を増やすように」
    とは、お口が裂けても仰瀬にはならなかったぢゃろうて。

    では、いつものを一発。参りますゾ。

    日本の自殺者三万人!!
    日銀総裁白川さん!!!

  7. 倉山さんこんばんは。

    実際はフランスはじめヨーロッパ諸国の協力でイギリスに独立させてもらった
    という感じであるのに、
    アメリカ人は、
    われわれの手で自由と独立を勝ち取った!
    という言い方をしがちですよね。
    こういう強気さとある種の呑気さがアメリカを形作っていると思います。

  8. ほらふき男爵様
    13日の分にも転載しました。
    ちなみに暗君に仕えるから忠臣だそうです。

    マイ様
    おー、久しぶりですね。
    ツイッターで見事なまでの停滞ぶりを拝見していました。爆

    さて、イラク戦争で「フレンチトーストの名前を変えよう」とアメリカ人が言い出した時に、「だったら自由の女神を返してからにしろ」と言い返したとか。
    ちなみに世の中には「チャーチルまでアメリカは親仏反英の国だ」と言うと「史料を出せ」などと言い出す自称実証主義者のアホどもが多かった。
    自由の女神を知らなかったのでしょう。

  9. 倉山先生
    こんばんは。
    >明治欧米留学帰り生半可教授出現以降の奇観
    倉山語録として登録させて頂きます(笑 お見事でございます。
    >マオ・ゼットンとやっていること同じですけど、時代的に桀王か紂王で
    では、紂王でお願いします^^
    最近、やっと標準語らしきものが浸透してきたのが余程嬉しいのか、僕らにまでマオ・ゼットンだのチャン・チェシー(ユワン・シーカイ)だの強要するのは止めて頂きたいものです。
    僕などはゼットンと云えば、ウルトラマンを倒した怪獣なのですが…

    仙台竜三さま
    レスありがとうございます。
    >白村江以降の対唐外交
    このあたりの歴史は、倭の任那日本府の存立の否定と伽耶や加羅の肯定、騎馬民族征服説などの我が国の起源に関わる歴史同様に恣意的政治的解釈甚だしいと思うのですが、如何でしょうか。
    帰化人と渡来人の解釈も同じ傾向で…少なくとも僕は、主体を当時の海外の先進国に置くかの如き一律的な渡来人への改称をするような風潮を好みません。教科書採択の中、日韓併合・創氏改名や南京事件に関しては関心が高まっていると感じますが、先進技術や我が国の国家イメージと同様に我が国の起源まで盗まれていることに余りにも無頓着のように感じています。
    ただ、こういう僕自身も、正しい学術的裏付けを持った解釈とは何かと言われると諸説入り乱れ良く解らないというのが実情なのですが…

  10. 佐伯様
    >ゼットン
    本当にそういう読み方あるのですね。
    私は「マオツオトン」をゼットンと呼んでました。笑
    7月17日は、ウルトラマンがべムラーを倒した45周年なので、無意識の内に思わず「ゼットン」などと書いたのかも。

    ちなみに「やさしいジョーおじさん」ことヨセフ・スターリンのことは「やさしいキングジョーおじさん」でした。
    ゼットンもキングジョーもウルトラマンには勝ちましたが、地球人に倒されましたね。笑

  11. 佐伯様
    >騎馬民族征服説
    これはほとんど否定されているはずです。

    この時代は謎が多いのですが、遣唐使は相当に腹をくくって国を出たことは忘れてはならないでしょう。
    それと、半島経由が新羅との国交が不安定になり、東シナ海を直接渡らなければならなくなったことはあまり注目されないですね。

  12. 倉山先生
    >7月17日は、ウルトラマンがべムラーを倒した45周年
    …改めて雑学王と呼ばせて頂きます。

    仙台さま
    レスありがとうございます。
    これからもご教授お願い申し上げます。

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