橋下知事、「転向」?

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 久しぶりに憲政ネタを。
とはいうものの重いのはあれなので、軽いので。

【橋下府政ウオッチ】皇室意識し、知事が“転向”
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100920/lcl1009200701000-n1.htm

 実は、タレントとして出始めの頃の橋下さんは、はっきり悪印象でした。TBSの日曜朝の番組にガラの悪い格好で出てきて、「ノーベル賞をとるような学者以外はいらない。もっと社会の役に立つようなことをしろ」とか言ってましたから。
ちなみに「社会の役に立つ」ようなことしかしていない学者ほど、いざと言うときに社会の役に立たない人はいません。そういう人を御用学者と言います。日本だと元祖は林羅山です。

 ただ、最近の橋下さんは保守系政治家と自己を位置づけているようです。
府政でやっていることがマトモに見えるのでその点では印象は変わりました。

 一時期、「日本でも大統領制を」とか言っていたのでどうしようかと思っていましたが、さすがに「保守」の立場からまずいと思ったのでしょうか。
こういう展開、その昔『サンクチュアリ』という極道漫画(政治漫画とは認めない)でもありましたね。って、そんな漫画なぞ知らないか。。。

 要するに、首相直接投票制にしたいのでしょうが。
古くは、中曽根大勲位さんが「首相と恋人は自分で選びましょう」とか主張されてました。
小泉さんも主張されていましたが、佐々木毅東大総長が「それ、政治の基礎をわかっていない議論だから引っ込めましょう」と説得してなかったことになりました。総選挙と総裁選挙をまじめにやればよいだけの話だと気付いたようです。
大統領制の欠陥は、アメリカ大統領が議会にどれだけ小突き回されているかをみれば明らかでしょう。大統領権力が強い国はほとんどすべてが独裁制ですから。
ドイツやイタリアのような王様がいない国でも「象徴大統領制」の下で「議院内閣制」を採っています。
大事なのは、立憲政治の常道であって、制度いじりではありません。

 もう一つ、首相公選論者が忘れているのは、仮にこれを導入した場合、憲法における立法府と行政府の関係を全部見直さねばならないことです。憲法で言えば、4章と5章は全面改定になります。それだけで足りるかなあ?

 橋下知事、資格問題で話題になったことで世間から弁護士だと思い出されたようです。
司法試験に受かるような方なので、以上のような基本的な議論を承知していないのか、と普通の人は疑問を持つかもしれません。でもそんなものです。
なぜそうなるかと言うと、

日本国憲法学は法学ではない

からです。

 確かに、司法試験受験生は憲法はさらりと流します。
あ、ちなみに日本国憲法学は新興宗教ですけど、帝国憲法学はまじめな法哲学でした。

 重い話で考えているのは、民主党代表選挙での外国人投票権です。
民主党代表選挙で外国人に投票権があったのは「違憲」だという説を長尾先生が唱えてますね。日本国憲法学の限界かなあ。かなり強引な説とも言えるし、ああいうしかないとも言えます。
間違いなく言えるのは、今回の民主党の代表選挙は非立憲でした。
ちなみに米国憲法には非立憲の概念が無く、英国憲法では違憲と非立憲の区別がありません。
では日本国憲法では?

 今は、違憲ではないかもしれないけど、明らかに非立憲的な行為がまかり通っています。習近平会見強要とか、千葉大臣留任とか。

「橋下知事、「転向」?」への0件のフィードバック

  1. >総選挙と総裁選挙をまじめにやればよいだけの話
    >大事なのは、立憲政治の常道

    ここのところがgdgdになってしまうのは
    占領憲法(=新興宗教のバイブル?)だからですよね?
    我が国の憲法が清く正しく改められるまで今暫く時が必要かと思われますが、
    それまで立憲政治の常道を外れないよう与党や政府に働きかけうる効果的な手立てはありますでしょうか?
    自分のような専門家でもないフツーの民が「非立憲的行為」を声を大にして非難できる根拠として、いかに語り得るのかとか。。。

  2. >日本国憲法学は新興宗教
    つまり、宮沢俊義は新興宗教日本国憲法学の教祖(略称・日教祖)ということですね。

  3. >総選挙と総裁選挙をまじめにやればよいだけの話だと気付いたようです。
    憲政の常道を守るということですね。

    >ちなみに米国憲法には非立憲の概念が無く、英国憲法では違憲と非立憲の区別がありません。

    米国はこと細かく条文化し、英国は法にないことはやってはならないこと、ということでしょうか。

  4. 9月2日のレス、相変わらず荒れ放題。
    というか、会話の次元が違いすぎて話になっていない。
    論破すれば次々と愚にもつかない乱入者が現れるし。
    レス最高記録ダントツ更新!って喜んでおきましょう。

    隆満様
    >占領憲法(=新興宗教のバイブル?)だから
    でもあり、バイブルとしてありがたがる人がいるからです。嘆かわしいことに。

    >それまで立憲政治の常道を外れないよう与党や政府に働きかけうる効果的な手立てはありますでしょうか?
    普通の人は「与党や政府に働きかけ」などしなくても良いはずです。本当は。私もこの砦をはじめる数月前、伊勢の神宮で決意するまでは、自分の名前と顔を出して世に出よう、などとかけらも考えませんでしたから。
    だから、隆満様のように熱心に応援してくださる方はありがたいです。
    伊勢では、私自身が一つの運動体になろうと決意しました。
    とにかく、同じ志を広げてください!そうすれば政府も無視できなくなります。
    もっと私に力があれば、と忸怩たる思いです。

    >自分のような専門家でもないフツーの民が「非立憲的行為」を声を大にして非難できる根拠として、いかに語り得るのかとか。。。

    できるだけ、「武器」となる言葉・論理を提供します。
    本当に力不足で申し訳ありません。

    ただ、生島さんのこともそうですけど、この砦では言えない事もありますが、できる限りの動きはしています。

    新田様
    あんまりウマくないかも・・・。日教組(ひきょうぐみ)の二番煎じ?

    仙台様
    ドイツは許可されたことは許可されている。
    フランスは禁止されていないことは許可されている。
    ソ連は許可されていることも禁止されている。
    イタリアは禁止されていることも許可されている。

    英国は難しすぎてわかりません。笑

  5. 初めて書き込みいたします。
    「歴史通」の満州の号で、倉山先生と「砦」のことを知り、拝見するようになりました。

    私が法学部の学生だったのは随分前ですが、私が敬愛していた商法の先生も、「あんなもの(憲法の講義)は、法学じゃありません!」と仰っていました。
    実際、日本国憲法の講義は、「こういうものだから、そう考えるしかない」という類の話が多々あり(出自のいかがわしさも含め)、宗教のお話を聞いているようでした。

  6. 竹光の剣士様
    はじめまして。ありがとうございます。

    >憲法の講義は、法学じゃありません!
    >こういうものだから、そう考えるしかない
    >出自のいかがわしさ

    大学でもそのまま講義しています。笑
    どうやら、「大学では教えられない講義」が世の中で求められるようになってきているようです。

    今後ともよろしくお願いします。

  7. >竹光の剣士様

    はじめまして(^−^)/
    以前にも書いたことですが、名だたる憲法の基本書って、改正手続に関する記述が殆どないんですよ。あってもせいぜい「改正権の限界」に紙面の多くを割いてる状態で。おそらく、「憲法が改正されたら今まで築き上げてきた学説が通用しなくなる!」という憲法学者の既得権益意識が働いてるのでしょう。でもこれ、「改正されることを前提として存在する」一般法の学者から見れば、腹立たしい限りではないでしょうか。特に商法なんて、しゅっちゅう改正されてますし(5年前にも商法の大改正がありましたしね)。
    その商法の先生のおっしゃること、ごもっともですよ。

  8. 倉山先生、レスありがとうございます。

    >熱心に応援してくださる方はありがたい
    応援することとは一緒に闘うことですよね?
    特に知識も知恵もない者ですが何ができるかを考えています。

    >同じ志を広げてください!そうすれば政府も無視できなくなります。
    3年ほど前から周囲にできる限り(人間関係壊さない程度に)基礎知識情報?をバラ撒きまくっていますが、多少なりとも戦後の歴史観なり政治の異常さに気づかせ得たのはまだ6人くらいです><うわぁ

    この「砦」で教わる事はまるで知識が追いつかない故に逆に助かっています。
    何をポイントとして押さえるべきかがわかる反面、疑問も増え、自分で答えを探さねばならないので読むべき書籍が増えるばかりで埋もれています。
    いつの間に、ただの植木屋がこんなに脳を使わねばならない世の中に・・・^^;

  9. 倉山先生、レス、ありがとうございます。
    学生時代は、疑問を感じる私がバカなのか、疑問を感じない連中がバカなのか、随分悩んだりもしましたが、この「砦」のおかげでスッキリしました。

  10. 叔父さんの息子様、はじめまして。
    宜しくお願い申し上げます。

    日本国憲法がどうやってできたか(押し付けられたか)は華麗にスルーしておきながら、「改正には限界がある」などと主張するような学者は、どういう頭の構造をしているのか、一度開いて見てみたいものです。

  11. 隆満様
    6人、十分だと思います。
    中大生救う会は3人で、坂本龍馬は2人で、高杉晋作は1人で立ち上がりましたから。

    ちなみに、この砦では告知していない会もいくつかやっているのですが、茶話会などもしています。というのは、普通の主婦の人、今までママさんコーラスとかにしか関心を持たなかったような人が、「今の日本は大丈夫なのか、本当のことが知りたい」というような関心を持っておられたりしていまして。それで、わたくしでできることならとお手伝いをしているような次第です。
    時代は変わってきています。
    私でできることなら何でもお手伝いします。
    まずは、その6人の方にこの砦を紹介しておいてください。笑

    竹光の剣士様
    おっしゃることはすべて私も体験しました。なんだかデジャブのようです。笑
    というか、わたしたちの方が実は普通だと思います。
    芦部という教祖の方は、延々と「改正限界説」について何百頁も述べながら、「なぜ改正には限界があるのか」について一言も述べてはいなかったりします。
    私は憲法を教える準備の勉強をしている時に(2年かけました)、ある日突然に「そうか、日本国憲法は宗教なのだ!」と気付きました。学者(原義は暇人です)以外の人にはまったく不要の作業ですので、竹光の剣士様は至極まっとうな社会人だったということだと思います。

  12. 倉山先生、重ね重ね、ありがとうございます。
    日本国憲法は「経典」、うち、前文は「神話」、各条文は「戒律」、というところですかね。

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