日本で唯一の演説政治家といえば誰でしょう。
北條政子です。
「純粋に演説によって世の中を動かして」という意味での演説政治家です。
西洋だと、ギリシャのデモステネスやローマのアントニーの時代から、人心を演説によって一変せしめた、などという例は枚挙に暇がないのですが、日本だと北條政子だけでしょう。
承久三年(一二二一年)、後鳥羽上皇は時の鎌倉幕府執権の北條義時を逆賊として追討する院宣を発しました。
理由は、「将軍に皇族を出してやるから、上皇のお妾さんの領地から幕府の地頭を追い出せ」
という要求が無視されたからだそうです。
多くの武士の反応は、「上皇と執権で勝手にやってください」でした。
ということは、北條義時は孤立無援で絶体絶命。そこで大管領・大江広元の助言により登場したのが、義時の姉にして創業者・源頼朝の妻である政子。
政子様、鎌倉中の白け切った御家人を集めて大演説。
ソ連歴史科学アカデミーの如く正しい態度で史実を記す鎌倉幕府公式歴史書によれば以下。
(面倒くさい人は読み飛ばしてください)
『吾妻鑑』
皆心を一にして奉るべし。これ最期の詞なり。
故右大将軍朝敵を征罰し、関東を草創してより以降、
官位と云ひ俸禄と云ひ、其の恩既に山岳よりも高く、溟渤よりも深し。
報謝の志これ浅からんや。
而るに今逆臣の讒に依り非義の綸旨を下さる。
名を惜しむの族は、早く秀康・胤義等を討取り
三代将軍の遺跡を全うすべし。
但し院中に参らんと欲する者は、只今申し切るべし。
で、乱の直後に記された軍記物語には以下。
(これも面倒くさい人は読み飛ばしてください)
『前田本承久記』
人々見給はずや。
昔東国の殿原は、平家の宮仕へせしには徒歩(かち)跣にて上り下りしぞかし。
故殿鎌倉を建てさせ給ひて、京都の宮仕へも止みぬ。
恩賞打ち続き楽しみ栄えてあるぞかし。
故殿の御恩をば、いつの世にか報じ尽し奉るべき。
身の為恩の為、三代将軍の御墓をば、いかでか京家の馬の蹄にかくべき。
ただ今各々申し切るべし。宣旨に従はんと思はれば、
先づ尼を殺して鎌倉中を焼き払ひて後、京へ参り給へ
では、両者を合わせた倉山訳をどうぞ。
「声は岩下志麻」でお読みください。
皆さん、心を一つにしてお聞きください。
これが私の最後の言葉です。
昔、ノンキャリアの公務員の人々は、別に天下りでおいしい思いが出来る訳でもないのに、現場で汗水流し、身体と家庭を犠牲にしてまで一生懸命お国のためにはたらいてきました。
ノンキャリだったくせにキャリアづらして威張り散らしていた平家の輩を、頼朝公が打ち滅ぼし、「働く人が主人公」をモットーとする鎌倉幕府を打ち立てて以来、理不尽なコクイチ偏重主義はなくなりました。真面目に働けば能力のある人は局長・次官になれるようになりました。この御恩は山より高く、海より深いはずです。亡き頼朝公の御恩をどうして忘れることができるでしょうか。
ところが、今や君臣の奸の讒言により非義の綸旨が下されました。
公務員改革を逆戻りさせようとする勢力の暗躍です。
保身をはかる人たちは、どうぞ好きにしなさい。
今この場で申し出て、私を殺してからその首を持って、何の能力も無いのに東大法学部を出て試験に受かったというだけの特権官僚のもとに馳せ参じなさい。
再び犬のような暮らしに戻ればよろしいでしょう。
しかし、命を惜しまず名を惜しむ人は、即刻、
羽毛田白川を討ち取りに行きなさい。
ちなみにこれが「現代語鎌倉史劇」こと「草燃える」です。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8443634
極妻より恐い。。。
おどろおどろしいなあ。
結果、岩下志麻、じゃなかった北条政子の至誠溢るる稀世の大演説はたちまちにして鎌倉御家人の考えを一変し、「主上御謀反」を倒すの挙にいでしめましたとさ。
私、尊皇家として人後に落ちないつもりですが、特権官僚を擁護する勅命は「非議の勅命」であり、従う必要は無いと思っています。
などというのは私が勝手に言っているわけではなくて、かの『神皇正統記』でも本当に主張されています。
「陛下の側近が言っていることは大御心だ」という議論、いかに間違っているか、ということです。
以上、 『別冊正論』所収
“つくられた大御心”と側近たちの大罪
の予備知識でした。ただいま絶賛発売中。
立場を考えると動かざるをえない演説ですね。心打つ言葉を使うのはなかなか難しいです。
今回の件とは関係ありませんが、ちょっと気になったニュースを…
夫婦別姓求め初提訴へ=「憲法違反」と国賠請求―東京地裁
時事通信 1月6日(木)20時29分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110106-00000131-jij-soci
国を訴えておきながら国に認めてもらえないと別姓を名乗れないなんて、哀れな人たちですね。
こんな身勝手な連中に国民の税金から損害賠償が払われるというのもどうしたもんだか…
中国・韓国の夫婦別姓は、よその家から来た嫁を自分の家に入れないという、
とっても排他的・性差別的なものなのだが、それを知っているのだろうか。
ちなみに、子供の姓は自動的に父親側。男系優先だから。
婚外で生まれた子供は母親の姓になる。
嫁は、死んだら実家に骨が送り返されて、同じ墓には入れないんだとさ。
いやあ、温かい家庭だこと。
さうぢやさうぢや、北條政子役は岩下志麻であつたのう。此れが數十年後にはお江役で三枚目もこなすのだから、此の人は演技が上手いでござるのう。
かしわもち様
一體どう云ふ譯かさう云ふ話に成ると連中は急にまるで石にでもなつたかのやうに默りこくりますね。全く不思議なことです。
因に夫婦別姓をまともにやつたとして、一番困るのは熟年離婚狙ひで婚活やつてゐる人達なんですけどねえ。金融機關の口坐名義も裏技を使へば實はどうにかなるわけでして。
きにくわなければなんでも裁判起こす。
極左の常套手段ですね。
お題とは関係ありませんが、菅首相に関して一筆。
弁理士試験受験者は、弁理士試験に合格することだけを考え。資格取得後の業務については習得しない。
レジュメと称する問題と模範解答を何百通も暗記するだけである。
これはまさに、アスペルガー症候群の症状そのものである。
菅直人氏は弁理士試験で資格取得した弁理士である。
総理大臣になることだけ考え、なった後のことを考えられないのはアスペルガー症候群である。
健忘症の官房長官と併せ、問責決議案提出理由に十分である。
かしわもち様のかの国の夫婦別姓の実体コメント、ずばりその通りでしお題とは関係ないのですが、小生なりの認識を書いて見ます。
超男性優先・超差別主義が別姓の実体です、超が付きます。お隣の半島では、
この習慣を有するが故に、長男の嫁ともなると正月や冠婚葬祭からキムチ作りに至るまで親戚衆が一同に会する際には段取りやらなんやらで日本人には想像を絶する負担を強いられるわけです。誤解を恐れずに言うと、社会的に嫁はド○イであって家族と認めてないんです。
また、これに耐えれずに離婚ともなるとこの原理原則によって具体例は割愛しますが、女性は悲惨なことになるですよね…。もう哀れです、ほんとに。
でどうなるか?
家督を継ぎたくない長男が増えて家督を放棄し二男、三男へ継がれるという家系の崩壊を招き、それに加え、女性の社会進出は依然と制限されていますし、給料も超易いため、(これも超が付きます)
女性の男性選択基準なるものが確立し長男ダメ、貧乏ダメと自己都合と強烈な拝金主義が優先される結婚形態へ進み、結婚率と出生率の低下と勝手気ままな離婚率の上昇という社会問題の一つの要因となっているです。
まぁ、この辺は日本も同様の現象がありますし、社会的背景はだいぶ違いますが、我々も反面教師を師として反省し、日本的な家族の本質とは何かを考えるよい材料になると思います。
ほとんどが無関係な話題。しかも夫婦別姓に関して。。。
なぜ源政子ではなく北條政子か、とかそういう話ですか?
(と強引に軌道修正)
源氏ではなく北條家の利益代表でしたから。
あれ、現代の話に戻った。。。
>仙台様
岩下女史といえば、「独眼竜政宗」の保春院役も有名ですね。親子の確執を抱えつつも息子の臨終の際には自らお迎えにくるというシーンは今でも鮮明に覚えています。
しかし「CV:岩下志麻」って、出来すぎ…
でも演説でここまで歴史を動かした人って、日本史では少ないですね。他にいるとすれば、尾崎行雄と、あと誰だ?
(尾崎のバカ孫については、まぁそれはそれ…^^ゞ)
倉山先生
ご指摘のピントずれ夫婦別姓コメント大変失礼しました。
以後、道理を弁えたいと思います。申し訳ございませんでした。
叔父さんの息子様
一般には政宗との仲は惡かつたやうに言はれますが、義姫の行動と云ふのは一理あつて政宗もおそらくそれは解してゐたやうです。いづれにせよ岩下志麻でなければ演じえないですね。
叔父さんの息子様
小室直樹さんなどは尾崎をよく引き合いに出していましたが、桂内閣を倒したのは、原敬の走狗となった山本権兵衛海軍大将です。
佐伯様
そんなにかしこまられると。。。汗
脱線もこの砦名物ですので。笑
あんまりまじめに気にしないでください。
常連さんの中には、私をおちょくるのが趣味みたいな人もいますから。笑
仙台様
「北条政子計画」をやってみようと思います。笑
大管領
倉山先生
失礼いたしました。私が関係のない話題を無視すれば良かったものを
引き取ってしまったがためにこのようなことが起きてしまいました。
ここに遺憾の意を申し述べますとともに、
今後は法と証拠に基づき適切に処理します。
佐伯様
とても参考になりました。
私も、取引先の韓国人女性や在日韓国人女性とお話しますが
みな一様に、日本の夫婦関係が羨ましいと言っております。
マザコン・亭主関白度は、凄まじいようですね。
夫婦別姓論者の女性は、その本場である中国人や韓国人と結婚され
国籍を変えられればいいのかなと感じました。
いやいやこれは申し訳ございません。すべて私の責任です。^^ゞとかく法律ネタには飛びつく習性がありまして…パブロフの犬追物、とでも言いましょうか。