昨日の帝国憲法講義

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 政治家の方の御参加が多い日でした。また、正論やチャンネル桜で私のことを知って来てくれた大学生の方なども増え、嬉しい限りです。

 ネタ的には、順番を入れ替えて議会の話しをする方がよかったのでしょうが、こういう時こそ「守るべきものは守る」という姿勢を大事にして、最初に決めた内容通りに講義しました。

 国家は生存のために常に闘争を行わなければなりません。それは、「鉄と金と紙」によります。鉄とは軍事力、金とは経済力です。戦争をしたくないならばこそ軍事力を整えなければならない。その為には経済力がいる。これは国家が続く限り変わらぬ原理でしょう。別の言い方をすれば国家は常に戦争を行っているに等しいとも言えるのです。

 では紙とは、文化力や言語力と言うべきでしょう。単に外交力と言うよりも。戦前日本は強い軍事力を持ちながら使い方を誤り、滅亡しました。今の日本は、大きな経済力を持ちながら、そこに溺れて滅びようとしています。今まさに亡国前夜です。

 このような危機的状況だからこそ、誰かが誰もが言えない事を言わねばならないのです。そして誰もが国家の危機を認識しなければならないと信じています。

 例えば、「平和・人権・民主主義などの日本国憲法の三大原則などを信じていない」などと言える政治家はそんなにいないでしょう。まず落選でしょう。

 帝国憲法講義は「政治家や実務家にいえないことを言おう。それが学者の使命である。」と考えてはじめました。

 軍事力や経済力で負けては国家は生存できません。しかし最後に国家の価値を決めるのは文化力です。目の前の物質的な事象に眼を奪われて、考えることを忘れた国家はやはり滅びます。ローマ帝国も大日本帝国もそうでした。

 ただ、ローマ帝国はかけらも残っていませんが、日本国は滅んだ訳ではありません。たかが一度戦争に負けただけです。

 今ここにある危機の認識、それが我々の使命ではないでしょうか。

 来月は、帝国議会をやります。

「昨日の帝国憲法講義」への0件のフィードバック

  1. 乙です。^^

    ところで、せっかく「軍事力」の話が出てきたので、ここでひとつ質問させていただきます。
    もし、日本で国軍が創設されたら、その管理権はどの国家機関が担当すべきでしょうか。

    現在の日本国憲法下では、軍隊を持つことは不可能でしょう。「戦力の不保持」に明らかに引っかかります(東大憲法学はこれすら正当化しそうで怖いですが)。とすれば、憲法改正は当然必要でしょう。
    問題は、ならば創設された国軍の管理、つまり旧憲法の統帥権に当たる権限行使は誰が行うのか、です。

    旧憲法では、軍の統帥権は天皇に属していました(あくまで形式ですが)。しかし天皇が「国政に関する権能を有しない」とされる日本国憲法下では、たとえ形式のみであっても天皇が軍の管理者になる、などということは不可能でしょうし、憲法を改正するとしてもそのような改正条項が国民のコンセンサスを得られるとは思えません。おそらく右からも左からも反対を食らうでしょうし(左からは「戦前の絶対天皇制の復活だ!」といわれるでしょうし、右からは「天皇陛下に累を及ぼす恐れのあるような改正に賛成できるか!」といわれるでしょう)、何よりそんな改正案が国民投票を突破できる筈がありません。

    順当に考えれば、現在の自衛隊の指揮権が内閣に属するように内閣が軍隊の管理者になるのが適当なようにも思えるのですが、そもそも戦前の「統帥権の独立」の趣旨が軍事に政治上の影響を及ぼさないことにあったことから考えると、国会つまり政治的多数派の信任を得て成立する内閣に軍の管理を任せて大丈夫だろうか、という不安は付きまといます。
    とすれば、現在の三権分立のパラダイム(立法・行政・司法)を組み替え、四権分立(立法・行政・司法・軍事)として相互監視システムを構築する、ということも考えられますが、そうすると文民統制が機能しなくなるのではないか、という不安がありますし、何より主権者たる国民が軍事にアプローチすべきシステムをどのように構築するのか、という問題が残ります。

    国軍創設が正しいかどうかは、私の専門外なので分かりませんが、現実に日本周辺には脅威が迫っているという状況を考えますと、もし創設された場合の管理権者が誰になるのか、ということは考えておく必要があるように思います。これについての先生のご見解をお伺いしたいと思います。

  2. 毎回とても為になり、懇親会も大変楽しませてもらいました。毎日二回砦に立ち寄る  励行致します。

  3. お疲れさまでした。
    土曜日も楽しい時間でした。

    懇親会も、盛り上がりましたね〜
    みなさん、来月もいらしてくださ〜い

  4. すばらしい講義ありがとうございました。
    知らないことが多いけれど本を読み、人と話をし、毎日砦に2回来て帝国憲法講義に足を運ぶだけで色々なことが分かってくる気がします。
    行動あるのみですね。

  5. 講義お疲れ様でした。遠くから応援しております。

    >叔父さんの息子さん
    「文民統制」とは政治の軍事に対する優越、即ち「やっつけてこい」「今は手を出すな」「ここらでやめろ」といった決断を政治が行うということですね。一方、「統帥権の独立」とは、一旦やると決めた以上、政治は細かい作戦行動についてまで口出しするな、ということです。
    無論、どんな制度にしても政治と軍事の連携がうまくいかないとまずいに決まっているのですが、「文民統制」と「統帥権の独立」は、基本的に矛盾なく両立させられるものだろうと思います。
    軍事の長を誰にするかという問題ですが、戦前は天皇陛下直々に大元帥となられました。今は内閣総理大臣が軍事の長を兼ねています。
    もしもっと違う形にしたければ、独立職を設置することも一つの手かもしれません。その場合でも「文民統制」と「統帥権の独立」とを矛盾なく両立させることはできます。
    今の総理大臣を左大臣に(格下げ)して、軍事の長を右大臣と呼び、左大臣をやや優越させて・・・とか、まあ、考えてみるのは楽しいですよね(笑)

  6. 現下の民主党政権の状況や、このような政権を国民が選択したことを鑑みるに、わが国には民主主義はまだ時期尚早なのではないでしょうか。軍の管理権の話も出ていますが、むしろ軍が国を管理し、将来、民主主義が機能できるようになるまで、軍を中心とした救国委員会のようなものを作って、かつてのGHQのような機能を果たすべきだと思います。もっとも現状の自衛隊がそのような能力があるとも思えませんので、再度、米軍の力を借りる必要があるのかもしれません。

  7. >SC様
    お初です。よろしくお願いします。
    のっけから随分と大胆なご意見ですね。個人的にはこういう発言は好きなんですが^^。

    SC様のご意見は、平たく言えば軍政施行ですよね。
    ただ、もし現在の日本で軍政を施行する場合、どのようなプロセスによるべきか、という問題があります。合法的に考えれば、憲法を改正する以外にないと思いますが(改正限界説だの無限界説だのはこの際度外視します。限界説にたつとそもそも議論が成り立たないので)、こんな改正案が国民投票を突破できるとは思えませんし、そもそも国会が自己否定するような改正発議をするとも思えません。

    そうすると、クーデターでも起こす以外にないということになりそうですが、現在の自衛隊にそんな気があるでしょうか?確かに田母神氏のような勇敢な方も居られますが、あの人だってここまで過激な意見は言ってません。三島由紀夫先生は市ヶ谷で自衛隊決起を呼びかけましたが、結局相手にされませんでした。

    米軍の力を借りる、というのも、引っかかるところがあります。いちおう日本は米軍の重要な同盟国であって(到底マトモな同盟関係とは言えませんが)、今更再占領する気なんてないでしょう。ま、あの国は平気で内政干渉するような無道な国ではありますが、少なくとも同盟関係にある日本を再占領するとも思えません。

    つまるところ、SC様のご意見は、マッカーサーの喧伝したウソ話、つまり「日本国民の精神年齢は12歳(結局、自分では何も決められない子供のようなもの)」に影響されているのだと思います。もともと議会制民主主義とは「多数の愚か者に国のあり方を委ねる」という宿命を背負っているのであり(もちろん、私もその愚か者の一人です)、これはマッカーサーの母国である、あの国も同じです。どの程度成熟すれば民主政治に耐えうるのか、ということはないと思います。
    たしかに、今回や前回の総選挙結果を見ると、「日本国民って流されやすいなぁ」と感じることはあります。しかし反対党だって一定数の議席を確保しており、政権与党に反対意見を述べ、その政治意思を反映させるという機会は残されています。その意味では、日本では議会政治は充分機能しており、そのような状況を作った日本国民も決して「民主主義はまだ時期尚早」ということでもないのではないでしょうか。
    ここはひとつ、「愚かではあるが決して救いようがないわけではない」日本国民を信用してみても良いと思います。

    >dodo様
    「統帥権の独立」に関しては孫武や竹中半兵衛の伝説にもそんな話がありますね(あくまで伝説ですが)。
    軍事が政治によって左右されるのは民主主義のシステムから考えて当然のことと思いますが、それが現場介入の域にまで達してしまうと、国策を誤るということはあるでしょうね。仰るとおり、双方の理念を両立させたシステム構築が必要だと思います。
    左大臣・右大臣という制度も、導入の余地はあるかも知れませんね^^。

  8. レスありがとうございます。
    まあ、軍政移行は通常考えにくいですね。
    ようするに民主党政権が政権遂行能力を失えばよいわけです。破綻国家を救うために米軍が介入するという筋立てです。
    米国にとって日本を再占領するだけの価値はあります。日本列島の地政学的意義は、紅海の入り口を制するソマリア以上のものです。
    民主党政権が政権遂行能力を失うことは十分にありえます。というより現状を見れば、すでに支離滅裂です。ちょっと後押しすれば自民党政権時より脆弱でしょう。
    日本国憲法には、このような非常事態は想定されていませんから、民主党政権が政権を放り出せば、合法も違法もありません。要するに政権の自然消滅です。
    もちろんクーデターとか、革命の扇動などというようなことをするような、能力も意思も必要ありません。また田母神さんや三島さんのような志の高い方々も要りません。日本側には、米軍による占領政策の受け皿になるだけの、実力組織だけがあればよいのです。
    直接占領統治はコストが高いですから、米軍もよほどのことがない限りは避けたいところでしょうが、手足になる組織が日本側にあれば、小さなコストで統治が可能だからです。
    日本人自身による改革は、戦後60余年の推移を見てわかるとおり無理です。それができるのなら、講和を以って、とっくになされている筈です。「マッカーサーの喧伝した」のはウソ話などでは真実です。日本人自身がそれを証明しています。
    このまま自治労や日教組に支配された民主党政権による中共への接近が行われるぐらいなら、それを許容する民主主義などより、米軍による軍政の方がよほどましでしょう。

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