参議院って何?(7)―最強の拒否権集団!

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 今朝、日テレで「行列〜」でおなじみの北村弁護士が小沢問題で熱く語っていました。
内容は、4月28日の砦の内容の通り(笑)。あれは、まじめな法律家なら誰でもたどりつく結論ですから。
北村弁護士が強調されていたのは、政府民主党の検察への圧力です。
特に、「指揮権発動」は論外として、「検察官への証人喚問」への言及が秀逸でした。
たまたま政治家が自らの権限を生かす方法を知らないから助かっている人たちもいるのですが、参議院が本気になって、しかも狡猾な政治家が支配したら、内閣法制局だろうが財務省主計局だろうが、ましてや検察や警察などかなわない、というのが今回の主題です。いかなる巨大官庁でも、悪知恵を身につけた参議院には逆らえません。それが日本国憲法の正体です。

 民主党の中には「昔の上司や同僚に復讐したい」などという不純な動機で入党した政治家がいる訳でして、しかも彼らは官僚の弱みを熟知しているのですね。
私ですら、××××のように、ほとんど無制限というか無限に官庁を脅迫できる方法を知っているくらいですから。これ「証人喚問」などという大げさな手続が不要です。ちなみに伏字の字数でわかると思いますが、「質問主意書」のようなただの嫌がらせではありません。
参議院って恐いですよ。だから参議院選挙って大事なのですよ。

 さて、
3月24日に書いた、自分ではまったく信じていないことに反論します。

<条文>
衆議院は、三分の二の多数の再可決があれば、参議院が可決しなかった法案を法律にできます!簡単です!(59条)
⇒衆議院で三分の二の多数を獲得するのって、そんなに簡単でしたか?
しかも与党がこれを強行しようとすると「多数の横暴だ」などと意味不明に騒ぐ方々と、それに同調してしまう方々が多くいるのでは?

 衆議院には、予算先議権があります!(60条)
⇒ところが、現行憲法では帝国憲法で認められていた「独立命令」「緊急命令」が否定されました。
しかも「委任命令」の範囲も、原則として極端に狭められるようになりました。
だから、何でもかんでも法律で規定しなければならなくなりました。
よって、「予算関連法案」などという代物が大量に発生し、「予算が通っても法律が可決されないから執行できない」などという意味不明な事態が生じます。
つまり、衆議院が可決した予算に対し、参議院はかなりの部分で拒否権を行使できるのです。
かくして、気がついたら衆議院は一番大事な点で、帝国憲法下よりも権限と影響力が弱められました。「予算は国家の意思」でしたよね?
しかも、「何でもかんでも法律で規定」するとどうなるか?
真面目な官僚は、立法権を独占する政治家の顔色を窺わねばなりません。
かといって、政治家が個々の法律とそれに関連する仕事内容に関して現場の官僚より詳しい、
など望みようがありませんので、政治家が官僚の独走を監視できる前提は成立しません。
そして誰も幸せになれません。
意外と言われていませんが、「独立命令の否定」「委任範囲の実質的縮小」は政官関係の不幸です。
喜んでいるのは参議院の支配者だけです。

 条約を結べます!(61条)
⇒これは確かに衆議院の優越なのですが、今からサンフランシスコ条約のような国家の命運を賭けるような条約を結ぶ、などという事態は想定しがたいので、あまり関係がありません。

 総理大臣を選ぶ時に、優先されます!(67条)
衆議院だけが総理大臣をやめさせることができます!(69条)
⇒法律と予算に対する拒否権を行使されたら、総理を選出しても、何もできません。

 しかも、任期は衆議院が最長四年で常に解散に脅えなければならないのに対し、
参議院は六年安泰です。参議院には解散がありませんので総理は手を出せません。

 ところで、従来の主要政党で最重要人物が衆議院にいるのって自民党くらいだって知っていました?
大雑把にあげても、
共産党・・・宮本顕治議長が立候補した時は参議院。今も幹部が大量に参議院議員。
公明党・・・浜四津代表代行はじめ、今の山口代表は参議院。
社民党・・・今も、みずほ。
以上は、衆議院が弱いから?
でも
民主党・・・輿石・高嶋・千葉、、、(今は、こいつらが知恵足らずのセイで助かっている。)
ですね。
自民党ですら、本連載の通り、「参議院を制するものは闇将軍!」の法則。

<結論>
参議院を制するものが永田町を制する。
参議院こそ日本国憲法下最強の拒否権集団である。

 次回、帝国憲法の貴族院・・・貴族院の権限を奪っていたのは?をやります。
分量次第で最終回かな。。。長考中です。