第二次世界大戦の勝者は誰だったのか?(4)―フランスの場合

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 よく、一国平和主義ならぬ、日本一国で世界史を語ろう主義の皆さんが左にも右にもいて、
「こんな国は日本だけだ」と言い出します。せめて、今回のシリーズであげる国ぐらいは比較してから言ってもらいたいものですが。

 大体、「日本だけが」とか言い出すと、戦間期と第二次世界大戦の場合、フランスにも当てはまってしまいます。思いつくままにあげると、

独裁者がいなかった。
だから内閣がコロコロ変わった。
政治家は何も考えていなかった。
官僚は学歴秀才の集まりで、まじめに軍事のことなど考えていなかった。
だから希望的観測だけが議論を支配した。
真人間は嫌われ発言権はなく逼塞していた。
婦人参政権を戦後まで認めなかった。←これは差別以上に、総力戦をわかっていなかった証拠。
大国のクセに戦争に負けて占領された。←フランスが大国だったのは幻想でしたが。
ただ一つ違うのは、日本には

ド・ゴールがいなかった!!!!!

 かなり本気で考えているのが、日本がアメリカの属国から中華帝国の属領になった際、「自由日本」とかをつくらなきゃいかんのかなあ、ということ。そういう意味もあり、共著者の鍛冶先生には相当力を入れて書いてもらいました。
フランスはどさくさに紛れて戦勝国(しかも五大国の一角に)になったのですが、それはド・ゴールが「パリ解放の先陣は我々にやらせろ!」とわがまま放題を押し通したからなのですね。
自衛官や保守政治家が「日本は楯であって、北朝鮮を攻撃するのはアメリカにやってもらう」とか言い出すようでは話になりません。

 この砦を始めて以来、拉致問題を解決できねば日本は文明国として地球上で生存できない、と言い出しているのですが、「平壌解放軍」の先鋒は日本軍でなければなりません。これは軍事合理性とかこちらの戦死者が何人出るとかそういう問題ではありません。政治の都合です。だから軍オタ的議論は一切シカト!(いつものことでは?という説あり)

 それともう一つ、フランスが大国になれた重要な理由は、歴史を歪曲したことです。

ヴィシー、何それ?

が、公式見解です。この辺りのフランス中華思想では、中国人並みに「そんなものは最初から存在しなかった」扱いされます。真面目な言い方をすれば、第四共和制成立と同時にナチス占領中の憲法以下すべての法令を無効にしました。日本人には耳が痛い話です。

 さて結論。

 第一次大戦まで=名実ともに大国。
戦間期    =名目のみ大国。
第二次大戦中 =ドイツに占領される。
第二次大戦後 =名実ともに大国に復活。

 ド・ゴール一人のおかげですな。最後の勝利以外は、本当にみっともない。他山の石としましょう。

「第二次世界大戦の勝者は誰だったのか?(4)―フランスの場合」への0件のフィードバック

  1. フランス中華思想…(大笑
    先生が本当にお伝えしたいことの全てを理解できてるとはをまだまだ到底思えないのですが、たった一言で唸らせる倉山語録素晴らしいの一言です。

  2. 面白かったです。同時に、理解が深まりました。倉山さんのパリ入城の項と鍛冶さんのパリ解放の項が一対になってつながっているのですね。本当の共著という感じがしました。

    このシリーズ、取り上げる順番が面白いですよね。次回を楽しみにしております。それではまた。

  3. 先日、仕事先の人達と「もしアンパンマンに「フランスパンマン」なんてキャラ作ったら、ちびまる子ちゃんの花輪くんみたいなキャラになるんだろうなぁ」てな話で盛り上がってたのを思い出しました。
    女の子をナンパする才能はあるがとにかく根性がなく、ドキンちゃんもはじめは色目を使ってくるがあまりの根性の無さに愛想を尽かしてしまい、「やっぱりアタシは食パンマン様がいいの!」と元のサヤに収まってしまうというか…
    いやまぁなんつうか、小ネタです^^;

    まぁ小ネタはさておき、「よくわかる第二次世界大戦」本日購入したのですが、P242の日米野球事情は面白かったですねぇ。まさかここで沢村の名を目にするとは思いませんでした。沢村については「栄光なき天才たち」にも取り上げられていますが、その生涯と最期については野球ファンの間でも伝説になってますね。私の友人のむつのくにも「あのコラムは面白かった。よくこんなこと知ってるな」と感心してましたよ。

    ところで、日米食料事情で思い出したのですが、「同盟国のドイツ軍が乾パンと水で飢えをしのいでるのを横目にイタリア兵は大釜で豪快にパスタを茹でていた」という伝説もありますね。まぁこれはあくまで伝説ですが(てか、イタリア軍ごときに大鍋やら水やら補給する能力などあるはずがない)、実際現代でも「日仏伊のレーション(軍用携帯食)は世界三大レーション」といわれるほど旨いらしいです。

  4. 日本のド・ゴール、あえて言うなら、「小野田寛郎」!?
    フィリピンを独立させ、アジア化し、日本の共和圏にする。そして、ある意味、情報戦(≒プロパガンダ)のみだが、「日本解放軍」だったのかも知れない…
    戦争を知らない(騙されている)世代に、本当の戦争とは何だったのかを思い起こさせてくれた人物の1人であった。
    堂々と日本の戦争を胸張って正当化していることに、あの世代の若い人はある種のアレルギーを感じたんじゃないかな?
    「帰って参りました!「よっこいしょーいち』さんとの対比で面白い。
    でも、「辱ずかしながら、『生きながらえて』、帰って参りました!」の「生きながらえて」が省略され→「恥ずかしながら、帰ってまいりました。」と捏造されているところが、「プロパガンダ」の上で敗北である。
    『虜囚の辱めを受けず」のはづなのに「命を捨てず」に帰ってきてしまった。』という感想が、なぜか「恥ずかしい戦争をしてしまった。」にマスコミによって、歪曲されてしまった。
    ちなみに歪曲した「慰安婦」を中学生に教えるのは、「性へのタブー感」を無意識に植え付け、日本の少子化を進行させ滅ぼそうという陰謀である(↓参照)。
    http://www4.airnet.ne.jp/kawamura/enigma/2005/2005-01-16-onoda_ianhunoshoutai.html

  5. >NAO様
    >「生きながらえて」が省略され→「恥ずかしながら、帰ってまいりました。」と捏造されている

    もっと重要な部分がカットされているという事実をご存知ありませんか?横井さんの発言の中では「恥ずかしながら云々」の部分はあくまで前振りで、その真意はその後の一文の方が核心を語っています。
    私はそっちがカットされ国民の記憶から抹殺されているという事実のほうが問題ではないかと考えています。

  6. 佐伯様
    >フランス中華思想
    そんなに受けるとは思っていなかったので、ちとうれしいです。

    藤沢様
    >倉山さんのパリ入城の項と鍛冶さんのパリ解放の項が一対
    よくぞ気付いてくれました!

    叔父さんの息子様
    本当はスタルヒンも書きたかったのですが、紙数の関係で。。。

    NAO様
    まあフランスにド・ゴールが居たほうが奇跡だそうで。

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