第二次世界大戦の勝者は誰だったのか?(6)―アメリカの場合

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 日本の大学生はアメリカと戦争をしたことを知らない。
 タダの馬鹿だから。
 アメリカの大学生も日本と戦争をしたことを知らない。
 毎年誰かと戦争をしているので一々覚えていられないから。

 アメリカ人は色々な才能があります。
 例えば、
自分で流した嘘をその内、本気で信じてしまう。
敵を作るのが天才的に上手い。
なおかつ、敵同士を結束させるのが上手い。
さらに味方を敵に追いやってしまう名人。
そして味方を一生懸命潰して敵の勢力を拡大させる。
根本的には、敵と犯罪者の区別がつかない。(頭の中は西部劇のまま)
戦闘で大量破壊を続けて悦にいっている間に、本来の戦争目的を忘れてしまう。。。

 さて、私はビル・クリントンのことを言っているのでしょうか?
 それともフランクリン・ローズベルトのことを言っているのでしょうか?
 正解。
 両方です。

 この二人よりもアメリカの国益を損ねた大統領って、ウッドロウ・ウィルソンくらいしか思いつかないのですが、
 その時は大英帝国と大日本帝国が何だかんだと健在でしたし、
戦間期は潜在的な強敵である独ソが一番逼塞していた時期ですから。

 さて、日本人が「先の大戦」と言うと、どうしてもアメリカとの戦争を思い出します。
 では、なぜアメリカが出てきたのか?
 実は山川の教科書なんか読んでもよくわからないのですね。
 無理やり理解しようとすれば、
「中国を苛める日本を懲らしめる保安官として登場した」
みたいになるのですが。
 で、一足飛びに「スターリンの謀略により引きずり込まれたのだ!」と言われても、
スターリンをチャーチルや蒋介石としても間違いでは無いのですが、意味不明です。
「ではなぜ騙されたのか?」の説明が無いからです。

 そこで原点にかえり、日本に戦争を売った目的を考えましょう。
 大きく、
一、太平洋における覇権の確立
二、中国大陸(特に満洲)の権益を奪取→つまり太平洋における覇権の確立
三、ドイツの同盟国である日本と戦争状態に持ち込んで欧州に参戦し、
  英国から東欧までを救出する
の三つが上げられます。
 
 まず、三がいきなり失敗しています。
 まあ「陰謀論」「裏道参戦論」を否定して、アジア・太平洋と欧州の戦争が別物だったとしましょう。
 前回の「大英帝国」と同じ理由でアメリカは敗戦国です。
 この点をA・ウェデマイヤーはこれでもかと批判しています。
「チャーチルはピット気取り!そんな英国に引きずり回されるとアメリカの国益に反する!」
と『ウェデマイヤーレポート』で筆誅を加えたので、同書は欧米でタブー扱いです。

 二は結局、一になってしまうのですね。
 第一次大戦中から米国がアジアで行なったことを時系列で並べると、

・とりあえず大英帝国、ついでに大日本帝国に喧嘩を売る。(ウィルソン14か条宣言)
・日英同盟を分断、徹底的に対立させる。(ワシントン会議)
・中華民国の反日を全力支援。(満洲事変以後のローズベルト)
・支那事変でヘトヘトの日本に包囲網、疲れきったところで、これでもかと挑発。(日米交渉)
・日本の緒戦の快進撃で、大英帝国の植民地支配が崩壊。
・日本の敗北が見えてくると、今度は蒋介石の腐敗を追及。中国共産党を持ち上げる。
・日本降伏後、蒋介石への援助をやめる。中国共産党は見事に時間稼ぎ。
・国共内戦開始。まともな支援を行なわず(行なえず)、蒋介石は亡命。
・気がついたら、ソ連&中華人民共和国という二大大国と独力で対峙する羽目に。
・こんなこと本当は無関係なのに、当事者の大日本帝国を自分で潰したのだから仕方が無い。
・あまつさえ、朝鮮戦争で朝鮮半島の釜山以外は金日成が支配。
・国連軍を組織し(世界の半分を味方につけ)、何とか金日成を追い返し平壌攻略。
(実は、アメリカにわざと国連軍を組織させるのがスターリンの謀略だったと最近判明)
・と思いきや、いきなり中国人民解放軍が乱入。追い返される。
・日本の大東亜共栄圏よりもさらに広大な距離を自前で肩代わりする羽目に。

 アメリカ人って本当に馬鹿じゃないのか?
と言いたくなる。

 ちなみに日本の戦争目的がコロコロ変わった点は指摘したし、自虐的な似非インテリも散々言うのですけど、
アメリカだって真珠湾攻撃をされて上記三つの戦争目的をころっと忘れているわけです。
日本のことをとやかく言えないわけです。
 支那事変で疲弊しきった日本だったから、しかも「真珠湾だまし討ちプロパガンダ」が成功したから、
何とか物量作戦で勝てたのですが、そうでなければアメリカ艦隊など太平洋の藻屑と消えて
アメリカ人はとても継戦意欲など持てなかったのですね。

 以上、親米派日本人の歴史観でした。

 ウッドロウ・ウィルソンとフランクリン・ローズベルトが日本に多大な迷惑をかけたことはいくらでも指摘できます。
 しかし、彼らはそれらの行為によってアメリカの国益を損ねたからこそ、永遠に歴史において断罪されるべきです。

『総図解 よくわかる 第二次世界大戦』

(新人物往来社、1470円税込)

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「第二次世界大戦の勝者は誰だったのか?(6)―アメリカの場合」への0件のフィードバック

  1. 民主党の指導者ってろくな奴いねーな。

    …え?どっちのって?それはまぁ、それでしょ^^ゞ

  2. 倉山先生、

    クリントンて、アメリカの国益を損ねた大統領だったんですね。知りませんでした。そのあたりは、のちのち勉強していきたいと思います。

  3. >小手面様
    砦主様もしょっちゅう言及しておられますが、そのダメダメ大統領が残した名言が「最後の一人までとり返さなければならない」です。

    米国歴代ダメ大統領にすら劣る日本政府指導部って一体…

  4. 倉山先生

    お疲れ様です。

    正しい歴史観で歴史をみれば、近代と現代が因果関係で結ばれていることがすぐに分かりました。
    どうもありがとうございます。

  5. 今回も楽しく、そして悩みながら拝読させて頂きました。
    F・ルーズベルトは米歴代大統領人気ランキング様々あれどベスト3には入る人気者で、中には1位とするものもあるようです。
    先日の大英帝国W・チャーチルなんちゃって英雄論と同じ原理が働いているのですね。

  6. 小手面様
    前作『総図解 よくわかる 日本の近現代史』の最終章の「国際情勢」をお読みください。これでもかとクリントンへの呪いを書いておきました。

    叔父さんの息子様
    >そのダメダメ大統領が残した名言
    というか、これしかないという模範解答なのですが。

    あいまもる様
    自分が「正しい」と威張る気は無いのですが、世の中、偽者が多すぎますね。

    佐伯様
    仰る通りです!
    日本人がアメリカのインテリを説得できるようにならないと、真の日米友好はありえないと思います。

  7. 世界で一番高い山は?:マッキンリー
    世界で一番広い湖は?:五大湖
    世界で一番長い河は?:ミシシッピー川
    世界で一番高いビルは?:エンパイアーステートビル
    もちろん、アメリカ人にとって、今も昔もアメリカ人には全部正解です(゚▽゚;)

  8.  米国の真の戦争目的は、人種的憎しみ故に、目障りな黄色い帝国日本を徹底的に叩き潰すということではないでしょうか?そして戦争目的を達成した。このように考えると、原爆を使用して一般の日本人を大量に殺戮したり、戦後、支那本土や満州を共産中国のなすがままにした理由が良く分かります。

  9. >模範解答
    するってぇとなんですかい?奸内閣ってぇのは模範解答も書けねぇってことでよろしいんでござんすね?

  10. NAO様
    こういう短くてきれいなジョークは好きです。
    でも、問題はほぼ事実なことですね。笑

    OS様
    その通りだとすると、アメリカ人は狂っている、もしくはフランクリン・ローズベルト政権が米国の国益を度外視したということになります。
    ただし、米国は人種差別の感情を満たすために戦争を起こしたと言う議論に証拠があるのでしょうか。

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