表題の件
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以下、引用。
倉山満『国際法で読み解く世界史の真実』(PHP新書)
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ばったばったと既成概念を斬り捨て、生半可な知識をずたずたに打ちのめし、その倉山氏の快刀の怪しい輝きも、磨けば磨くほどに光り出した。
本書でも左翼の支配するいびつな法律解釈の世界へ、突撃隊長として、とりわけ「国際法」とかいう薮の闇に敢然として乱入した。本書は世間に拡がっているデタラメな歴史解釈や世俗的な通説の誤りを斬りまくる。
そもそも「国際法」とは戦闘と殺戮に明け暮れた欧州で、いたずらに虐殺するのではなく、『戦争のルールを策定しよう』という動機でグロチウスが提唱した。だから基本からしておかしいし、倫理観は乏しいのである。
ウェストファリア条約では政治と宗教を区別し、それでようやく宗教三十年戦争は終わった。しかしイスラム世界にはまだウェストファリア条約に似たものは存在せず、ISもイランもイスラエルも、そしてシリアもトルコも暴力と戦争、謀略を日常茶飯として、局地戦に明け暮れている。「国際法って何?」の世界だ。
中国も同じで、「華夷秩序」なるものと国際法とは無縁である。
たとえば「世界史を一変させた日英同盟と日露戦争」という項目がある。日英同盟をイギリス側から、しかも国際法の観点からみると、どうなるか。
「日英同盟以前、大英帝国は『光栄ある孤立』政策をとってい」たので、フランスとの同盟さえ断った。「同盟なんて面倒くさい」と言い放っていたのである。
その大英帝国が二十世紀初頭になると陰り、衰えが見え始める。前後してボーア戦争に浪費し、東洋の権益追求どころではなくなった。
「イギリスは世界中に権益がひろがりすぎて、その維持にかかるコストも負担になっていました。日清戦争の直前に日本から持ちかけられた不平等条約の改正では、日本が自国の居留民を守ってくれるのであれば、保険として十分成立するという計算が働き」、改正に応じた。
そして1902年、大英帝国にとって日本と同盟を組む価値とは、『日本を極東の憲兵』とすることに置かれ、『栄光ある孤立』を捨てたのである。
しかし大英帝国にとっては日英同盟は極東に限定した約束事であり「ヨーロッパは関係がないから構わない=文明国相手の同盟ではない」という考え方に基づいていた。
「この状況をひっくり返したのが日露戦争」で英国から見れば「辺疆の蛮族と結んだ一時的かつ局地的な協定」でしかなかったのに、日本がロシアに勝つと、国際政治もガラガラぽん。
日本は大国の仲間入りを果たし、国際的に対等な扱いを受けることになった。
したがって国際政治での「同盟関係」とは一時的な打算によることが多く、長続きしないのが特徴、いまの日米同盟が、これほど長く続いていることを後世の歴史家はなんと書くのだろう。
答え。
いつまで、このシノギを続ける気か?