安倍内閣支持率低下はマスコミの操作ではない

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 私は他人の過去を忘れさせない。
 熱心な安倍支持者の方々が、「安倍内閣の支持率低下はマスコミが操作した嘘だ」と拡散されている。
 では、その方々はこれまでの高支持率も「マスコミが操作した嘘だ」と拡散されていたのか。
 私のところには、「戦後、これほど高支持率が続いた内閣を知らない」という拡散しか回ってこなかったが。
 
 現実を現実として受け止めないで、現実逃避していても何の解決にもならないだろう?
 屁理屈は、いらない。
 マスコミの操作だけで20とか30%の支持率減はない。
 
 結局、安倍内閣は「まず経済」と言って政権を取った。簡単に歴史を振り返れば良い。
 
2012年11月解散当日 「大規模な金融緩和を日銀に求める」と宣言。即座に株価がうなぎのぼり。衆議院選挙、大勝。
 
2013年2月 白川日銀総裁(当時)から辞表を取り上げる。
   3月 日銀人事勝利(黒田総裁、岩田副総裁)
   4月 黒田バズーカ。アベノミクス、正式開始。
   6月 都議会議員選挙、大勝。
   7月 参議院選挙、大勝。
 
 ここまでは、伊藤哲夫さんと「安倍内閣、仕事しすぎでしょ」と言い合うくらい、大順調。一つ例を挙げると、小野寺防衛大臣の下で、「自衛隊の国軍化」が進んでいた(詳しく知りたい人は、当時の新聞記事で確認されたし)。
 
2013年10月 消費増税を決定。
 靖国例大祭参拝を公明党に阻止されるなど、求心力の低下。(何とか12月に参拝も、以後、今に至るまで一度も行けず)
2014年4月 消費税8%。景気低迷。
   11月 ハロウィン緩和。消費税10%は阻止。
 以後、景気回復を消費低迷が妨害。緩やかな景気回復だが、緩やかでしかない。
 政権運営も、薄氷の勝利の連続。
(一例)安保法制如きアンパイ法案を、一年もかけていい勝負。
 
2016年6月 消費増税10%を再延期。
      したはいいが、減税はできず。
   7月 参議院選挙大勝。
      単独過半数回復も、公明党との連立を継続。
 
   12月 都議会で公明党との連立を解消。
   安倍首相「公明党抜きで選挙をやるいい機会だ」と放言。
 
 景気、相変わらず。
 
2017年7月 都議会議員選挙で記録的惨敗。
 
 私、財務省と公明党の話はミミタコでしているけど、現職総理大臣は安倍さんです。
 政権奪還時に、「まず経済」と言っていたんだから、さっさと景気回復しとけばよかったわけです。
 圧倒的多数の国民は、それを期待していた訳で。
 ところが、丸々四年半もたって、まだ景気回復一つできていない。
 これだけ時間を貰って、結果を出せていないことに、安倍内閣は真摯に向き合うべきだろう。そら、ここまで国民が我慢をしてくれた、と反省すべきだ。
 
 現実を言う。
 マスコミが何を言おうが、経済政策に成功していれば、内閣支持率は高い。
 
 モリカケ騒動と安保法制、マスコミのキャンペーンがどっちがひどかった?って、明らかに安保騒動なわけです。ところが、支持率はビクともしなかった。その時は、熱心な安倍支持者は「マスコミが何を言おうが、戦後これほど高支持率が続いた内閣を知らない」と威張り散らしていた訳です。
 
 そもそも、マスコミのキャンペーンで最高権力者を失脚させられるなら、「目白の闇将軍」なんて、三日で政界から葬り去られている訳です。当時の「角栄叩き」なんて、今の「安倍アンチ」の比では無かったし。ところが、角さんは、自分を叩くマスコミを利用する術を知っていた。また、あのころは景気もよかった(二度の石油ショックはあったけど)。
 
 そもそも、自民党は何の為にあるか?
 自由主義社会の一員として国際社会に立ち、経済成長をさせた上で富の公正配分を行う。つまり日本国民を食わせる。断固として国民を飢えさせない。それができた先に、自主防衛自主憲法がある。
 
 昔の自民党は経済大国になったのに憲法と防衛を置き忘れていると批判された。
 今の自民党は、唯一の取柄の経済すら真面目にやっていない。
 
 安倍首相が自民党を率いる保守政治家として生きるなら、原点を見つめ直しては如何か。
 安倍支持者も同じ。他人のせいにしても、財務省も公明党も待ってくれない。マスコミなど、倒閣の道具にすぎないのだから。
 
 最後に。
 私は日本で一番、消費増税8%に反対した言論人だ。その私に「安倍首相に楯突くな」と月刊誌や単行本で上から目線でおちょくってくれた奴がいる。
 私は、そいつを絶対に忘れないし、許さない。
 そういう奴が、「我らが安倍さんを守るために、マスコミを叩け」と扇動して、誰が信じるか?

「安倍内閣支持率低下はマスコミの操作ではない」への9件のフィードバック

  1. 雇用環境の好転は成功したけど、日本の人工衛星は逆三角形の近い人口構成なので有権者の多くはもう就職しているかあるいはリタイアしている。だから雇用環境の好転が支持率にそれほど影響しないのかなと。
    むしろリタイアした団塊世代以上の自分の親を見ているとリタイアした層やらこれからリタイアする50代のような勝ち逃げ世代が数は多く、アベノミクスの目指すインフレよりは安倍政権以前のデフレの方が恩恵は多いから経済成長それほど求めてない気がします。

    1. 結局、経済の刺激策と呼ばれて来たものが、基本的には全て旧来型なので、増税を打ち消すだけの効果が発揮出来ていないのではないでしょうか。

      本来なら経済成長のエンジンになるはずである40代 ≒ 団塊Jr世代 ≒ 氷河期世代の本当の問題点 = 正規・非正規を無関係に所得がずっと右肩下がりの世代なんだよ?というのを、どうも現政権はちゃんと認識してないんじゃないか、という気がしないでもありません。(住宅減税やら、団塊世代から孫世代への相続優遇策、扶養者控除の話にしても、氷河期世代には縁遠い人が少なくないですから)

      今の20代以下の人に、我々のような悲惨な思いはして欲しくないので、新卒求人が過去最高を記録しているなどというのは、本当に良かったと思うものの、彼らが経済のエンジンとなるのは20年後の事ですし、その頃には、今度は資産さえまともに形成できなかった我々の世代がお荷物化している可能性が極めて高い訳で・・・。

      そう考えると、スライリーさんが仰られるように、デフレの恩恵を受けられる世代 ≒ 既存メディアに左右される世代の意思が強く反映されるのも、当然の流れですよね。

  2. あ、

    > 白川日銀総裁(当時)から辞表を取り上げる。

    は、白川日銀総裁(当時)から辞表を取り付ける、ではないでしょうか。

  3.  スライリーさんの意見こそ、財務省の思う壺の考え方、デフレになれば、当然その分だけ、勝ち組の給料、退職金、年金は減らさなければならず、それを行わなければ、当然その分だけ、他で増税されたり、他でリストラして非正規の低賃金者を増やしたりと、必ず他にしわ寄せがくることになるので、不景気のスパイラルに陥ることには変わりはない。
    安倍政権の支持率が下がった理由は、内政においては最初の一年間だけ、積極財政を少しだけ行い、あとはずっと、緊縮財政を行い、外国人労働者を大量に増やし続け、国民が将来の希望を見いだせなくなっていることが大きいと思います。
    安倍政権が内政においてやらなくてはいけないことは、積極財政、即ち、消費税を5パーセントに戻し、財政出動を最大限に行い、外国人労働者を増やすのではなく(一番やってはいけない事)、国民一人当たりの生産力を上げる為のインフラ投資(技術革新支援も含む)を徹底的に行う事だと思います。

  4. >支持率低下はマスコミが操作した嘘

     私もついつい贔屓目で解釈したくなってしまうので、倉山先生のご指摘で冷静になれました。ありがとうございます。記事の本旨である支持率回復の話ではなく恐縮ですが、コレ、私達保守が分岐点に立っている事をよく現しているエピソードと思いまして。

     つまり、「日本人は賢くなっている」って事です。いつまでも「日本人はマスコミに踊らされている」と勘違いしているのは私達保守の方。現実は倉山先生が仰る通りで、景気回復に本腰を入れないから「約束が違うじゃん」と国民に見放され始めている。国民の多くは、情報操作になど踊らされていませんよ、現実の暮らしを見つめているだけですよ、って話。

     正しく、「保守がバカだと国が滅ぶ」です。ノンポリに向って「目を覚ませ、現実に向き合え!」と叫んで来た保守勢力が、いつまでも「マスコミの情報操作」という幻想に惑わされ、現状認識を誤っている。いや、だから日本人はそんなにバカじゃ(以下略)

    ……喰い付きの良い文言が好まれるのは確かですから。「ソ連を崩壊させたのはレーガノミクスと銘打った経済戦争。日本もアベノミクス(景気回復)で中国を崩壊に追い込め!」とでも言っておけば、保守の一部地域では喜ばれるかも知れません。

  5. 倉山さんの冷静で的確な論評は正論だと思います。確かにマスゴミの倒閣運動による情報操作は行われてますが支持率の急落はそれだけが原因だけではないのは明白安倍首相の外交安全保障の実績は確かに素晴らしい物だがそれだけでは国を安定させることは出来ないし国内の課題不十分増税でアベノミクスが欠落しいつまでも国民がマスゴミ躍らされ続けると勘違いしてるチャンネル桜は痛々しい昨日YouTubeで見たチャンネル桜の応援デモ行進はかえって安倍首相足を引っ張る事に成りかねない

  6. まさにその通りですね。
    経済で政権を取り、経済で支持されてきた安倍政権が支持率を落としている理由は、経済政策の失敗以外に考えられません。ごく単純な話だと思うのですが。
    ヒトラーは公約通りドイツの経済をV字回復させ、ユダヤ人迫害を含めて掲げた政策は悉く実現していった。それゆえの高い支持率であったわけで、「丸々四年半もたって、まだ景気回復一つできていない。」というのは正しく至言ですね。

  7. 自民党、政府において最も目に付くのは一次ソースたるべき
    広報が一連のあらゆる騒動について公式に何も発信して
    いないこと。(キーワード検索で皆無状態)
    国民をどうせ解ってくれないなどと馬鹿にするスタンスから
    積極発信、積極対話をする方向へと変えるとともに、虚構
    相手に審議時間を無駄にすることは一切止めるべき。

    素人目に見ても日報問題の本質は平然と国益を無視する
    内通者を抑え込む手だてが機能していないことにあるのに、
    「課題認識→経過報告→結果発表と残存事項の推論」
    という手順で公式な文字の記録によって支持者に説明する
    義務(または説明できない理由)を怠ったまま、
    マスコミの報道(するしない)の自由に難癖を付けるだけ
    では、どこの世界でも相手にされない。
    一部の心ある人たちがSNSなんかでプロパガンダに対して
    個々に奮闘することを強いている現状にうんざり。

  8. はじめまして。今日はじめて訪問しました。

    経済政策についてはたしかにダメだったと思います。
    それにしたって、最近の急激な支持率低下の原因としては無理があるのではないですか?
    マスコミの情報操作は今回も酷いものですし、それによって勘違いしている国民が多いのは確かです。安保法制のときより理解しづらく、情報操作しやすく、且つこのタイミングで急落ですよ?
    私の頭が弱いからかもしれませんけど、読み返してみても納得できませんでした。

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