この夏の九条改正に反対する

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あえて、ゴミの日にぶちあげる。

本気で憲法改正をしたい人たちへ その「方法論」を私が提示する!
http://ironna.jp/article/3231

断言する。
この夏までに九条改正を言う奴は、昭和十六年に対米開戦を言うのと同じだ。

なぜか。
勝てない戦いに、何の勝算もなく仲間を飛び込ませるからだ。
これを私はコミンテルンと呼ぶ。
だから、勝算を示さずに九条改正を叫ぶものを、私は相手が誰であれ、コミンテルンと呼ぶ。

そもそも、どこに九条改正の機運がある?

今日、改憲派の集会に1100人ほど集まったとか。
一方で、護憲派は5万人とか。

憲法記念日 護憲派と改憲派が各地で集会

去年の安保騒動の時、保守の連中は「シールズたちは主催者発表で嘘ばかりついている」と揶揄するのが常だった。
その通り、数字は大嘘ばかりだろう。
では、奴らが国会前を埋め尽くしていた時、保守は何人動員できた?
こちらは数を盛っても、奴らの実数の十分の一どころか百分の一も集められないではないか。
向こうが何万の単位で、こちらは千人が関の山。
一度だけ武道館を万の数で埋め尽くしたが、敵はそれを毎日やっていたわけだ。

改憲には、ダブルスコアで勝たなきゃいけないのに、既に劣勢は覆うべくもない。
この夏、仮に安倍自民党が勝ったとしよう。それは政権与党としての求心力があるだけで、
憲法改正が支持されることにはならない。
自民党内にも護憲派がいるし、創価学会公明党を無視しての改憲などありえない。

岡田克也がこんなこと言い出した。

夏の参院選 岡田氏「9条が最大争点」

岡田の武器は、99回愚かなことをするが、100回に1回は本気の罠を仕掛けてくること。
小泉純一郎も「人生いろいろ選挙」では、それで煮え湯を飲まされた。
護憲派は今回の参議院選挙で121人中43人を獲れば良い。
この数字は、自民党だったら幹事長は問答無用で辞任、総理総裁も退陣に追い込まれかねない数字だ。それを連中は一党ではなく、護憲派全体で取ればいいと言うこと。
向こうの勝利条件の恐ろしく低いことを見逃してはならない。

まだある。
九条を改正するとしよう。二項改正を吠えているはねっかえりどももいる。
では、どのように変えるのか?
自衛権?自衛軍?
自民党改憲案のような出来の悪い条文を持ち出したら、蜂の巣になって終了だ。
それこそ去年の安保法制の再現だ。

昨年の話を思い出せ。
6月10日の衆議院特別委員会で、菅義偉官房長官が、かの辻本清美に論破されたのだ。

http://ironna.jp/article/3231?p=3

菅「安保法案を違憲ではないという学者は沢山いる」

辻本「何人いるのですか。挙げてください」

菅「三人だ。数の問題ではない」

辻本「事前に質問通告してあるので答えてください」

菅さんで、これだ。他の大臣は目を覆うばかりだった。
九条など持ち出して、答弁ができるのか?
それこそ、取り返しのつかないことになったらどうする?

せめて、九条を持ち出すなら、変な条文いじりではなく、二項削除に限定してくれと思う。
どうせ対米開戦をやるなら、ハワイに行かずにフィリピンにしてくれ、の気持ちで。

宣言する。
この夏までに安倍内閣が九条改正を言い出すなら、私は反対する。

ただし、説得に応じないとは言わない。
別に表だってでなくてよいから、話は聞く。
勝算を示してくれ。

しかし、「お前は黙ってついてこい」という態度なら、徹底的に反論する。
自民党改憲案のような代物を持ち出すなら、護憲派に潰される前に私が介錯する。

何度でも言うが、勝ち目のない戦いを避けるのは臆病ではない。
勇気だ。

「この夏の九条改正に反対する」への7件のフィードバック

  1. 不躾ながら私案なんですが9条二項を「日本国は自衛権を保持する」に改正する←国防軍などと書くまでもなくこれで帝国陸海軍復活できるのでは?自衛権なら保持してて当然ですけど国民様には反対されちゃいますでしょうか…

  2. 御意見ごもっともです。
    身内に拡散します!
    できもしない「やるべきこと」を体当たり(玉砕)的にやるよりも、「できること」をひとつひとつやっていくことが大事なんですね。
    防衛費増額とか。

  3. ironnaの記事も拝見しました.

    田母神さんの件を思い出してしまいました.
    保守派の田母神さん推し→自民公認でない→都知事選出馬→60万票で落選→疑惑→保守派の手のひら返し→逮捕起訴→参院選出馬困難
    という流れは迂闊な保守派がしでかしたヘマで左翼大喜び!

    迂闊な保守派は憲法改正でも同じ轍を踏もうとしているのですね.
    保守派の9条改正推し→国民支持少数→9条改正発議→否決→9条の信任→9条がより強固に
    またしても左翼大喜びですなぁ.そして9条がノーベル賞に.地獄だ.

  4. A記者さま

    自衛権を保持している事は、わざわざ明文化するようなものなのですか?
    私は憲法について勉強し始めたばかりで、知らないことが多いですが、自衛権の保持は明文化する必要はないと思います。
    まるで、歩行の自由を憲法に書き込もう、と言っているのと同じようなものだと私は思います。

    それと、自衛権の保持を明らかにしたところで、軍隊の復活とはあまり関係が無いように思います。

  5. A記者さんのご意見に反対する「国民様」って、シールズとか日本を弱体化させたい勢力でしょう。本物の日本国民は、日々の生活で忙しく、改憲に興味すら示せないと思います。僕の友達は政治に興味があるほうですが、「七五三改憲」ですら「何じゃ、そりゃ?」です。

  6. 毎度の如く、倉山先生の現状把握・分析はキレッキレですね!
    昨今の憲法論議を大日本帝国が対米開戦に踏み切った経緯に準えているところに説得力があります。今起きていることが、戦前起きていたことと何ら変わらないことであるということが、これを以って分かりました。今九条改正を主張することはまさに対米開戦そのものですね。しなくていい対米開戦をして日本はどうなったか、負けないでいい九条改正を試みて日本はどうなるか。よくよく考えるべきです。今九条改正を叫ぶ者は、岡田克也を応援していることに気づかねばならない。コミンテルンに力を貸していることに。
    また2013年の九十六条改正論議からの現状分析、昨今の緊急事態条項についての論考も本当に今の保守論壇の方々に一読願いたいものです。産経新聞は5月3日のゴミの日の紙面で堂々と「主張」として九条改正をぶち上げていた。確かに正論だし、為すべきことである。しかし、そこでは今の安倍内閣の脆弱性については全く考慮されていなかった。ここに現状分析の欠如があると言わざるを得ない。それは確かに「聖戦」かもしれないが、それに勝ち目はあるのか。日清・日露の時のように、開戦時に終戦までの計算はなされているのか。
    その点、倉山先生の主張されている七五三改正は最も現実を見据えているし、その後の展開まで考慮されています。それに改正までの前段階として、財務省人事・消費減税・大蔵省復活・参院選の戦い方までが綿密に熟慮されているではありませんか!これは戦略であるとともに目的でもあるのである。憲法改正だけが戦後レジーム脱却ではないことは、倉山先生が繰り返し述べられているところであります。
    しかし今の安倍内閣にとっては、針の穴を通すような至難の技かもしれませんが、これこそ戦後レジームを根本から脱却する唯一の道であります。これこそ「この道しかない。」であります。この「道」の延長線上にしか、戦後レジームの脱却としての憲法改正もない。
    倉山先生、陰ながら応援しています!

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