ホルブルック氏死去に思う

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 我が友好国、大韓民国で全国民避難訓練が行われたとか。
 韓国 全国民対象の避難訓練
http://www.nhk.or.jp/news/html/20101215/t10015876581000.html

 これと関連して、気になったのがこのニュース。
 死去したホルブルック米特別代表、医師団に「戦争を終わらせて」
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2779532/6586001

 常々、アメリカ外交に感心すること。
 なんであの人たち、あんなに敵を作るのが上手いのだろう…?もはや天才的?
 ついでに、敵を結束させる天才でもありますね。
 世界中の民族紛争に介入して、すべての民族の憎悪をアメリカに向けさせて、最後はアメリカを滅ぼすことによって人類永遠の平和を実現しようとしているのでは?と勘繰りたくなります。

 このリチャード・ホルブルックって、私の中ではバルカンでハチャメチャをやった男でして。
 1995年デイトン合意の立役者で、
 セルビアのミロシェビッチ
 クロアチアのトゥウジマン
 ボスニアのイゼトビコヴィッチ
の三人の独裁者をアメリカに呼びつけて、和平を実現したということになっていますが。
 私の手元の資料によると、この三人の独裁者を電話口で何度も怒鳴りつけたとか。
 11月1日には間違いなくそういうことをしていますが、まあ他の日の態度も推して知るべしでしょう。それを自慢にしていたような方なので。

 ちなみにホルブルックの肩書は国務次官補で日本の外務省で言えば局長です。さすがに日本の外務省の局長が外国の国家元首を電話口で怒鳴りつけるなどという話、、、小国相手ならありえないとは言えないか。。(自信なし…)

 さらにちなみに、日本では対北融和論者として評価が低い明石康さんも、バルカンでは超有能です。
 さらについでに、田中真紀子外務大臣もバルカンを訪問した時は借りてきた猫のようにおとなしかったです。
 恐るべし、バルカン。。。

 しかし、まったく不必要に恨みを買うことをする人を褒めたたえる神経、わからん。。。アメリカ政治学とそれを信奉する拝米日本人の間でけっこう評価が高いのですね。
 デイトン合意の評価は、言いだすとそれだけで膨大なエッセイになってしまうのでやめますが、簡単に言えば、まったく現地の事情を理解していないアメリカがセルビアやロシアを挑発するようなことをしまくって、事態をこじらせにこじらせた揚句、セルビアが親露だけでなく親中になってしまいました。
 で、世界一の親米国家が誕生。その名もアルバニア…。頼む、敵にまわってくれ。。。

 1990年代、フランスという国がなければ、控え目に言って3回世界大戦が起きています。
 アメリカという国、全然わかっていなかったようですが。

 で、それとは別にイギリスが世界大戦を止めた話を。(つまり上とは別件)
 1999年と言えば、コソボ紛争の年です。
 中国と台湾まで介入していました。
 ついでに、この時の高村正彦外相は獅子奮迅の働きぶりでした。

 当事者の欧州諸国は、「地上軍を介入させるぞ!」と恫喝合戦。
 ブレア英首相とシュレーダー独首相があんまりそういうことを連発するので、エリツィン露大統領が「核の照準、戻すぞ!」と錯乱寸前。

 で、空爆が一通り終わったかと思った6月12日、コソボの州都のプリシュティナ空港を、ロシア軍の空挺部隊が奇襲占領。NATO軍とにらみ合いを始めます。
 この時、アメリカ人のクラーク最高司令官が米軍空挺部隊投入により阻止しようとしたのですが、イギリス人のジャクソン司令官が「君のために世界大戦を起こす気はない」と止めて、まあその後もスッタモンダが山のようにあって何とか、おさまりました。
 アメリカ人、ノストラダムスの予言を本気で実現しようとさせていたとしか思えないというか。

 さて、今次韓国情勢。
 アメリカは空母ジョージワシントンを黄海に派遣しています。
 ただし地上軍の本格動員、少なくとも湾岸戦争やイラク戦争のような、はしていません。
 では絶対に戦争は起きないのか?ということです。

 アメリカは、バルカンには最後まで動員しませんでした。
 でも「勝利」を誇る連中がいます。
 そういう連中の理屈が、「我々アメリカ人は空爆と艦砲射撃で十分。アメリカ人を死なせる必要はない。 地上戦は現地の土民どもにやらせれば良い」です。
 バルカンでは、クロアチア政府軍やボスニア政府軍、それから義勇兵ゲリラ(含・アルカイダ)でした。
 ではアジアでは?
 韓国軍でしょうね。

 あんまりにも稚拙なシナリオなので、さすがに実現可能性は低いとは思うのですが、
 空爆&艦砲射撃=米軍
 地上戦=韓国軍、勝ち目が出てきたら戦略予備として在韓米軍とか在沖縄海兵隊投入、
とかも、0%ではないということです。
 ホルブルックって、そういう発想の人でしたし。

 歴史の教訓。
 最大の準備をしていると、意外に戦争は起きないもの。
 悲惨な戦争は準備を怠ったり、頭が悪い希望的観測をした時に起きる。

 あなかま、あなかま。

「ホルブルック氏死去に思う」への3件のフィードバック

  1. いつやり合いになってもおかしくないですね。
    歴史に詳しくないので私は何とも言えませんけど…。

  2. 遅くなりました。高杉晋作にはなれない唐沢ケンヂです。レジメ送ったんで見てください!!

  3. しばらく半島(南半分)うろついてきて、砦主にお土産を買ってまいりました。

    犬肉の汁。

    砦主の仕事柄、申し訳ない(?)ので、土曜日のドラマを見ながら一人で啜ることとしよう。

    そういえば讃岐の故郷にでかい犬がいたな。拙者はやたらに吠えられて閉口した覚えがある。

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