拉致と指揮権発動と政治不信

LINEで送る
Pocket

 昨日は、拉致された日本人の中でも政府に認定されていない特定失踪者の生島孝子さん(68歳)の姉にあたる馨子さん(70歳)もお越しいただきました。孝子さんはもし日本に帰ってきてもお姉さんしか身寄りがいません。しかも姉妹お二人ともご高齢です。

 生島さんがおっしゃるには、

「若い人にこの事実を知ってほしい!」

とのことです。

 忘れられると、それで終わりにされてしまいますから。「無関心による殺人」という言葉があります。「殺人者」になりたくない人は、特定失踪者のことを会う人や連絡をとれる人すべてに伝えましょう!それだけで北朝鮮は日本を無視できません。ましてや拉致した日本人に手出しはできないのです。何かあれば日本人の恨みを永久にかうことになりますから。

 

 ところで、例によって訳あって名を明かせない人から「これを書いてください」メールが来ましたので、以下紹介します。

千葉法相に日本人拉致事件で“追試” 知らなかった被害者の名前 (11月19日17時10分配信 産経新聞)  千葉景子法相は19日の参院法務委員会で、拉致実行犯である辛光洙(しんがんす)元死刑囚による被害者の名前を問われ、「原敕晁(ただあき)さんと承知はいたしております」と答えた。17日の衆院法務委で同じ質問に答えられなかったため再質問されたもので、法相は“追試”を何とかパスした形だ。森雅子氏(自民)の質問に答えた。千葉氏は、自身が平成元年に辛元死刑囚の釈放嘆願書に署名したことについては「韓国の民主化運動で逮捕されるなどしたみなさんの署名ということで署名した」と改めて釈明。森氏は「大臣が助命嘆願書に署名した辛元死刑囚が拉致した被害者の名前は承知してください」と諭した。この問題をめぐっては、17日の衆院法務委でも、自民党の棚橋泰文氏が辛元死刑囚による被害者の名前を質問した。千葉氏は秘書官に紙を手渡されたものの、原さんの「敕晁」という名前を読めずに「原さん」とだけ答弁。棚橋氏の追及を受け、再び秘書官の助けを借りて原さんのフルネームを答える場面があった。

 千葉法相って、この人どこまで冷酷で不真面目なのだか。拉致実行犯の釈放に「知らずに」署名したらしいが、ならば罪滅ぼしで拉致問題に熱心になっても罰は当たるまい。今国会を閉じる前に野党は不信任案を出すべきだろう。もちろん理由は

「人権問題を扱う法相として不真面目で不適格」

しかありえない。否決されるのはわかりきっているのだから、提出理由説明演説で徹底的に非を訴えればよい。

 かたやたった一人で身寄りなきおばあさんが異国の地にさらわれた妹の身を思いながら助けを求めている。かたや国を売った不真面目な政治家がわが世の春を謳歌している。いやな社会になったものだ。と嘆いていても仕方がない。思いついたことは全部やりましょう。

 

 しかし、鳩山・小沢の周辺で毎日のように疑惑が報道されている。検察には適切な仕事をしてほしい。この言葉の意味が鳩山首相と同じ意味であるかどうかは、私は知らない。

 千葉大臣、指揮権発動したら、それこそ支持率激減だろう。

 

 造船疑獄の吉田茂首相が佐藤栄作自由党幹事長(&池田勇人政調会長)の政治生命を助けるために、指揮権発動により、検事総長の佐藤逮捕請求を却下したとされる指揮権発動である。これが捜査に行き詰った検察から言い出したものであるとの説があるがどうなのだろう。指揮権発動と同日に法相辞任をしているし、結局はこれを大義名分に与党が造反して野党と新党を結成して退陣に追い込まれているんであるから。もし検察の泣き言を吉田が聞いたのなら、相当間抜けな話である。ありえない話とも言い切れないが。

 この時に大事な話は、不信任案可決が可決される絶望的な状況で吉田は解散総選挙による政権しがみつきを策すが、緒方竹虎副総理の「憲政の常道に従い、退陣すべきです」の一言に抗せず、退陣に至る。疑惑まみれの政権で総選挙などしたくないのは当然である。やったら第一次中曽根内閣みたいに負けるの分かっているし。

 民主党政権、鳩山内閣が総辞職したら、次の政権が「来年夏の参議院選挙で衆議院選挙も同時に行い、国民の審判を仰ぐ。それまでは内閣は職務にまっとうし、国民の皆様に仕事を判断してもらう。」と宣言すれば良い。野党、特に自民党はそれを受けて来年の選挙準備と政策論争をすれば良い。それが憲政の常道である。

 ロッキード事件の時の三木武夫内閣では、前首相の田中角栄の逮捕をめぐり、「事件の全容解明」を公約し国民世論の支持により政権浮揚を狙う三木首相が「逮捕せよ」と逆指揮権を発動したとの説が有力である。しかし、三木は衆議院解散に踏み切れなかった。反対も強かったが、決断できなかったのである。結局、粘れるだけ粘ったが、行くところまでいって退陣し、自民党も結党以来の敗北を喫した。憲政の常道を守れなかったのである。

 この話、次回「亡国前夜」と大きく関係があります。

 それはさておき、拉致問題忘れるべからず。  

「拉致と指揮権発動と政治不信」への0件のフィードバック

  1. 検察も足利事件の菅谷さんの冤罪で弱味があるからなあ、タイミングが悪いものだ。
    千葉法相は「冤罪っていう言葉は法律用語じゃないから、冤罪に当たるかどうか定義できない。」とか言っていたらしいけど、、、
    「検事総長の首を飛ばすぞ!」と裏で言われてしまうと、(捜査権の独立で公安庁長官にもその権限はないはずだが、)強気にも出れんよな?!
    あと、「故人献金はママからの献金」だったようだ!?
    鳩山首相は「母からの借入金で、いづれ相続税を払います。」って、言っているようなもんだが、脱税行為ギリギリだよな…
    「贈与として処理して、追徴税含めて払え!」というのが本筋だと思います。

  2. やはり法務大臣ではなく、法無大臣ですね。血が通っていないんではないですかね。
    〉NAOさん
    今回の選挙で京セラの社長と母親から150億の金を集めたらしいですね。
    私の友人で民主党関係の仕事をしている人から聞くと150億以上らしいです。
    かなりヤバい金だと思います。

  3. 生島さんとお話をするたびにやり場のない怒りと悲しみを感じます。
    拉致被害者のためにしなければならない当たり前のことができないことを情けなく感じます。

  4. 倉山さん

    こんばんは。藤沢秀行です。
    昨日今日すごい勢いですね。急速にサイト全体も熱を帯びてきましたよね。
    私も負けずに頑張ります。

    他の文面を読む限り体調が万全ではないとの事、お見舞い申し上げます。
    先は長いと思いますので、休息をとる事もどうぞ大切にして下さい。

    産経新聞、最近はりきった記事が多い感じがしますよね。ご提供頂いた匿名の方も含めまして、御礼申し上げます。
    今後とも大切な記事がありましたら、情報提供をお願い致します。
    (本来ならば会社員であっても複数の新聞に目を通すべき所なのでしょうね。少し反省しました。)

    今日は(間違えました。「も」です。)綺麗な文章展開ですよね。タイトルのセンスの良さも合わせて、素直に専門家の凄さを感じました。職業は違いますが、勉強になります。

    『拉致実行犯の釈放に「知らずに」署名したらしいが、ならば罪滅ぼしで拉致問題に熱心になっても罰は当たるまい。』

    まさに至言ですよね。私もこの発想はありませんでした。現実には期待出来ませんが菅直人も千葉景子も是非そう言って欲しいし、動いて欲しいですよね。

    最後の方の話は、なんか麻生太郎にダブって見えますよね。勿論状況は異なりますが。政界とマスコミでは「解散風」という言い方をしますが、あながち間違いではないのかもしれませんね。
    市場経済に法則があるように、解散風にも法則があるのかもしれませんね。

    それはさておき、「亡国前夜 小泉編」首を長くしてお待ちしております。
    それではまた、お体お大事にどうぞ。

  5. 生島さんは、赤坂大輔港区議会議員の勉強会にも参加くださったようです。

    妹を拉致され、解決の糸口の見えない闇の中で、
    言いようのない不安を抱き、孤独と絶望で、
    どれほど眠れぬ夜過ごしたか、
    どれほどの涙を流したか、
    その辛さはどれほどの言葉を費やしても、
    表わし切れるものではないでしょう。

    信頼できる仲間として、少しでも生島さんの心が休まり、
    一時の癒しが与えられたら、それだけでも勉強会を開催する意義があるように感じています。

    拉致被害者救出のためには、絶対的な世論が必要でしょう。
    倉山先生がおっしゃるとおり、一人一人が伝えていきましょう!

  6. 生島さんの話を聞き怒りと悲しみがこみ上げます。

    1960年代から既に拉致事件の多い地域では北朝鮮工作員が拉致をしていたのは公然の事実であった。

    民間人の目撃談が絶えなかった。(親戚の証言より)

    公安が知らないはずがない。

    民間人ですら目撃している例であるにもかかわらず公安が明らかに黙殺していたのである。

    1970年後半に盛んになったと言われ方をしたが実態は違う。

    繰り返すが1960年代には民間人の公然の事実であり1970年代以降の件のみがただ単に登録されているだけである。

    恐ろしい事実である。

    認定被害者だろうと特定失踪者だろうとどちらも優劣の付けることのできない被害者である。

    認定被害者だけ交渉に上り特定失踪者が無視されるのは防がなくてはならない。

  7. 〉シバッティさん
    シバッティさんが以前も同じことを書きこんでいたので、そのことを西岡力氏に言ったのですが、全く答えてくれませんでした。
    救う会の人間がここまでヘたれていいのか?と怒りがこみ上げてきました。
    政府も民間も腰ぬけになってはいけません。
    事実から目をそむけることはそれだけで大罪です。

  8. 森法相が本当に辛光洙元死刑囚のことを韓国の民主化運動家と思っていたとしても問題ですが、自民党の棚橋議員が被害者の名前を読めなかった法相を問い詰めるのは、私は只の揚げ足取りにしか思えないです。
    今鳩山首相が退陣して、次期政権が憲政の常道のために来夏に解散し衆参同時選挙を行う場合、そのために政治の空白期間が生じてしまうのではないでしょうか。現在経済を含めて予断を許さない状況の中で政治の空白期間を作ることは非常に危険な事だと思います。ですので鳩山首相が退陣するならば来夏まで待つべきではないでしょうか

  9. 〉志木さとしさん
    ただの揚げ足取りというのには私も同意します。これでは昔社会党がやっていたことと同じになってしまいます。
    ただそれと同時に揚げ足取りをされそれで倒れてしまうほど今の日本の政治のレベルが低いことを国民が認知するべきだとも思います。

  10. 新田様へ
    まだ、千葉法相は倒れていないと思いますが。
    私達国民が現在の政治のレベルを把握するのは非常に大事だと思います。なぜならそのレベルが私達国民のレベルなのですから

  11. 生島さんの話を読んで初めて書き込みさせて頂きます。
    生島さんがされてきた苦労は私の想像よりも遥かに苛酷であったと思います。

    生島さんのおっしゃる通り、若い世代の人間がこの事実を知り、そして拉致問題を風化させないことが必要だと考えております。
    そもそも、国民の安全を守るのは国家の最低の義務であります。
    その義務を果たすことを放棄してきた政府は国家というものをどのように考えてきたのか疑問に思ってしまいます。
    これからの日本の指針を決めるのは我々のような若い世代の日本人です。
    これからの日本では同じような悲劇が繰り返されないように、できることをしていく所存であります。
    最後に、生島さんへ
    私も拉致問題が風化しないように微力ながらもできることしていきますので、一緒に頑張りましょう。

  12. 私はこのホームページを友人の紹介により見るに至りました。
    私は普通の大学生であり、ニュースで拉致問題の事実というのは知っています。しかし、ニュースで取り上げられるのは政府に認定されている人の話ばかりであり、特定失踪者の話はほとんど知りませんでした。
    「無関心による殺人」。今の日本ではこのような事実が多くなってしまっているような気がします。いま日本は、若者は色々な問題を考えるべきだと思います。
    拉致問題に関しても同じことが言えるのではないでしょうか。国民レベルで考えるべき問題であると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA