久しぶりに将棋の話題。
表題の件は、世間でも騒動になっているのでご存知の方が多いと思う。「冤罪」としたのは、日本将棋連盟で結論が出たからそういう表現にした。
今回は、イチ野次馬として書く。
事件の経緯は以下。
①複数の棋士から「三浦九段は対局中に離席してスマホ(コンピューターソフト)を使っている」 との訴えが上がる。『週刊文春』も取材中。
②三浦九段が竜王戦(読売新聞社主催)の挑戦者に。しかし、渡辺明竜王が三浦九段を告発。「疑惑がある相手とは指せない」と言ったというニュアンスで伝わる。←『文春』では、こういう書き方。
③将棋連盟が三浦九段から事情聴取。三浦九段は「疑惑をもたれたままでは対局できない」と休場の意向を示す。期日までに届けられず、年内の出場停止処分に。
④竜王戦は、挑戦者を別の人に差し替えて遂行。結果は、渡辺竜王が防衛。
⑤将棋連盟が調査を委託した第三者委員会(責任者は但木敬一元検事総長)は、「三浦九段の不正は証明できず」との結論。・・・今ココ。
要するに、プロ棋士に「お前、カンニングしてんだろ?」と疑いをかけらながら、有罪を立証できなかった、という話。
三浦九段からすると「仲間に疑いをかけられた」「あいつは不正をしているから、あいつと将棋を指すのは嫌だ」と言われた格好になる。現に、渡辺竜王や他の複数の棋士はそう言っている訳で。
人として辛いだろう。三浦九段もそうだし、疑いを口にした側も。
これがどれくらい深刻か、というと「界、道、盟」の危機。将棋界、将棋道、将棋連盟の危機。
将棋界は、プロ棋士が将棋を指し、その棋譜をスポンサー(主に新聞社)に買ってもらって成り立っている。その棋譜が、プロ棋士よりも強いかもと言われいてるコンピューターソフトを使って指されたものなら、何の価値があるのか?コンピューター同士の棋譜だけで良いではないか、という話になりかねない。
当然、そのような不正があったとしたら、道に外れるのは自明の理。しかし、今回は「不正があったことは証明できなかった(≒なかった)」との結論が出た。疑われた三浦九段も、疑った側も傷つくし、心にしこりが残る。そもそも将棋連盟とはプロ棋士の集まりであり、盤上で戦う以外は仲間(一つの村)なのだから、今後、どのような顔をして一緒に暮らせばよいのか、という問題が残る。
今回の騒動は、将棋連盟理事会の決断によってこういう顛末になった。理事会には同情の声も批判の声もある。両方あって当然と思う。
何より、一方的な被害者は、竜王戦の主催者である読売新聞。連盟としてはスポンサー様にどう申し開きをするのか。今さら竜王戦をやり直せないし(ましてや、その費用を負担して、などとは口が裂けても言えまい)。
では、どのように解決すべきか?
渡辺竜王が、竜王戦の賞金を懸けて、三浦九段と戦う!
要するに、将棋界の問題は将棋で決着をつける。ファンも喜ぶのでは?
手順としては以下。
・渡辺竜王が連盟理事会に意向を伝える。(いきなり公表とかは不可)
・連盟の名前で読売新聞に伝える。
その際、経費は連盟が一切負担とする条件を申し出る。
・事件に関係した複数の棋士は、運営を手弁当で手伝う。
・当然、「渡辺対三浦」の対局は、公開。渡辺竜王と三浦九段が金属探知機の検査を受け、スマホやパソコンを預けるところから生中継。
ここまでやれば、読売新聞も「いやいや、そこまでしなくても」となるのでは?それでも、費用は連盟が借金してでも持つべきと思うけど。
むしろ、やれば空前の盛り上がりの対戦となるのでは?
昭和初期の将棋界には「大阪名人」を名乗っていた、かの阪田三吉との二十年に渡る揉め事に終止符を打ったことがあった。
というのは、名人戦を世襲から実力制に移行するに当たり、木村義雄は「阪田さんに勝たなければ真の名人とは言えない」と、周囲の反対を推し切って勝利したという故事がある。「南禅寺の決戦」と呼ばれる。
平成版「南禅寺の決戦」、やらないかなあ。