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日本国憲法第五十条の欠陥

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 まずは日本国憲法の第五十条【議員の不逮捕特権】をお読みいただきたい。

「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。」

 文中の法律とは、国会法第三十三条を指す。

「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。」

 大学の授業では、「議員の不逮捕特権とは英国の王様が反対派の議員を次々と逮捕して議会に干渉した歴史に由来し・・・」などと教えている。文字だけ見ても、あるいは国会法とあわせてみても、一見特に不備がある条文とは思えまい。

 

 では、帝国憲法第五十三条を以下に。

「両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内乱外患ニ関ル罪ヲ除ク外会期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕サルゝコトナシ」

 違いは一目瞭然である。「内乱外患ニ関スル罪」が現行犯とは別に設けられているのである。伊藤博文の解説書である『憲法義解』は「議員には特権があるが、現行犯や内乱外患にはその特権は当然剥奪される。非現行犯と普通の罪犯は議院に通牒してから逮捕、現行犯と内乱外患に関しては逮捕してから通牒すべき」とある。

 つまり帝国憲法は、売国奴が国会議員を務めることを許していないのである。逆に日本国憲法は許しているのである。故に現行憲法五十条は欠陥があると断言する。少なくとも、「内乱外患」を削除した合理的な説明を管見では知らない。

 では条文の不備を補う方法はあるか。慣例の蓄積による策はある。例えば、日本人を拉致した実行犯が大韓民国の監獄に収容されている時に署名運動を起こし、遂には釈放に至らしめた上に、「政治犯かと勘違いした」「どうして署名したか覚えていない」などと結果責任を無視する発言をするような国会議員は大臣にすべきではない。こういうことを言うと、特定の副総理や法務大臣を批判しているのか、と言われるだろうが、その通りである。これは暴論であろうか。

 かつて、ロッキード事件で有罪判決を受けた佐藤孝行代議士は総務庁長官(国務大臣)に入閣するや世論の批判で辞任に追い込まれ、橋本内閣の支持率は激減して政権は一気にレイムダックへと突き進んだ事例がある。航空機会社から賄賂を受け取るのと、拉致実行犯を本国に帰国させて、あまつさえ人民英雄として切手にもなるような状況を生じせしめるのに加担した行為と、どちらが売国的行為か。

 さすがに、菅直人や千葉景子を逮捕せよとは言わない。法律論としては無理がある。しかし、政治論ととして、二人の入閣を認めるのは如何なものか。橋本内閣佐藤大臣と比較して、「日本国民は何を考えているのか」と世界に恥をさらすことにならないか。

 なぜこれを誰も問題にしないのだろうか。

 少なくとも、菅と千葉の両大臣、帝国憲法下においては許されません。