予算関連法案の話―私が黒幕なら

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 よくされる質問。
「予算関連法案をどうやって通すのですか?」

 まず、日本の制度を憲法に基づいて確認しましょう。
予算は、衆議院の多数の賛成だけで成立します。(60条)
ところが、帝国憲法と違い日本国憲法には「予算関連法案」という代物があります。
予算が通過しても、その法律を通さないと執行できない、という法律です。
有名な子供手当て法、なんかがこれです。
法律は、衆参両院の賛成が無ければ成立しません。
つまり、実質的に予算の不成立と同じです。

「予算は国家の意思」ですから、国家機能の麻痺と同じです。
これを憲法危機(要するに憲法違反)と呼びます。
日本の予算は単年度予算制なので、もし最終的に予算関連法案が成立しなければ、自動的に83、85、86、87、88、90、91条に反することになります。(条文内容は個々にご確認を)

 参議院は野党が多数のねじれ国会ですから、与党民主党はどこかから補完しなければなりません。ではどうするか?
方法一、衆議院で社民党の賛成を得る。
衆議院で三分の二の多数で再可決すれば法案成立します。
そのために民主党は5議席足りないのですが、社民党は6議席あります。
ただし、この党の主張を取り入れると「沖縄から米軍は出て行け!」などと非現実的            になりますので
政権は持たないでしょう。

 方法その二 参議院で野党の賛成を得る。
公明党が本命です。
同意人事でも賛成しましたし。
ただし、統一地方選挙までは反菅内閣の旗を掲げたいでしょうね。

 では菅首相はというと、何でも良いからしがみつきたいのはアリアリです。
憲法上、選挙に負けなけ無い限り辞めなくて良いですし。
ただし、予算(関連法案)が通らないと死に体です。というか憲法違反のオンパレードになります。
いくら2年は選挙が無いと言っても、民主党内からの反発は強くなるに決まっています。
誰も、菅さんと道連れに落選はしたくない訳です。

 では、私が敵方の黒幕ならどうするか?
とにかく、3月中に予算は通す。ただし内閣は、できる限り低姿勢で。
自民党やみんなの党に好きなだけ攻撃させる。殴りつかれるのを待つ。
これでもかと感情的に攻撃させる。閣僚はただひたすら歯を食いしばって耐える。
で、4月の統一地方選挙でガス抜きをさせる。
どうせ、誰も勝てない選挙になるし、下手すれば既成政党不信選挙になりかねないし。
そこで、公明党に協定を持ちかける。
ただし、民主党にとっても公明党にとっても連立はよろしくない。
民主党内には反創価学会教団が多いし、公明党は大臣を欲しがりさえしなければ何でもできる。ついでに自民党を可能な限り切り崩す。

 もう一つ、菅首相の首と引き換えに予算関連法案を通し、公明党が納得する人物を総理に据える。何を血迷ったか、某外相が参議院会長に擦り寄り始めましたが。大丈夫かな。

 ちなみに岡田幹事長、席順上毎回、仙谷&輿石に挟まれて座っている。こういうのを何のムシロと言うのだろうか。

 それはそうと、最近の輿石、絶頂期の青木幹雄の手法に近くなってきた。。。

「予算関連法案の話―私が黒幕なら」への0件のフィードバック

  1. 倉山さん
    おはようございます。藤沢です。
    新刊の発売、おめでとうございます。

    今週末は各社世論調査ですかね。共同通信の結果では支持率20%切ってましたが。おそらく岡田幹事長は統一地方戦後に交代させられるのではと思います。もう完全に党内から見切られている感じに見えます。

    最近思うのですが、話し合いによる解散または総辞職というのは、手続き的にそれをどう保証するのかというのを考えた時、実際にはありえないのではという気がしています。
    解散してしまえば関連法案の審議自体が出来ない訳ですし、先に可決した後で解散というのは、総理大臣が約束を反故にした場合どうなるのかと思います。(菅直人の場合やりかねない・・・)
    参議院の緊急集会規定の出番?と思った時もありましたが、これも大変な割にはややこしくてはっきりしないですよね。条文を見る限り後で衆議院の同意が必要だし、という事は選挙結果で違ってきてしまうでしょうし。

    実際どうなりそうかという点では、統一地方選での民主党の負けっぷりの程度次第かという気がします。気持ちとしては、そこで止めを刺して、解散せざるを得ない雰囲気の中で総選挙に持ち込みたいですよね。

    すみません、長くなりました。それではまた。

  2. >初めての読者様へ

    連投の上、突然の話ですみません。取り急ぎ、失礼します。
    藤沢秀行(ふじさわしゅうこう)と申します。
    宜しくお願い致します。

    2月6日のレスで、名無しさんより全文検索のウィンドウをとの話がありましたので、私よりコメントさせて頂きます。(倉山さん、出すぎた話でしたら先にお詫び申し上げます)

    この砦においては、ご承知の通り残念ながらそのような便利なものはありません。また、理由は不明ですが、過去ログにおきましてもその月の初めの方は切れて見られなくなってしまいます。

    ここでは、過去ログの見方をお伝えしたいと思います。
    各記事には、HPアドレスの最後に数字が表示されています(今日の場合は528)。これは第1回の1から順番になっています。手間ではあるのですが、この数字を手入力して頂く事により、切れてしまった日の分を見る事が出来ます。

    また、シリーズ物で日付が飛んでいるものについては、私の方で全部ではないのですが記録しているものもありますので、必要の場合は聞いて下さい(大抵の場合は辿り着けるとは思いますが)。
    今回の日中戦争(?)に関連しそうなところでは、2010年2月18日開始の「宣伝の話」シリーズが私からのオススメです。

    宜しくお願いします。それではまた。

  3. 倉山先生
    「総図解よくわかる第二次世界大戦」を予約しました。
    正しい歴史認識を身につけるために勉強させて頂きます。
    地方議員を目指している身としては、なおさら必要だと思いますので。

    http://twitter.com/nantatu

  4. 予算の性質って、典型論点ですね。通説は「法形式説」ですが。
    「法律説」にたっとけば、「執行法がない!」という問題なんぞ簡単にスルーできるのに、ややこしいことしますよねぇ。

  5. 本当にタイムリーかつ国民への大事な大事な問題提起ありがとうございます。
    参議院で公明党の協力得られない場合、衆議院再可決三分の二条項も怪しい雰囲気ですね。90兆にまで膨れ上がった予算は国債発行に欠かせない公債特例法案が成立しなければ44兆円が執行不能状態になり、仮にどこと組もうと民主党内の反逆がないという条件下でのみ成立する…
    小沢残党の動向や民主党長嶋、金子、渡辺周、松原等各氏などの反乱にも注視したいですね。

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