思想史コラム、
吉野⇒河合⇒南原⇒丸山
と、十人中四人も東大教授を選んでしまった。しかも河合以外は全員、法学部。
東大がどんどんバカになっていく過程、というか吉野や河合の方が突然変異です。
本当は吉野の師匠の小野塚喜平次を含む七博士とかも選びたかったのですが、まあ幸徳秋水の方が大事だろうと言うことで。
幸徳と七博士、どちらも丙丁つけがたいバカですが。
よく、「まじめな学術論文をあまり書かなかった吉野に対し、小野塚は実証的アカデミズムに閉じこもった」などというどこからツッコミを入れたら良いのかわからん話が流布されているのですが、単に小野塚は学界で守られていなければ「日露即時開戦論」みたいなタワゴトしか言えなかったのでは?
ちなみに、よく聞かれる質問。
そんなに東大(法学部)の悪口を言って大丈夫ですか。
答え。
大丈夫です。
東大(法学部)の頭の良い人は、東大(法学部)の悪口は全員思っていますから。
なぜかと言うと、東大(法学部)の中で優秀な人は、別に東大(法学部)を目指して入った訳ではなく、子供の時から勉強はずっと一番なので、たまたま一番と言われる所に入っただけです。別に愛着がないどころか、新興宗教の幹部の如き講義を聞かされて、「ハイハイあなたの求める答案はこれでしょ」と大人の対応をしているものです。今も昔も。
で、東大だけをこき下ろすのは不公正なので、二つ追加。
その一:その他の大学は東大の劣化コピーである。
そうではないと言い張る京都帝国大学からしてそう。他は推して知るべし。
その二:突然変異が出る可能性が高い大学ではある。
そんな東京大学の総長を務めたのが南原繁。
なぜか副学長の上が学長ではなく総長。
この南原さん、時の吉田茂総理と公開論争をして
曲学阿世の徒
と罵られたので有名。
なぜかと言うと、アメリカなど多数の国との講和を優先させ一刻も早く独立を回復しようとした吉田に対し、ソ連を含む共産国が調印しないような方法は駄目だ、などと世論を煽りまくったのが南原。吉田の論を「片面講和」、自説を「全面講和」と称した。
えーと、結局吉田は48カ国と調印し、ソ連に従って調印しなかったのは3カ国ですが。。。
ということで、吉田のことを私は「多数講和論」と呼んだ。
何をどう呼ぶかによっても歴史観は現れるものです。しかし、南原に曲げるほどの学があったのかなあ。
南原と言う人、思想にははっきり言って見るべきものがあるとは思えないのですが、
まあ日本で数少ないフィヒテの研究者ですね。
本場ドイツでもあまり研究されてはおらず、ドイツフィヒテ学会よりも日本フィヒテ学会の方が先にできたようで。
確かに『全知識学の基礎』とか何を書いてあるのかすらわからん。。。
でも『日本フィヒテ学会会報』とか若い頃読んでも、観念論とか難しい話をしているのに、
ドイツナショナリズムの話になると哲学者の人たちはついていけないようで。
フィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』とか、戦前の帝国大学生は全員読んでる必読書でしたが。
フィヒテきどりの南原本人は第三の立場のつもりでしょうが、やってることは第二の立場で、
彼の言動により得をしたのが第一の立場です。
『総図解 よくわかる日本の近現代史』
(新人物往来社、税込1470円)
好評発売中です。続編、乞御期待。
次は丸山かあ、欝だ。このシリーズ、河合で止まっていたの、私の心身の健康上の理由です。
自由とは、自己の意思の自由である。
自己に意思がなくては、自由にも意味がない。
日本人には、意思がない。
意思は、未来時制の内容である。
日本語には時制はなく、未来時制もない。
ボランティアとは、自由意思の人である。
我が国の志願で出てくる人とは、どこが違うか。
「ボランティア活動を強制してはいけない」と言ってその普及を反対する人がいることからしても、我が国においては、意思そのものの把握が不十分でることがわかる。
自主・独立 (independent) とは、英米人が子供を褒めていうときの言葉である。
自分が必要とするものは、自分自身の才覚により手に入れるのが大人の態度である。
自分の欲するものを大きな口をあけながら他人にピーピーとねだるのは、雛鳥の態度である。自分がまだ雛鳥の段階であれば、これは仕方のないことである。
独立に必要な軍備を他国にピーピーとねだる国民も子供じみた態度であることに変わりない。自国がまだ未熟な段階であれば、これは仕方のないことである。
意思のない人たちが自由意思の大切さを語ることも難しく、意思決定を行うこともまた難しい。
ともすれば、意思の自由は恣意の自由 (自由のはき違え) と間違えられ、意思決定はどこまでも先送りにされている。
「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」という内容であるが、その決意を裏付けるのに十分な自己の力を示すことがないのであれば、その高邁な文言もまた空理空論以外の何ものでもない。
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